トヨタ、今季初のグラベルラリーで勝田/木村組GRヤリスが初優勝飾る/全日本ラリー第7戦
7月2〜4日、JRC全日本ラリー選手権第7戦『2021 ARK ラリー・カムイ』が北海道ニセコ町を中心に開催され、シリーズ最高峰カテゴリーのJN1クラスに参戦するTOYOTA GAZOO Racingは勝田範彦/木村裕介組(トヨタGRヤリスGR4ラリー)が初優勝を達成した。また、チームメイトの眞貝知志/安藤裕一組(トヨタGRヤリスGR4ラリー)も自己最高位となる総合4位で完走を果たしている。
2021年シーズンよりJN1クラスにステップアップするとともに、新型ラリーカー『GRヤリスGR4ラリー』を投入し全日本選手権に参戦しているTOYOTA GAZOO Racing。チームは今シーズン初めて行われるグラベル(未舗装路)イベントのラリー・カムイに向け、入念な準備を重ねてきた。
そこでは2015年から続く活動や過去の実戦で学んだノウハウや、テストで得られたデータが活かされ、今戦に挑むGRヤリスの駆動系や足まわりの仕様が決定されている。なお、チームメカニックのほとんどがグラベルラリー初体験のため、事前のテストでは不整地での車両整備などのシミュレーションも実施したうえで実戦を迎えた。
人数制限の措置がとられながら今シーズン初めて有観客で開催されたラリーでは、選手権8冠王者の勝田が、トップタイムを2度マークするなど好スタートを決め、初日を総合2番手で終える。
翌4日(日)の最終日も力走をみせた勝田は、この日のSS7で総合首位に浮上すると、その後もライバルと順位を入れ替える激しいトップ争いを繰り広げた末に0.7秒差で勝利。移籍後初優勝を飾るとともに、チームとGRヤリスGR4ラリーに初めての総合優勝をもたらした。
「まずは、ここまでの車両を作ってくれたエンジニアとメカニックに感謝したいです」と謝辞を述べた勝田。
「最終日は、毎ステージ、コンマ台の接戦が続き、0.7秒差で勝ち切ることができました。私自身もライバルの選手も同じように限界まで攻め、最終的に勝つことができたと思っています」
今戦でGRヤリスGR4ラリーの「良い点や改善すべき点が見えてきた」と語った勝田は、「次戦の横手に向け、とても良いデータを持ち帰ることができたと思います」と続けている。
一方、チームメイトの眞貝はSS1でコースオフを喫する苦しい立ち上がりとなった。しかし、幸いにも大きなダメージには至らず。眞貝はその後、安定したペースで走行を重ね、自己ベストリザルトを更新する総合4位でフィニッシュしてみせた。
■ハイパワー4WD車両で狭い林道を走ることの難しさを痛感
その眞貝はイベント後、「私自身にとって4WD車両での初グラベルラリーでしたが、いきなりSS1で大きなミスをし、狭い林道をハイパワー4WD車両で走ることの難しさを痛感することからのスタートとなりました」とコメント。
「何とかコースに復帰した後は、セクションごとにチームの皆さんと相談しながらさまざまな変更をクルマに加え、『SS1と最終SSでは、まったく別物』と思えるほど、クルマやドライビングに多くの気付きや発見を得ながらすべてのSSを走行することができました」
「また、コンマ差の争いを繰り広げる勝田選手とライバル選手たちのラリーの進め方を間近で見ることで、改めてJN1クラスの選手やチームの皆さんへの尊敬の念が高まりました」
チームを指揮する豊岡悟志チーム監督は、1年目での勝利がドライバーとチーム、そして開発スタッフの「努力があってこそ」と述べた。
「やりました! 勝利をもたらしてくれた勝田選手と木村選手、4位で完走した眞貝選手と安藤選手に感謝しています」と語った豊岡監督。
「GRヤリスGR4ラリーが、これほど早い段階で優勝争いができるようになったのは、選手とチーム、開発に携わるスタッフの努力があったからこそ。それが、今回の勝利で報われました」
「ただ、ラリーは走れば走るほど課題が見つかります。この結果に安堵せず、今後も改善と進化を続けます。また、今大会は久々に有観客での開催でしたが、応援してくれる方がいることはチームにとって大きな励みとなりました」
「手に汗握る闘いができるのもライバルあってこそです。表彰台で祝福してくれたSUBARUの新井選手、鎌田選手にも心から感謝します。今後も良きライバルとして、クルマ好きの同志として闘っていけたらと思います」
開幕戦嬬恋の中止と第4戦久万高原の延期にともない、実質5戦目にして早くも初勝利を飾ったTOYOTA GAZOO Racing。彼らが次に挑むのは8月20〜22日に秋田県横手市を中心に開催される全日本ラリー第8戦『横手ラリー2021』だ。
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