インハイは16強が決定 “指導者のバトン”に共感、カナリア軍団復活、伸びしろへの期待
サッカーキング2022年7月25日(月)22時45分
帝京が青森山田に勝利 [写真]=川端暁彦
24日11時半キックオフの全国高等学校総合体育大会(通用インターハイ)の試合後、会場の徳島県鳴門市から高速バスに乗り込み、新幹線などを経て愛知県豊田市へ。19時20分キックオフのEAFF E-1選手権第2節の日本代表vs中国代表を取材した。
午前中に履正社高校を率いる平野直樹監督の教え子、町野修斗に関する思い出話を聞いたあとに、青いユニフォームを着た彼のプレーを観られるなんて贅沢な体験をさせてもらった。あらためてサッカーは全てが地続きであることを実感できたし、「小中学生の指導者から受け取ったバトンを次の指導者に渡して育てていくのが自分たち高校年代の指導者の役目」と語る平野監督の話には強く共感させられた。
試合後は名古屋市へ移動して夜行バスに乗り込み、再び徳島県へ戻って朝9時15分開始の2回戦に臨む弾丸ツアーだったが、こちらは確実に観ておきたい試合である。前年度優勝の青森山田高校(青森)と過去3度の優勝を誇る帝京高校(東京)の対戦と、前回8強で今大会の優勝候補と目される大津高校(熊本)と中国の新鋭としてメキメキと頭角を現している瀬戸内高校(広島)が激突する二つの好カードだ。
結果は昨年の高校総体で“全国復帰”を果たすなど近年着実に力を回復してきていた帝京が青森山田を2-1で破り、大津も粘る瀬戸内を突き放して3-1で快勝するという形になった。元より北国ゆえに夏には余り強くない青森山田だけに、関係者の下馬評では帝京優勢の声も多かった。意外な結果という感覚はなかったものの、かつて高校サッカーで一時代を築いたカナリア軍団の復活を強く印象付ける勝利だったのは間違いない。履正社・平野監督の言葉を借りれば、「あのユニフォームを観ると、こっちも楽しくなってきちゃう」チームの復権である。
もう1つの試合を制した大津は、主将も務めるU-19日本代表FW小林俊瑛の2得点などで快勝。1年生の大型CB五嶋夏生と、本来MFながら最後方からのフィード力を買われてコンバートされた2年生CBの碇明日麻の両CBの成長ぶりも印象的で、交代選手の質が軒並み高い分厚い選手層も含め、大会の優勝候補であることを改めて確信させた。
対する瀬戸内も相手の猛烈なプレッシングにハマってしまった序盤から一転、柔軟なシステム変更からペースを握り直して主導権を掴む時間帯もあるなど、決して悪い内容ではなかった。選手たちも手応えは得ている様子だっただけに、「伸びしろしかないと思っている」(田中健二郎監督)冬に、あらためて期待したくなった。
第2試合では履正社高校(大阪)と神村学園高校(鹿児島)の対戦を観戦。今大会うなぎ登りで評価も上げている履正社のFW古田和之介がこの試合も得意のオフ・ザ・ボールでの動き出しで引っかき回し、2-0での快勝となった。
平野監督が「本来の状態ではなかったと思う。ちょっと可哀想だった」と語ったように、神村学園は準備期間にコロナ禍の影響を受けて主力選手たちが離脱・隔離される事態にあって、「全体での練習はまったくできなかった」(有村圭一郎監督)影響があったのは否めなかった。
直前に感染者が出て大会参加を辞退するチームもあるなど、あらためてコロナ禍によって高校生たちが受ける影響の深さについても考えさせられる大会ともなってしまった。
大会はこれで16強が出そろい、26日に3回戦、1日空いた28日に準々決勝と進んでいく。外野の身としては、これ以上の禍が起こることないまま、最後までつつがなく大会が終わってくれればと願うのみである。
取材・文=川端暁彦
午前中に履正社高校を率いる平野直樹監督の教え子、町野修斗に関する思い出話を聞いたあとに、青いユニフォームを着た彼のプレーを観られるなんて贅沢な体験をさせてもらった。あらためてサッカーは全てが地続きであることを実感できたし、「小中学生の指導者から受け取ったバトンを次の指導者に渡して育てていくのが自分たち高校年代の指導者の役目」と語る平野監督の話には強く共感させられた。
試合後は名古屋市へ移動して夜行バスに乗り込み、再び徳島県へ戻って朝9時15分開始の2回戦に臨む弾丸ツアーだったが、こちらは確実に観ておきたい試合である。前年度優勝の青森山田高校(青森)と過去3度の優勝を誇る帝京高校(東京)の対戦と、前回8強で今大会の優勝候補と目される大津高校(熊本)と中国の新鋭としてメキメキと頭角を現している瀬戸内高校(広島)が激突する二つの好カードだ。
結果は昨年の高校総体で“全国復帰”を果たすなど近年着実に力を回復してきていた帝京が青森山田を2-1で破り、大津も粘る瀬戸内を突き放して3-1で快勝するという形になった。元より北国ゆえに夏には余り強くない青森山田だけに、関係者の下馬評では帝京優勢の声も多かった。意外な結果という感覚はなかったものの、かつて高校サッカーで一時代を築いたカナリア軍団の復活を強く印象付ける勝利だったのは間違いない。履正社・平野監督の言葉を借りれば、「あのユニフォームを観ると、こっちも楽しくなってきちゃう」チームの復権である。
もう1つの試合を制した大津は、主将も務めるU-19日本代表FW小林俊瑛の2得点などで快勝。1年生の大型CB五嶋夏生と、本来MFながら最後方からのフィード力を買われてコンバートされた2年生CBの碇明日麻の両CBの成長ぶりも印象的で、交代選手の質が軒並み高い分厚い選手層も含め、大会の優勝候補であることを改めて確信させた。
対する瀬戸内も相手の猛烈なプレッシングにハマってしまった序盤から一転、柔軟なシステム変更からペースを握り直して主導権を掴む時間帯もあるなど、決して悪い内容ではなかった。選手たちも手応えは得ている様子だっただけに、「伸びしろしかないと思っている」(田中健二郎監督)冬に、あらためて期待したくなった。
第2試合では履正社高校(大阪)と神村学園高校(鹿児島)の対戦を観戦。今大会うなぎ登りで評価も上げている履正社のFW古田和之介がこの試合も得意のオフ・ザ・ボールでの動き出しで引っかき回し、2-0での快勝となった。
平野監督が「本来の状態ではなかったと思う。ちょっと可哀想だった」と語ったように、神村学園は準備期間にコロナ禍の影響を受けて主力選手たちが離脱・隔離される事態にあって、「全体での練習はまったくできなかった」(有村圭一郎監督)影響があったのは否めなかった。
直前に感染者が出て大会参加を辞退するチームもあるなど、あらためてコロナ禍によって高校生たちが受ける影響の深さについても考えさせられる大会ともなってしまった。
大会はこれで16強が出そろい、26日に3回戦、1日空いた28日に準々決勝と進んでいく。外野の身としては、これ以上の禍が起こることないまま、最後までつつがなく大会が終わってくれればと願うのみである。
取材・文=川端暁彦
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