ホンダF1田辺TD初日会見:PU性能向上の噂に海外記者から質問攻め「分かってもらえない部分があることを痛感」
2021年F1第9戦オーストリアGP初日フリー走行は、1週間前より気温、路面温度ともに低いコンディションで行われた。さらにフリー走行2回目では時折り雨も降るなか、メルセデスが1-2を占め、ホンダパワーユニット搭載ドライバーはマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が3番手、角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)、ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)が6、7番手、セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)は11番手だった。
ホンダF1田辺豊治テクニカルディレクターはこの結果に、「まだまだ煮詰めるところは多いが、順調にプログラムを消化できた」と総括した。
また金曜日の会見に出席した際には、ホンダ製パワーユニットがシーズン中にも性能向上が続いているように見えることに各国記者から質問が集中したが、一部で出ている不正疑惑には「技術規約の厳格さから言っても、絶対にあり得ない」と、改めて完全否定した。
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──3連戦締め括りのレース週末が始まりました。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):前戦と同じレッドブルリンクで開催されるということで、他チームも同じ対応だと思いますが、1週間前の状況を見直し、走行データをきっちり解析して今週末のレースに臨みます。
──初日フリー走行の感触はいかがですか?
田辺TD:初日が終了して、4台ともにまだまだ煮詰めるところは多いです。コンディション的にも、土曜日の予選はちょっと気温、路面温度が高くて、日曜日は初日と同じように下がります。予選とレースのコンディションが変わるところもありますので、そこもしっかり対応していきたいです。車体、パワーユニットともに、大きなトラブルもなく順調にプログラムを消化できました。
──ピレリの新構造リヤタイヤについてはどうでしたか?
田辺TD:テストタイヤを混ぜ込みながらの走行だったので、いつもと違う状況でした。とはいえ、いろいろなデータ収集もできましたし、有益なセッションでした。
──同じサーキットを2週連続で走るわけですが、タイヤやコンディションが変わることで、パワーユニットのセッティングも細かく見直していると思います。具体的にどんな部分を重視してるのでしょうか?
田辺TD:コンディションに合わせる部分はもちろんですが、フリー走行では確認できなかったけれど実際のレースでのロングランで分かったこと、たとえばエネルギーマネジメントだったり、ドライバビリティだったり、それは10数周のロングランで得たデータと、レースで得たものとは全然違います。
周回数だけでなく、実際にほかのマシンと戦ったなかでの使い方ですからね。それをもとに、いろいろな対応をします。同じサーキットでも、さらに対応すべき部分はたくさんあるということですね。
──逆にまったく変えないデータもあるのでしょうか?
田辺TD:一言でデータと言っても膨大な量ですので、全部変えることはありません。ここに注視してアップデートをする、そこだけを変えるということです。ただ特定の部分だけを見てそこを変えてしまうと全体のバランスが悪くなったりします。そこは兼ね合いですね。
■ホンダPU性能向上の噂に海外メディアも高い関心
──ホンダパワーユニットの性能向上に関して、海外メディアの関心もかなり高いことが、金曜日会見でのやりとりを聴いていてもよく分かりました。
田辺TD:誤解といいますか、なかなか分かってもらえない部分があることを痛感しました。ただ改めて強調したいのは、現行パワーユニットについての技術レギュレーションは非常に厳格に決まっているということです。
ですので、このパーツを交換したら性能が向上すると分かり、誰かが裏でそうしようとしたら、すぐに不正が全員に明らかになるようになっています。そういう運営のされ方です。
全メーカーの変更申請は、FIAとメーカーでお互いのチェックを経てすべて承認されています。ホンダも出しています。それをすり抜けていたとしたら、かなり賢い。実際にはあり得ないと思います。
──会見では、使い方による性能向上についての質問もありました。
田辺TD:はい。2基目になって(パワーユニットの)様子も分かったので、「もう少しプッシュして使っているのではないか?」あるいは「新品のうちはガンガン使っているのでは?」という質問でした。これに関しては、オフシーズンから実際に使い始めて学んだことを、開幕戦から適用しています。さらに実戦で分かったことを上乗せしながらやってきています。
ということで話をまとめると、持っているものは1基目も2基目も変わりません。しかし、サーキットごとで最適化を進めることで、その精度は上がっているということです。
──全23戦を3基のパワーユニットで戦うというのも、いまさらですがかなりチャレンジングです。
田辺TD:(ホンダ)最終年でもありますし、心配だから最初は少し慎重にいこうかという戦い方はしていません。持てるものの最大限を出していこうと開幕からやっています。
どのサーキットでどれくらいの負荷が掛かるか、パワーユニット感度が高いか、そこをきちんと見てダメージコントロールを行い3基をやりくりしていきます。そこは昨年と変わらないです。
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