「チームのために」“22人全員”で挑む準決勝・スペイン戦 すべてを注いで
サッカーキング2021年8月3日(火)12時19分
ニュージーランド戦。PK戦を制して歓喜の輪 [写真]=Getty Images
7月31日の準々決勝から明けて8月1日、2日と日本の男子サッカー五輪代表は千葉県内でトレーニングを実施。3日20時から埼玉スタジアム2002で行われる準決勝に備えた。
とはいえ、真夏の五輪は、グループステージ第1戦から中2日でのゲームが続き、次の準決勝も同じく中2日で巡ってくるというタフなスケジュールである。トレーニングといっても、出場を重ねているメンバーは回復が最優先。対スペインを意識したトレーニングをじっくり行いたいところだが、メニューも時間も限られてくるのは仕方のないところである。
フィジカルコンディションが最優先。その成果でこの準決勝に至っても、大会での出場が不可能となるような負傷者は出ておらず、2日のトレーニングにも22人全員が参加している。調整や練習の設定、起用法のバランスなど、細心の注意を払ってきた成果が出ていると言えるだろう。DF冨安健洋が出場停止なのは不安要素と言えるが、代わって出場が見込まれるDF板倉滉はグループステージの2試合で同様の代役を務め、しかも2勝している。心理面を含めてもこれは大きな要素だ。
また目立っているのは控え組、それも出場する可能性のないベンチ外に回っている選手たちの貢献だ。試合前のウォーミングアップを観ていると、ベンチ入りできない第3GKの鈴木彩艶は、川口能活GKコーチのサポート役に回って、球出しなどの地味な仕事を誠実にこなしているし、瀬古歩夢や町田浩樹といった選手たちは荷物を運んで、声も出す。
非常に“日本的”な光景なのだが、プライドを持ったプロ選手たちが「チームの勝利のために」と献身できるのは、やはり強みだろう。MF遠藤航は「本当に素晴らしい選手たち」とした上で、こう語る。
「そこは本当に日本人の素晴らしい部分だと思っている。出られる選手、出られない選手がいる中で、彼らも悔しい思いをしていると思いますけど、『チームのために』と、常に普段の練習もそうだし、試合のところでも準備の段階から貢献してくれている。悔しさを表には出さずに堪えながらやってくれている。本当に感謝しています」
ロッカールームを「来る前よりも美しく」清掃して帰るのがサッカー日本代表が各年代のチームで共通して貫いているモットーだが、そこでもサポートメンバーたちは率先して役割をこなしているという。そういう姿に感じるものがない選手は、このチームにいないだろう。
もちろん、彼らは出場を諦めているわけでは決してない。1日の練習では、試合に出続けている選手たちがリカバリーメニューをこなすのにとどまったため、ピッチでボールを蹴ったのは2名のGKを含むわずか8名だった。モチベーションを落としても不思議はない状況だが、一度もベンチ入りしていない瀬古や鈴木も集中したプレーを披露。瀬古がスタッフと居残りで守備の練習に取り組んでいる姿も印象的だった。こうした姿勢の選手たちが控えているのは強いチームの証でもある。
この日のシュート練習では、FW前田大然がフランス戦を彷彿とさせるゴール隅へと流し込むシュートを頻繁に繰り出しており、フィーリングはかなり良さそうだ。出番が巡ってくれば、大暴れの予感も漂う。2012年ロンドン五輪のスペイン戦がそうだったように、後方からのビルドアップを得意とする相手に対し、プレッシングマシーンとしてぶつける手もありそうだ。
準決勝、スペイン戦。ここで燃え尽きるつもりはないものの、出し惜しみするゲームでもないだろう。セットプレー含めて出せるモノはすべて出し切り、いまこの代表チームが持っている「全力を注いで」(DF中山雄太)、勝利を狙っていくこととなる。
取材・文=川端暁彦
とはいえ、真夏の五輪は、グループステージ第1戦から中2日でのゲームが続き、次の準決勝も同じく中2日で巡ってくるというタフなスケジュールである。トレーニングといっても、出場を重ねているメンバーは回復が最優先。対スペインを意識したトレーニングをじっくり行いたいところだが、メニューも時間も限られてくるのは仕方のないところである。
フィジカルコンディションが最優先。その成果でこの準決勝に至っても、大会での出場が不可能となるような負傷者は出ておらず、2日のトレーニングにも22人全員が参加している。調整や練習の設定、起用法のバランスなど、細心の注意を払ってきた成果が出ていると言えるだろう。DF冨安健洋が出場停止なのは不安要素と言えるが、代わって出場が見込まれるDF板倉滉はグループステージの2試合で同様の代役を務め、しかも2勝している。心理面を含めてもこれは大きな要素だ。
また目立っているのは控え組、それも出場する可能性のないベンチ外に回っている選手たちの貢献だ。試合前のウォーミングアップを観ていると、ベンチ入りできない第3GKの鈴木彩艶は、川口能活GKコーチのサポート役に回って、球出しなどの地味な仕事を誠実にこなしているし、瀬古歩夢や町田浩樹といった選手たちは荷物を運んで、声も出す。
非常に“日本的”な光景なのだが、プライドを持ったプロ選手たちが「チームの勝利のために」と献身できるのは、やはり強みだろう。MF遠藤航は「本当に素晴らしい選手たち」とした上で、こう語る。
「そこは本当に日本人の素晴らしい部分だと思っている。出られる選手、出られない選手がいる中で、彼らも悔しい思いをしていると思いますけど、『チームのために』と、常に普段の練習もそうだし、試合のところでも準備の段階から貢献してくれている。悔しさを表には出さずに堪えながらやってくれている。本当に感謝しています」
ロッカールームを「来る前よりも美しく」清掃して帰るのがサッカー日本代表が各年代のチームで共通して貫いているモットーだが、そこでもサポートメンバーたちは率先して役割をこなしているという。そういう姿に感じるものがない選手は、このチームにいないだろう。
もちろん、彼らは出場を諦めているわけでは決してない。1日の練習では、試合に出続けている選手たちがリカバリーメニューをこなすのにとどまったため、ピッチでボールを蹴ったのは2名のGKを含むわずか8名だった。モチベーションを落としても不思議はない状況だが、一度もベンチ入りしていない瀬古や鈴木も集中したプレーを披露。瀬古がスタッフと居残りで守備の練習に取り組んでいる姿も印象的だった。こうした姿勢の選手たちが控えているのは強いチームの証でもある。
この日のシュート練習では、FW前田大然がフランス戦を彷彿とさせるゴール隅へと流し込むシュートを頻繁に繰り出しており、フィーリングはかなり良さそうだ。出番が巡ってくれば、大暴れの予感も漂う。2012年ロンドン五輪のスペイン戦がそうだったように、後方からのビルドアップを得意とする相手に対し、プレッシングマシーンとしてぶつける手もありそうだ。
準決勝、スペイン戦。ここで燃え尽きるつもりはないものの、出し惜しみするゲームでもないだろう。セットプレー含めて出せるモノはすべて出し切り、いまこの代表チームが持っている「全力を注いで」(DF中山雄太)、勝利を狙っていくこととなる。
取材・文=川端暁彦
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