ユーロフォーミュラ・オープン:佐藤万璃音、ハンガロリンクも連勝で通算6勝目
ハンガリー・ハンガロリンクで2019年7月5〜7日、ユーロフォーミュラ・オープン(EFO)の第5大会が7チーム/18台の参加により実施され、佐藤万璃音(モトパーク)は2レースとも優勝、ホンダ育成ドライバーでレッドブル・ジュニアの角田裕毅(モトパーク)は4位と11位、ホンダ育成ドライバーの名取鉄平(カーリン)は2レースとも6位という成績を残した。スポット参戦した松下信治(カーリン)はレース1不参加、レース2で2位だった。
■好調の佐藤万璃音が2勝で4連勝。シーズン6勝目
ドライバーズランキング首位で迎えた本大会、特別に設定された4日の公式合同テスト/プライベートテストで万璃音はトップタイムを記録。翌5日の練習走行(40分間×2回)でも、3番手/2番手と上々の滑り出しをみせる。
「4日はいろいろとトラブルがあったり、クルマが乗りにくかったり。最後もバタバタしていたわりにそれほど悪くなかった。5日はクルマで試したいことがいろいろとあって、悪いものは悪いと理解できた。今週は試さないだろうセットアップもあえて試して、その方向はないと判断できました」
「5日はポーやホッケンハイムなどから持ち越したタイヤの状態や感触がバラバラで、なんとも言えない状況でしたね。正直、いま速くてもあまり関係ないと思う。一年のうちの一日に過ぎず、今週末のレースへそれほど関わってくるものでもない。6日以降はここまでのリザルトどおりにはならないと思う」と万璃音はいたって冷静だった。
蓋を開けてみれば、6日の決勝レース1は2番グリッドからの優勝、7日の決勝レース2は3番グリッドからの優勝。いずれのレースでもルーカス・ダナー(テオ・マルティン)と松下といったポールシッターを得意のスタートで鮮やかに抜き去り、一度も先頭を明け渡すことなく真っ先にチェッカーフラッグを受けた。これにより万璃音は前大会からの連勝記録を“4”へと伸ばし、今季6勝目を飾った。
「決勝レース1はこちらのスタートはふつうでダナーの出足が悪かった。最初の2周はプッシュしたけれど、リヤタイヤのヒートが酷かったのでタイヤマネジメントに専念しました」
「抜かれる可能性のあるポイントだけ後ろとの差をつけ、それ以外はダナーを引き寄せて彼のフロントタイヤを余分に使わせ、自分はタイヤをクールダウンしながら相手のタイヤをヒートさせるような展開に持っていきました。(今まで)勝ったなかではいちばん疲れるレースでしたね」
「決勝レース2ではスタートで前に何かあったときも避けられるようにとか、いろいろなことを考えながらシグナルが消えるのを待っていました。シンプルにスタートが決まったので先頭へ出ることができました」
「松下選手は(FIA-F2で)普段から扱いの難しいタイヤでレースしているので、僕よりもタイヤマネジメントはうまいと思いながらペースをコントロールしていました。突き放すこともできたかもしれないけれど、リスクを避けるためあえてプッシュはしなかった。クルマは昨日より乗りやすかったけれど、レースは昨日より神経を使いましたよ」と万璃音は笑った。
■角田は表彰台に届かず思わぬ苦戦
この週末、まさか総合成績での表彰台登壇が叶わないとは、角田自身もチームも予想していなかったに違いない。というのも、4日の公式合同テスト/プライベートテストで3番手、5日午前の練習走行1回目と同2回目ではトップタイムを記録していたからだ。
しかし、6日の予選1回目で1セット目の新品タイヤを履いた際に不運が訪れた。「勝手にシフトアップしてしまうトラブルで、1セット目の新品タイヤではまともにアタックできなかった」と角田。しかも、「2セット目の新品タイヤのときは砂がコースに出ていて自己ベストを更新できなかった」とのことで、不完全燃焼のまま4番グリッド獲得に甘んじた。
同日の決勝レース1では、スタートに全神経を集中してポジションアップを狙うも叶わず、チームメイトで同じレッドブル・ジュニア所属でもあるリアム・ローソンのリヤウイングを終始にわたりにらみ続け4位でのチェッカーフラッグとなった。
7日の予選2回目も、角田は4番グリッド獲得に留まった。同日の決勝レース2ではスタートシグナルの不可解な点灯に影響されたのか、クラッチの焼き付きでエンジンストール。最後尾からの追い上げを強いられた。
しかし、ハンガロリンクは明らかなタイム差があってもなかなか抜きにくいコース。結局、11位まで順位を戻したところでチェッカーフラッグとなった。
■苦戦続いた名取に復調の兆し。松下の助言が「良い循環に」
名取は同じカーリンからの松下のEFOスポット参戦を素直に歓迎した。「カーリンのクルマでも、モトパークやテオ・マルティンと渡り合えると松下さんが証明した。つまり僕たちがもっと頑張らないといけない」と名取。
4日の公式合同テスト/プライベートテストで9番手、5日の練習走行では1回目こそ14番手に留まるも2回目は6番手へ急浮上した。
迎えた6日の予選1回目は松下の自己ベスト抹消があったとはいえ、チームトップの5番手で通過。決勝レース1では6位となった。
「今週は良い流れ。松下さんのスピードを見られたことはポジティブな収穫です。決勝レース1ではスタートで気持ちが空回りして順位を下げてしまったけれど、6位という結果はともかくレース内容は悪くなかった」
「松下さんからはセットアップなどについてもアドバイスをいただいていて、自分も成長できていると思う。チームメイトが速いと、それに自分も合わせようとするから良い循環になっていますね」
もっとも、7日の予選2回目は11番手に沈んだ。「松下さんからのアドバイスでアグレッシブにクルマを走らせましたが、自分自身がそれに対応できずミスで一周をまとめきれなかった。集団の中でタイヤを十分に温められなかったのも一因」と苦笑い。
それでも決勝レース2ではエンジンストールで順位を落としたクルマが2台もあり、1周目だけで7番手まで順位を上げた。前方の1台が後退して6番手へ浮上した名取は、先行する5番手を終始にわたり追い掛け回しながら6位でチェッカーとなった。
※ ※ ※ ※ ※ ※
なお、FIA-F3とEFOを掛け持ちで参戦している角田と名取は、両選手権の日程が重なる7月13〜14日と9月7〜8日(F3はモンツァ戦、EFOはシルバーストン戦)はいずれもF3を優先し、EFOは欠場する予定。
これによりEFOのドライバーズタイトル争いは、208点でランキング首位につける万璃音と、127点で2位につけるダナーによる一騎討ちとなりそうだ。
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