50クラブのヒーローの集まり…若きイングランド代表は“雑草魂”を持つ集団
サッカーキング2018年7月9日(月)16時57分
若きイングランド代表は“雑草魂”で頂点を目指す [写真]=Action Plus via Getty Images
イングランド代表は7日に行われた2018 FIFAワールドカップ ロシア・決勝トーナメント準々決勝でスウェーデン代表を2-0で下し、1990年イタリア大会以来となるベスト4進出を決めた。1966年の母国開催のW杯以来となる大会制覇を目指している。
快進撃を続けるチームの平均年齢は約26歳。同国史上3番目に若いW杯メンバーがロシアの地で躍動している。もっとも、若きスリー・ライオンズはエリート集団ではない。いずれも“雑草魂”を持つ選手たちばかりだ。
「バーンズリー、リーズ、ボルトン、ブラックバーン。我々の選手たちは、そういうクラブで育ってきた。このチームのメンバーの大半は下部リーグでキャリアをスタートさせ、15人はローン移籍の経験もある」
先週、ガレス・サウスゲート監督がそう口にしたように、多くの選手はW杯の舞台に辿りつくまでに回り道を余儀なくされた。
たとえば、主将を務めるFWハリー・ハイン(トッテナム)。今大会ここまで6ゴールを挙げて得点ランクトップを快走するストライカーは、16歳のときにトッテナムのトップチームで初のベンチ入りを果たしたものの、その後はレイトン・オリエント、ミルウォール、ノリッジといった下部リーグへのローン移籍を繰り返した。本拠地ホワイト・ハート・レーンで初ゴールを決めたのは、2013年10月のこと。トッテナムとプロ契約を交わしてから、実に3年の月日が経過していた。10代から年代別代表に名を連ね、今ではイングランドを代表するストライカーへと成長を遂げたが、順風満帆なキャリアを歩んできたわけではない。
また今大会、もっともブレイクを遂げたGKジョーダン・ピックフォード(エヴァートン)も“苦労人”の一人だ。もともとは地元の名門・サンダーランドのアカデミー出身。弱冠17歳でトップチーム昇格の切符を勝ち取るなど、将来を嘱望されていた。しかし、わずか半年で5部に相当する地域リーグのダーリントンへローン移籍すると、その後も武者修行が続く。2016-17シーズンになって、ようやくサンダーランドで正守護神の座を射止めるまでに、下部リーグの5つのクラブを渡り歩いていた。
昨夏、エヴァートンに加入したピックフォードは、24歳にして所属クラブ数が「8」を数える。だが、今大会のイングランド代表のなかでは珍しい経歴ではなく、DFカイル・ウォーカー(マンチェスター・C)は6クラブ、DFハリー・マグワイア(レスター)とMFジェシー・リンガード(マンチェスター・U)は5クラブでプレーしてきた。また、セミプロから代表まで成り上がったFWジェイミー・ヴァーディ(レスター)のような選手もいる。
プロになってから移籍を経験したことがないのは、チーム最年少のDFトレント・アレクサンダー・アーノルド(リヴァプール)とFWマーカス・ラッシュフォード(マンチェスター・U)の2人だけ。順調にステップアップしてきた選手の名前を挙げる方が難しいくらいだ。
たしかに「真のワールドクラス」と呼べるような選手は数少ない。さらに4年前のブラジル大会を経験しているのは5名だけと、国際経験が豊富な選手もほとんどいない。しかし、舞台は違えども、タフな環境で場数を踏んできた今の代表選手たちは、勇敢さと大胆さを兼ね備え、過去の代表チームにはなかった逞しささえ感じることができる。
「この代表チームは、(イングランド)50クラブのヒーローの集まりだ」
指揮官が強調するように、今大会のイングランド代表は“サッカーの母国”の総力を結集したチームだと言える。幸い、結果が出たことでイングランド国内での人気は急上昇。本国では早くも英雄扱いされているという。
それでも、数々の挫折を味わってきた彼らに慢心はない。「また同じようにやるだけだ。試合を楽しんでいるし、これまでやってきたことを続けて、国のみんなに誇りに思ってもらいたい」というケインの言葉が、チームの本心だろう。
11日に行われる準決勝の相手はクロアチア代表。MFルカ・モドリッチ(レアル・マドリード)やMFイヴァン・ラキティッチ(バルセロナ)など、歴戦の猛者たちとの真っ向勝負となる。28年前の準決勝は、西ドイツ代表にPK戦の末に敗れ、結局4位に終わった。しかし、当時のことを知るメンバーはほとんどいない。52年ぶりの優勝も期待されるが、“雑草集団”はあくまで目の前の試合に全精力を注ぐはずだ。それが勝利への近道だと彼らは知っている。
(記事/Footmedia)
快進撃を続けるチームの平均年齢は約26歳。同国史上3番目に若いW杯メンバーがロシアの地で躍動している。もっとも、若きスリー・ライオンズはエリート集団ではない。いずれも“雑草魂”を持つ選手たちばかりだ。
「バーンズリー、リーズ、ボルトン、ブラックバーン。我々の選手たちは、そういうクラブで育ってきた。このチームのメンバーの大半は下部リーグでキャリアをスタートさせ、15人はローン移籍の経験もある」
先週、ガレス・サウスゲート監督がそう口にしたように、多くの選手はW杯の舞台に辿りつくまでに回り道を余儀なくされた。
たとえば、主将を務めるFWハリー・ハイン(トッテナム)。今大会ここまで6ゴールを挙げて得点ランクトップを快走するストライカーは、16歳のときにトッテナムのトップチームで初のベンチ入りを果たしたものの、その後はレイトン・オリエント、ミルウォール、ノリッジといった下部リーグへのローン移籍を繰り返した。本拠地ホワイト・ハート・レーンで初ゴールを決めたのは、2013年10月のこと。トッテナムとプロ契約を交わしてから、実に3年の月日が経過していた。10代から年代別代表に名を連ね、今ではイングランドを代表するストライカーへと成長を遂げたが、順風満帆なキャリアを歩んできたわけではない。
また今大会、もっともブレイクを遂げたGKジョーダン・ピックフォード(エヴァートン)も“苦労人”の一人だ。もともとは地元の名門・サンダーランドのアカデミー出身。弱冠17歳でトップチーム昇格の切符を勝ち取るなど、将来を嘱望されていた。しかし、わずか半年で5部に相当する地域リーグのダーリントンへローン移籍すると、その後も武者修行が続く。2016-17シーズンになって、ようやくサンダーランドで正守護神の座を射止めるまでに、下部リーグの5つのクラブを渡り歩いていた。
昨夏、エヴァートンに加入したピックフォードは、24歳にして所属クラブ数が「8」を数える。だが、今大会のイングランド代表のなかでは珍しい経歴ではなく、DFカイル・ウォーカー(マンチェスター・C)は6クラブ、DFハリー・マグワイア(レスター)とMFジェシー・リンガード(マンチェスター・U)は5クラブでプレーしてきた。また、セミプロから代表まで成り上がったFWジェイミー・ヴァーディ(レスター)のような選手もいる。
プロになってから移籍を経験したことがないのは、チーム最年少のDFトレント・アレクサンダー・アーノルド(リヴァプール)とFWマーカス・ラッシュフォード(マンチェスター・U)の2人だけ。順調にステップアップしてきた選手の名前を挙げる方が難しいくらいだ。
たしかに「真のワールドクラス」と呼べるような選手は数少ない。さらに4年前のブラジル大会を経験しているのは5名だけと、国際経験が豊富な選手もほとんどいない。しかし、舞台は違えども、タフな環境で場数を踏んできた今の代表選手たちは、勇敢さと大胆さを兼ね備え、過去の代表チームにはなかった逞しささえ感じることができる。
「この代表チームは、(イングランド)50クラブのヒーローの集まりだ」
指揮官が強調するように、今大会のイングランド代表は“サッカーの母国”の総力を結集したチームだと言える。幸い、結果が出たことでイングランド国内での人気は急上昇。本国では早くも英雄扱いされているという。
それでも、数々の挫折を味わってきた彼らに慢心はない。「また同じようにやるだけだ。試合を楽しんでいるし、これまでやってきたことを続けて、国のみんなに誇りに思ってもらいたい」というケインの言葉が、チームの本心だろう。
11日に行われる準決勝の相手はクロアチア代表。MFルカ・モドリッチ(レアル・マドリード)やMFイヴァン・ラキティッチ(バルセロナ)など、歴戦の猛者たちとの真っ向勝負となる。28年前の準決勝は、西ドイツ代表にPK戦の末に敗れ、結局4位に終わった。しかし、当時のことを知るメンバーはほとんどいない。52年ぶりの優勝も期待されるが、“雑草集団”はあくまで目の前の試合に全精力を注ぐはずだ。それが勝利への近道だと彼らは知っている。
(記事/Footmedia)
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