ホンダ・シビックがトヨタ2台を振り切り勝利。元王者アルドゥソが今季3勝目/STC2000第6戦
長らくその開催地が未定のままとなっていた2021年のスーパーTC2000(STC2000)第6戦は、当初のスケジュールどおり7月17〜18日の週末に、本来は第5戦開催予定地だったパラナで実施され、土曜クオリファイレースはTOYOTA GAZOO Racing YPFインフィニアのジュリアン・サンテロ(トヨタ・カローラSTC2000)が制覇。続く日曜のフィーチャーレースは、今季からプーマ・エナジー・ホンダ・レーシングに移籍した元2冠王者ファクンド・アルドゥソ(ホンダ・シビックSTC2000)が勝利を挙げ、今季3勝目を手にしている。
本来第5戦として6月5〜6日の週末に開催予定だったパラナだが、アルゼンチン国内で依然として猛威を振るう新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の影響を受け、6月9〜10日に首都ブエノスアイレスのオスカー・ファン・ガルベスに場所と日時を移しての、平日“ミッドウイーク”レースに代替されていた。
5月末まで続いた全土ロックダウンは明けたものの、行動規制の続く現状でも1日平均1万人以上の新規感染者数を記録する状況のなか、アルゼンチン東部エントレ・リオス州のサーキットにはルーベンス・バリチェロ(トヨタ・カローラSTC2000)を除く全レギュラードライバー勢が集結。
土曜に開催された予選レースでは、セーフティカー導入の混乱も活用してポールシッターのマティアス・ミラ(ルノー・フルーエンスGT)を逆転したTOYOTA GAZOO Racing アルゼンティーナ(TGRA)のサンテロが今季2勝目をマークし、2位表彰台にもミラを上回ったシボレーYPFチームの2016年王者、アグスティン・カナピノ(シボレーYPFクルーズ)が入るリザルトとなった。
この結果により、日曜午前11時50分から40分+1ラップでスタートが切られたフィーチャーレースは、サンテロとカナピノのフロントロウ対決で幕を明け、好ダッシュを決めたシボレーがトヨタの前に出て序盤戦を支配していく。
しかし、その後方からさらに猛烈な勢いで上位進出を果たしたのがディフェンディングチャンピオンのマティアス・ロッシ(トヨタ・カローラSTC2000)で、予選レースで9位に終わった現王者がプッシュ・トゥ・パスも活用して早々に3番手まで浮上してくる。
■カローラとシビックによる死闘が展開
これを機に「エースの護衛役」を買って出た2番手サンテロは、チームプレーに徹してロッシを先行させると、この気持ちに応えたシリーズ5冠のチャンピオンはすぐさまシボレーを仕留め、この動きに乗じて2番手を奪還したサンテロとともにカローラがワン・ツー体制を築き上げる。
そのままジリジリとギャップを拡大するTGRA編隊に対し、追い縋る余力が残されていない3番手カナピノの背後に、こちらも6番手発進だったシビックのアルドゥソが迫ってくる。
昨季まで所属したルノースポール・カストロール・チームでは2017-18年とシリーズ連覇も経験するチャンピオン同士の対決はホンダに軍配が上がり、ホームストレート後のバンク進入で新型シビックが3番手に躍り出る。
ここでふたたびエクストラ・パワーを活用したアルドゥソは、すぐにサンテロもパスして首位ロッシとの間合いを詰めると、ここからサイド・バイ・サイドの熾烈な優勝争いが続き、トヨタ・カローラとホンダ・シビックは何度もポジションを入れ替えながらの死闘を繰り広げる。
前のラップでオーバーテイクされたコーナーで相手の動きを見極めたアルドゥソは、続く周回の同じ場所でふたたびの逆襲に成功すると、そのまま首位を守り切って今季3度目のトップチェッカー。さらにファイナルラップでは「レース中盤には自らの意思で彼に先を譲ったが、チームには“オーダー”がないことを確認した」というサンテロがエースを再逆転し、2位でチェッカーフラッグをくぐっている。
「レース前半は上位勢がプッシュ・トゥ・パスを多用し、激しいポジション争いを展開するのを見てフロントタイヤのマネジメントに集中した。限られたエクストラパワーも温存していたんだ」と、その勝因を明かしたアルドゥソ。
「リードを奪ってからは、追い上げていた時のようなラップは刻めなかったけど、タイヤに余力があった分だけリスキーなオーバーテイクを実行できた。トヨタの2台とは本当に僅差のパフォーマンスだったけど、チームと練り上げた戦略がうまくいってくれたね」
この結果、予選レース時点でランキング首位に返り咲いたアルドゥソが94点まで伸ばし、2位に85点の王者ロッシ、3位に83点でサンテロが続くオーダーとなったSTC2000シリーズ。続く第7戦は8月14〜15日の週末が予定されているものの、その開催地は現状未定となっている。
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