チェルシーが早くも“イメチェン”に成功? サッリ新監督とともに「魅せるチーム」へ
サッカーキング2018年8月17日(金)18時0分
サッリ新体制のチェルシーはリーグ開幕戦を3-0の快勝で飾った [写真]=Getty Images
ロマン・アブラモヴィッチがチェルシーのオーナーになってから早15年。石油王による“ロシア革命”以降のクラブは5度のプレミアリーグ優勝を成し遂げ、名実ともにビッグクラブの仲間入りを果たした。
チームにタイトルをもたらしてきたジョゼ・モウリーニョやアントニオ・コンテの率いる集団は確かに強かった。しかし、彼らのチームは堅守速攻が特徴であったり、効率重視の“軍隊式”であったりと、相手をねじ伏せることはできても、そこにオーナーが望むようなスペクタクルはなかった。アブラモヴィッチが真の意味で満足するようなチーム、世界中のフットボール・ファンを魅了するような美しいチームでは決してなかったのである。
そんなオーナーの宿願がついに成就する時がくるかもしれない。今シーズンからベンチを預かったのは、ナポリを欧州屈指の「魅せるチーム」に育て上げたマウリツィオ・サッリ監督だ。元銀行員の肩書きを持ち、母国イタリアの9部リーグから独自の戦術理論を磨いてトップレベルへの階段を上ってきた異色の指揮官は、就任会見でこう宣言した。
「私がチェルシーで目指すのは、見ているファンが楽しいと思えるようなフットボールだ」
その言葉を証明するように、華麗なテクニックでファンを楽しませてきたジャンフランコ・ゾラを自身の右腕となる助監督に招いた。結果と内容の両立。クラブのレジェンドを従えた新指揮官はチェルシーというクラブに文字どおり革命を起こそうとしている。
その予兆は、ハダースフィールドに3-0で快勝した8月11日のプレミアリーグ開幕戦で早くも見られた。コンテ前監督のトレードマークだった3-4-3システムから心機一転、4-3-3システムで試合に臨んだ新チームは、サッリがナポリから連れてきた愛弟子のジョルジーニョを核として華麗なポゼッションワークを披露。基本的に相手にボールを“持たせる”サッカーだったコンテ時代とは対照的だった。
各選手がワンタッチ、ツータッチで“当てて、落として、後方から出てくる選手につなぐ”というパスの上下動を繰り返し、小気味よくシンプルに、時に緩急をつけながら全体を押し上げて相手守備陣を揺さぶっていく。この日のチーム2点目はジョルジーニョのPKによるものだったが、この場面ではファウルをもらうまでの過程で一度も敵にボールを触らせることなく、自陣から14本ものパスをつないで敵陣ボックス内まで侵入している。
一連のプレーは間違いなくチェルシーの変貌ぶりを示していた。それでもサッリは試合後、「攻撃ではさらに速くパスを回さないといけない」とチームにいっそうの向上を求めた。少し時間は必要かもしれないが、サッリが頭に描いているのと同じ絵を選手たちが描けるようになれば、パスワークのテンポや精度、継続性はどんどん上がっていくはずだ。
チームには指揮官の理想を体現し得るだけのメンバーがそろっている。最終ラインではコンテに干されていたダヴィド・ルイスが輝きを取り戻しつつある。全体をコンパクトに保つためのハイライン戦術や、DFにも積極的な縦パスを求めるスタイルは、D・ルイスの持ち味とマッチしている。本人ものびのびとプレーを楽しめている様子だ。
中盤では開幕戦で93.9パーセントという高いパス成功率を叩き出したジョルジーニョがアンカーの位置に収まったことで、エンゴロ・カンテに新たな役割が与えられた。リーグ屈指のボールハンターとしての顔に加え、新体制下では持ち前のスタミナを生かしながらハイプレスの急先鋒となり、実は巧みな足技を駆使して崩しの局面にも絡んだ。ボックス・トゥ・ボックス型のインサイドハーフとして新境地を開くかもしれない。
ジョルジーニョ、カンテと並ぶもう1枠には、ロス・バークリーやセスク・ファブレガス、新加入のマテオ・コヴァチッチら、シュートやラストパスといった一芸で攻撃に華を添えるクリエイティブなタイプが入るだろう。個性豊かな中盤の3センターはチェルシーの新たなシンボルとなりそうだ。
そして最後はアタッカー陣だ。開幕戦ではパスワークの中で相手の裏を突くプレーを得意とするバルセロナ育ちのペドロ・ロドリゲスが躍動した。同じスペイン人のアルバロ・モラタも、周囲と連動してゴールに迫るサッリのスタイルと水が合いそうだ。昨季は不発だったモラタが奮起すれば、ポゼッション後のフィニッシュも心配はなくなる。
あとはレアル・マドリード行きが噂されるエデン・アザールが、スペインの移籍期限である8月末を過ぎてもブルーのシャツを着続けているかどうか。エースが残留の道を選んだなら、それこそが今夏最大の“補強”になる。10番のドリブル突破を引き続き攻撃の切り札にできるのであれば、最強の呼び声高いマンチェスター・シティとも互角にわたり合えるかもしれない。
文=大谷 駿
チームにタイトルをもたらしてきたジョゼ・モウリーニョやアントニオ・コンテの率いる集団は確かに強かった。しかし、彼らのチームは堅守速攻が特徴であったり、効率重視の“軍隊式”であったりと、相手をねじ伏せることはできても、そこにオーナーが望むようなスペクタクルはなかった。アブラモヴィッチが真の意味で満足するようなチーム、世界中のフットボール・ファンを魅了するような美しいチームでは決してなかったのである。
そんなオーナーの宿願がついに成就する時がくるかもしれない。今シーズンからベンチを預かったのは、ナポリを欧州屈指の「魅せるチーム」に育て上げたマウリツィオ・サッリ監督だ。元銀行員の肩書きを持ち、母国イタリアの9部リーグから独自の戦術理論を磨いてトップレベルへの階段を上ってきた異色の指揮官は、就任会見でこう宣言した。
「私がチェルシーで目指すのは、見ているファンが楽しいと思えるようなフットボールだ」
その言葉を証明するように、華麗なテクニックでファンを楽しませてきたジャンフランコ・ゾラを自身の右腕となる助監督に招いた。結果と内容の両立。クラブのレジェンドを従えた新指揮官はチェルシーというクラブに文字どおり革命を起こそうとしている。
その予兆は、ハダースフィールドに3-0で快勝した8月11日のプレミアリーグ開幕戦で早くも見られた。コンテ前監督のトレードマークだった3-4-3システムから心機一転、4-3-3システムで試合に臨んだ新チームは、サッリがナポリから連れてきた愛弟子のジョルジーニョを核として華麗なポゼッションワークを披露。基本的に相手にボールを“持たせる”サッカーだったコンテ時代とは対照的だった。
各選手がワンタッチ、ツータッチで“当てて、落として、後方から出てくる選手につなぐ”というパスの上下動を繰り返し、小気味よくシンプルに、時に緩急をつけながら全体を押し上げて相手守備陣を揺さぶっていく。この日のチーム2点目はジョルジーニョのPKによるものだったが、この場面ではファウルをもらうまでの過程で一度も敵にボールを触らせることなく、自陣から14本ものパスをつないで敵陣ボックス内まで侵入している。
一連のプレーは間違いなくチェルシーの変貌ぶりを示していた。それでもサッリは試合後、「攻撃ではさらに速くパスを回さないといけない」とチームにいっそうの向上を求めた。少し時間は必要かもしれないが、サッリが頭に描いているのと同じ絵を選手たちが描けるようになれば、パスワークのテンポや精度、継続性はどんどん上がっていくはずだ。
チームには指揮官の理想を体現し得るだけのメンバーがそろっている。最終ラインではコンテに干されていたダヴィド・ルイスが輝きを取り戻しつつある。全体をコンパクトに保つためのハイライン戦術や、DFにも積極的な縦パスを求めるスタイルは、D・ルイスの持ち味とマッチしている。本人ものびのびとプレーを楽しめている様子だ。
中盤では開幕戦で93.9パーセントという高いパス成功率を叩き出したジョルジーニョがアンカーの位置に収まったことで、エンゴロ・カンテに新たな役割が与えられた。リーグ屈指のボールハンターとしての顔に加え、新体制下では持ち前のスタミナを生かしながらハイプレスの急先鋒となり、実は巧みな足技を駆使して崩しの局面にも絡んだ。ボックス・トゥ・ボックス型のインサイドハーフとして新境地を開くかもしれない。
ジョルジーニョ、カンテと並ぶもう1枠には、ロス・バークリーやセスク・ファブレガス、新加入のマテオ・コヴァチッチら、シュートやラストパスといった一芸で攻撃に華を添えるクリエイティブなタイプが入るだろう。個性豊かな中盤の3センターはチェルシーの新たなシンボルとなりそうだ。
そして最後はアタッカー陣だ。開幕戦ではパスワークの中で相手の裏を突くプレーを得意とするバルセロナ育ちのペドロ・ロドリゲスが躍動した。同じスペイン人のアルバロ・モラタも、周囲と連動してゴールに迫るサッリのスタイルと水が合いそうだ。昨季は不発だったモラタが奮起すれば、ポゼッション後のフィニッシュも心配はなくなる。
あとはレアル・マドリード行きが噂されるエデン・アザールが、スペインの移籍期限である8月末を過ぎてもブルーのシャツを着続けているかどうか。エースが残留の道を選んだなら、それこそが今夏最大の“補強”になる。10番のドリブル突破を引き続き攻撃の切り札にできるのであれば、最強の呼び声高いマンチェスター・シティとも互角にわたり合えるかもしれない。
文=大谷 駿
(C) SOCCERKING All rights reserved.
「チェルシー」をもっと詳しく
「チェルシー」のニュース
-
新指揮官を探すバイエルン、チェルシー退任のポチェッティーノ監督に興味?5月23日13時35分
-
チェルシーやブライトンから関心のマッケンナ監督、イプスウィッチの新契約を拒否?5月23日13時10分
-
チェルシーMFパルマー、ファンが選ぶ年間最優秀選手に選出! プレミアリーグでは34試合出場で22ゴール10アシストを記録5月22日22時58分
-
クリス松村、販売が終了している品を貰い感動「もう、いただけないと思っていた」5月22日19時24分
-
チェルシー、次期指揮官の大本命はイプスウィッチの指揮官? ヘーネス監督にもコンタクト開始か5月22日17時41分
-
パルマー、指揮官退任のポチェッティーノ監督にメッセージ「僕の夢を実現させてくれたことすべてに感謝」5月22日16時13分
-
フリック氏、バルサ指揮官就任を強く希望? 現地紙「すでにチェルシーに“ノー”を突きつけている」5月22日14時3分
-
チェルシー退任のポチェッティーノ監督、マンUの新指揮官就任の可能性も?5月22日14時1分
-
CB補強画策のトッテナム、チェルシーDFに興味?移籍金は49.6億円5月22日13時35分
-
サッカー=チェルシーのポチェッティーノ監督退任、1シーズンで5月22日10時28分
スポーツニュースランキング
-
1「本気で言っているのか?」絶好調の今永昇太が米番組内で”新事実”を告白! 隠し持つ武器に米メディア衝撃「フェアな話ではない」 ココカラネクスト
-
2井上尚弥に止まぬ特大評価 リング誌の“ウシク1位”にメキシコ名伯楽が異論「イノウエはあまり騒がない。それでも十分偉大」 ココカラネクスト
-
3大谷翔平が“史上5人目の快挙”へ! 第1打席に左前打で4試合連続安打 打率「.350」維持なら歴史的記録を達成 ココカラネクスト
-
4大谷翔平が大ピンチ!なんで、こんな打てるんだ…!? イチローが認めた安打製造機の“内角変態打ち”がヤバすぎる ファン騒然「4割到達しそう」「イチローかな」 ABEMA TIMES
-
5批判殺到!どこ投げてんだよ…! 大谷翔平、まさかの盗塁で“異変”が起きた…!? 相手捕手のリアクションがヤバすぎる 「古田さんも思わず苦笑」「さすがに無謀w」 ABEMA TIMES