記録から紐解く、スーパーGTの“サーキット別マイスター”は誰だ。【富士スピードウェイ編】
2021年シーズンは国内6ヵ所のサーキットで8戦が開催されるスーパーGT。ここではGT500、GT300両クラスの各ドライバーのポールポジション記録、優勝記録から、サーキット別最多PP獲得ドライバー、最多優勝ドライバーは誰なのかを紐解いていきたいと思う。
第2回目となる今回は2021年シーズン第2戦、そして第8戦の舞台となる富士スピードウェイだ。これまでに開催された2005年から2021年第2戦までの公式戦に加え、2010年から2013年まで開催されたノンタイトル戦『富士スプリントカップ』を含めた全42レースの記録から“富士マイスター”は誰なのかを解き明かしてみよう。
* * * * * * *
まずは、各大会における最速の称号となるポールポジションの記録だが、第1回で取り上げた岡山国際サーキットとは違い、GT500、GT300クラスともに突出した回数を記録したドライバーがいるが特徴だ。それぞれのクラスの内訳を見ていこう。
岡山のGT500クラス最多ポール記録は立川祐路、ロニー・クインタレッリの6回となっている。
なお、GT500通算最多ポールポジションを誇る立川祐路は、JGTC全日本GT選手権からの通算で見ると24回のポールを獲得しているが、うち半数となる12回を富士スピードウェイで獲得しており、GT500デビューから25年を通して“富士マイスター”と呼ぶに相応しい活躍を見せていることがわかる。
メーカー別のポールポジション回数はトヨタ/レクサスが20回、ホンダが13回、ニッサンが9回と、富士をホームコースとするトヨタ/レクサスが抜き出ているかたちだ。
■GT500クラス ポールポジション獲得回数ランキング(編集部集計)
Pos. | P.P | Driver |
---|---|---|
1 | 6 | 立川祐路 |
1 | 6 | ロニー・クインタレッリ |
2 | 3 | 大嶋和也 |
2 | 3 | J.P.デ・オリベイラ |
3 | 2 | ロイック・デュバル |
3 | 2 | 小暮卓史 |
3 | 2 | 松田次生 |
3 | 2 | 石浦宏明 |
4 | 1 | 中嶋一貴 |
4 | 1 | 野尻智紀 |
4 | 1 | アンドレ・ロッテラー |
4 | 1 | ブノワ・トレルイエ |
4 | 1 | 金石年弘 |
4 | 1 | 本山哲 |
4 | 1 | リチャード・ライアン |
4 | 1 | 中山友貴 |
4 | 1 | 山本尚貴 |
4 | 1 | 塚越広大 |
4 | 1 | 平川亮 |
4 | 1 | 福住仁嶺 |
4 | 1 | 山下健太 |
4 | 1 | 宮田莉朋 |
GT300クラス最多ポール記録は高木真一の7回で、他を圧倒している。なお、2番手には3回を記録した影山正美、佐々木孝太と、2021年シーズンはレギュラー参戦がないベテランドライバーが続いた。
2回を記録して3位には新田守男、谷口信輝、平中克幸といったベテラン勢とともに、フル参戦初年度であった2020年に2回のポールポジションを獲得した小高一斗の名が並んでいる。
■GT300クラス ポールポジション獲得回数ランキング(編集部集計)
Pos. | P.P | Driver |
---|---|---|
1 | 7 | 高木真一 |
2 | 3 | 影山正美 |
2 | 3 | 佐々木孝太 |
3 | 2 | 新田守男 |
3 | 2 | 谷口信輝 |
3 | 2 | 平中克幸 |
3 | 2 | 小高一斗 |
4 | 1 | 黒澤治樹 |
4 | 1 | 細川慎弥 |
4 | 1 | 加藤寛規 |
4 | 1 | 大嶋和也 |
4 | 1 | マルコ・アピチェラ |
4 | 1 | 平手晃平 |
4 | 1 | カルロ・バンダム |
4 | 1 | 坂本祐也 |
4 | 1 | 柳田真孝 |
4 | 1 | 藤井誠暢 |
4 | 1 | 佐々木大樹 |
4 | 1 | 星野一樹 |
4 | 1 | ルーカス・オルドネス |
4 | 1 | 小林崇志 |
4 | 1 | 坪井翔 |
4 | 1 | 平峰一貴 |
4 | 1 | 吉田広樹 |
4 | 1 | 蒲生尚弥 |
4 | 1 | 川合孝汰 |
4 | 1 | 山内英輝 |
続いて優勝記録を見てみよう。GT500クラスの最多優勝記録は立川の8勝。ポール記録こそ、クインタレッリと並んでいたものの、優勝回数は他を圧倒している。これが立川が“富士マイスター”と呼ばれる所以だろう。2番手には松田次生とクインタレッリのふたりが5勝で続く。2015年から立川とコンビを組む石浦宏明が4勝で現在3番手となる。
メーカー別の優勝回数はトヨタ/レクサスが18勝、ニッサンが14勝、ホンダが10勝となる。これだけを見るとホンダの勝率は低いと感じるが、2020年から2021年第2戦までに富士で開催された5戦中3勝をマークしている。FR(フロントエンジン・リヤドライブ)化したホンダNSX-GTは、富士で着々と優勝を重ねてきているため、ホンダがニッサンの記録に並ぶ日はそう遠くないのかもしれない。
■GT500クラス 優勝獲得回数ランキング(編集部集計)
Pos. | Win | Driver |
---|---|---|
1 | 8 | 立川祐路 |
2 | 5 | 松田次生 |
2 | 5 | ロニー・クインタレッリ |
3 | 4 | 石浦宏明 |
4 | 3 | 本山哲 |
4 | 3 | リチャード・ライアン |
4 | 3 | 塚越広大 |
4 | 3 | 大嶋和也 |
4 | 3 | J.P・デ・オリベイラ |
5 | 2 | ロイック・デュバル |
5 | 2 | 伊沢拓也 |
5 | 2 | 中嶋一貴 |
5 | 2 | 安田裕信 |
5 | 2 | 山本尚貴 |
5 | 2 | 高木虎之介 |
5 | 2 | ブノワ・トレルイエ |
5 | 2 | 平手晃平 |
5 | 2 | ベルトラン・バゲット |
6 | 1 | 服部尚貴 |
6 | 1 | ラルフ・ファーマン |
6 | 1 | 伊藤大輔 |
6 | 1 | 脇阪寿一 |
6 | 1 | 佐々木大樹 |
6 | 1 | 野尻智紀 |
6 | 1 | 平川亮 |
6 | 1 | ヘイキ・コバライネン |
6 | 1 | ピーター・ダンブレック |
6 | 1 | 武藤英紀 |
6 | 1 | ファビオ・カルボーン |
6 | 1 | セバスチャン・フィリップ |
6 | 1 | ジェームス・ロシター |
6 | 1 | F.マコヴィッキィ |
6 | 1 | ミハエル・クルム |
6 | 1 | 小林崇志 |
6 | 1 | 関口雄飛 |
6 | 1 | 山下健太 |
6 | 1 | ニック・キャシディ |
6 | 1 | 中山雄一 |
6 | 1 | 牧野任祐 |
GT300クラスの最多優勝記録は、最多ポールも記録している高木真一の8勝だ。ポール、優勝記録ともにトップの高木はGT300クラスにおける“富士マイスター”と呼ぶことができるだろう。しかし、優勝記録に関して言えば、7勝で谷口信輝が2番手に続いている。谷口はポール記録こそ高木との差が5回と開いていたものの、優勝記録は高木の背後に続いているかたちだ。
3番手には新田守男、そして2021年シーズンはWEC世界耐久選手権とスーパー耐久に参戦する藤井誠暢が4勝で続いている。
富士スピードウェイでの次戦は11月27〜28日に開催される2021年シーズンの最終戦(第8戦)となる。立川、高木の現“富士マイスター”たちがさらに記録を伸ばすのか。クインタレッリ、谷口のふたりが記録を伸ばし、新たな“富士マイスター”に名乗りを上げるのか。“記録との戦い”という観点からも興味深い一戦となりそうだ。
■GT300クラス 優勝獲得回数ランキング(編集部集計)
Pos. | Win | Driver |
---|---|---|
1 | 8 | 高木真一 |
2 | 7 | 谷口信輝 |
3 | 4 | 新田守男 |
3 | 4 | 藤井誠暢 |
4 | 3 | 片岡龍也 |
4 | 3 | S.ウォーキンショー |
5 | 2 | 黒澤治樹 |
5 | 2 | 井口卓人 |
5 | 2 | 平中克幸 |
5 | 2 | 影山正美 |
5 | 2 | 番場琢 |
5 | 2 | 吉本大樹 |
5 | 2 | 加藤寛規 |
5 | 2 | 吉田広樹 |
5 | 2 | 藤波清斗 |
5 | 2 | 細川慎弥 |
5 | 2 | ドミニク・ファーンバッハー |
5 | 2 | 小林崇志 |
5 | 2 | 川合孝汰 |
6 | 1 | 柴原眞介 |
6 | 1 | 平手晃平 |
6 | 1 | 青木孝行 |
6 | 1 | 田中哲也 |
6 | 1 | 佐々木大樹 |
6 | 1 | 佐々木孝太 |
6 | 1 | アンドレ・クート |
6 | 1 | 星野一樹 |
6 | 1 | 中山雄一 |
6 | 1 | 高橋翼 |
6 | 1 | 八木宏之 |
6 | 1 | 国本京佑 |
6 | 1 | 国本雄資 |
6 | 1 | 嵯峨宏紀 |
6 | 1 | 井口卓人 |
6 | 1 | 千代勝正 |
6 | 1 | ヤン・マーデンボロー |
6 | 1 | 坪井翔 |
6 | 1 | 安田裕信 |
6 | 1 | アンドレ・クート |
6 | 1 | 柳田真孝 |
6 | 1 | J.P.デ・オリベイラ |
6 | 1 | 河野駿佑 |
6 | 1 | 富田竜一郎 |
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