『スバル・インプレッサ(GC4型)』スバルのGTマシン史の礎となった1台【忘れがたき銘車たち】
モータースポーツの「歴史」に焦点を当てる老舗レース雑誌『Racing on』と、モータースポーツの「今」を切り取るオートスポーツwebがコラボしてお届けするweb版『Racing on』では、記憶に残る数々の名レーシングカー、ドライバーなどを紹介していきます。今回のテーマは、全日本GT選手権(JGTC)を戦った『スバル・インプレッサ』です。
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2020年、スーパーGTのGT300クラスにおいて、シリーズチャンピオンを獲得したSUBARU BRZ R&D SPORT。これは、全日本GT選手権(JGTC)時代からGTに挑戦し続けてきたスバル車にとって、初の王座獲得でもあった。では、初めてGTに本格的に挑んだスバル車とは、どんなマシンだったのだろうか。それが今回紹介する、GC4型の『スバル・インプレッサ』だ。
インプレッサがGTデビューを果たしたのは、今から遡ること25年前、1997年のことだった。当時、世界ラリー選手権などでの活躍も相まって、スバル車=ラリーのイメージが定着していた。
全日本ツーリングカー選手権(JTCC)やN1耐久シリーズなどのサーキットレースに参戦するスバル車もないわけではなかったが、まだまだサーキットでのイメージが薄かったのだ。
そんな時代のGTにインプレッサを持ち込んだのは、クスコなどのブランドでも知られるキャロッセであった。キャロッセもサーキットというよりはダートトライアル、ラリー、ジムカーナなどスピード競技を中心に活躍していたコンストラクターだったが、自由度の高い当時のGTの車両規定に興味があったことから参戦を決断。
ほかの参戦チームとも被らない車種であり、ラリーなどの主力車種としても使用していたことからベース車両にスバル・インプレッサが選ばれた。
ベースとなったインプレッサは、WRX STIなどで知られるGC8型ではなく、インプレッサリトナという2ドアクーペのGC4型であった。この車両をベースに、ほぼ改造無制限といえる全日本ダートトライアル選手権のDクラスのチャンピオンマシンを生み出してきたノウハウを活かしてマシンを製作。
余分な補強をしないことで重量増を抑え、かつ高い剛性を持つボディを作り上げたほか、駆動方式は重量やハンドリングバランスのことも考慮し、独自に4WDからFRへと変更した。
ボディカウルについてもキャロッセでデザインするなど、搭載されるEJ20型ターボエンジンこそSTIがチューニングしたものだったが、それ以外のほぼすべてをキャロッセで設計、製作し、GT仕様のインプレッサは仕立てられた。
1997年、いよいよGT仕様のインプレッサは、スポーツランドSUGOで行われた最終戦でデビューを果たす。エントリー名は『クスコスバルインプレッサ』で小林且雄、古谷直広というふたりがステアリングを握った。
このレースでは、金曜日の走行でエンジントラブルが発生。同スペックのスペアエンジンがなかったため土曜日以降は、ノーマルエンジンで戦うことを余儀なくされてしまう。そして決勝でもデフトラブルによってリタイアという結果に終わってしまった。
しかし、フル参戦初年度となる翌1998年、ツインリンクもてぎで行われた第5戦ではポール・トゥ・ウインで初優勝。この年は、つちやMR2があわや全勝という強さを見せた年で、レース展開に恵まれたという幸運もあったが、つちやMR2の全勝を阻止する殊勲の一勝を挙げた。
その後もインプレッサは改良を重ねつつ、幾度かの表彰台を獲得するものの、1998年のもてぎ戦以降は勝利に恵まれることはなかった。そして2002年より市販車のモデルチェンジもあって、GC系からGD系のインプレッサへベース車両を変更して、襷を繋いでいくのだった。
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