F1第5戦木曜会見(2):ヒュルケンベルグ、代役参戦は自身の去就にとってプラスに「将来の話をする人もいる」
新型コロナウイルス感染症の陽性反応を受け、第4戦イギリスGPを欠場したセルジオ・ペレス(レーシングポイント)の代役として、急きょ古巣からF1に復帰したニコ・ヒュルケンベルグ。70周年記念グランプリを前に、ペレスがイングランド公衆衛生サービスから必要な隔離期間が終了したという発表が8月6日(木)にあったものの、ペレスがサーキットに入場するには、新型コロナウイルスの再検査で陰性の結果が出なければならず、木曜日の会見にレーシングポイントのドライバーとしてランス・ストロールと共に登場したのは、ヒュルケンベルグだった。
ヒュルケンベルグにとっては、これが2020年初のF1での公式会見となった。この会見時にはまだヒュルケンベルグが70周年記念グランプリに出場するかどうかは未定だったが、たとえペレスが復帰して、今年F1のレースに出場する機会がなくなったとしても、それを受け入れると語った。
「F1という最高のマシンの醍醐味を味わった後だから、もしこのままレースに出られないということになれば少しガッカリするだろう。でも僕がチェコ(ペレスの愛称)の一時的な代役なんだから、それは仕方がないこと。たとえ、今回乗れたとしても、彼がメインのレースドライバーであり、いずれは彼が復帰して、再びこのチームでレースに出場するわけだから」
そのうえで、もし出場できれば、将来に向けて良いチャンスとなるだろうと言う。
「力強い走り、良い結果を出せば、それはレーシングドライバーとして何にも増して良い宣伝となるからね。もちろん、チーム代表は結果だけを見て判断しているわけではない。今回のような特別な状況ではなおさらだ。だから、先週のイギリスGPでは与えられた状況のなかでできる限りのことはしたと思うし、よくやったと思う。もちろん、ドライバーというのは常にもっと良くやれたと思うところはあるけれど、全体的にはOKさ」
そしてイギリスGPでの緊急代役の経験は、自分の将来にプラスになったとも言う。
「チーム代表など、この世界の多くの人々から連絡が入った。ただ単に、あいさつ程度というものもあれば、将来についての話し合いをする人もいる。もちろん、まだ具体的なことは何も決まっていない。数週間は時間がかかると思う」
その8月6日に、2021年の契約を結んだドライバーがいる。メルセデスがバルテリ・ボッタスの2021年残留を発表した。2017年にニコ・ロズベルグの後任としてウイリアムズから移籍してきたボッタスの契約期間は、移籍以来ずっと単年契約だったが、それは今回も同様で1年となっている。だから、今回の契約更新はスムーズだったという。
「ほとんどコピー&ペーストしたようなものだったよ(笑)。もちろん、弁護士とか事務処理をしなければいけない人たちはいろいろ大変だと思うけど、僕はただサインしただけ。簡単なことだった」
ただし、今回の契約更新はいつもと少し異なる雰囲気だったという。
「いつもは6月くらいには交渉は真っ只中なのに、今年は6月になってもレースが行われなかったので、僕たちは少し様子を見ていた。そして、7月から再開されるレースに集中してから、話をしようとことになった」
このことは、ハミルトンの契約交渉にも影響を与えている。というのも、メルセデスはボッタスだけでなくハミルトンとの契約も今年限りで、通常であれば、メルセデスはハミルトンとの交渉を優先すべきなのだが、新型コロナウイルスの影響で、ハミルトンとの交渉も遅れている。
「僕がこのチームでレースを続けたいと気持ちに変わりはない。(メルセデス以外)ほかのチームとは話はしていないからね。早く交渉を終わらせれば、契約に関わる人々もハッピーだろう」
「でも、どうしても気が進まないんだ。もう少しだけ待ちたい。だって、いまが交渉を進め、発表することは正しい時期だとは思えないからね。世界中で本当に多くの人々が職を失い、失業しているというこの時期に、自分だけ自分の将来を安定させることに時間を費やすことが正しいやり方だとは思えないんだ」
メルセデスの親会社であるダイムラーが7月23日に発表した2020年の4〜6月期の決算は、最終損益が20億100万ユーロ(約2480億円、前年同期は13億ユーロの赤字)の赤字だった。ディーゼル問題や電動化投資などで収益悪化が続いたのに加え、新型コロナウイルスの影響でさらに悪化させた。
すでにダイムラーは2019年11月に、2022年までに全世界で1万人以上の人員削減を打ち出していたが、この業績悪化を受けて、リストラが2025年までに拡大し、その削減規模は3万人とも言われている。
ハミルトンの残留は確実だが、いまはその発表する時期を待っているという状況のようだ。
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