『マツダ 767B』3台揃ってのル・マン完走を果たし、そこから芽生えたさらなる野望【忘れがたき銘車たち】
モータースポーツの「歴史」に焦点を当てる老舗レース雑誌『Racing on』と、モータースポーツの「今」を切り取るオートスポーツwebがコラボしてお届けするweb版『Racing on』では、記憶に残る数々の名レーシングカー、ドライバーなどを紹介していきます。今回のテーマは、ル・マン24時間レースに参戦したマツダ767Bです。
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以前、この連載でもご紹介した1988年に初の4ローター搭載専用マシンとして誕生した『マツダ767』。その導入初年度は、トラブルによって、メインステージであるル・マン24時間レースで結果を残すことができなかった。
その雪辱を果たすため、1989年に投入されたのが767のエボリューションモデル『マツダ767B』だ。1989年のル・マン24時間をターゲットに改良が加えられた767B、その最大の変更点は、要となるエンジンであった。
搭載される13J改型の4ローターエンジンにさらなるチューニングが施され、767Bに採用されたモデルでは、中速回転域と高速回転域の2段階で変化する可変吸気インテークを備えた。
それによって、回転全域でのトルク向上に成功した。さらに最大出力でもスペック上では80ps以上のパワーアップを果たし、出力は630ps以上に達した。エンジンのドライバビリティだけでなく、ピークパワーも向上させるなど、大幅な進化を遂げた。
さらに、見た目上の変化は、あまりないように見受けられるボディもシャシー剛性の向上を図り、空力も改善。さらにトラブルの原因となったエキゾーストもサイド出しになるなど、767でのウィークポイントを徹底的に排除し、なおかつ大幅なポテンシャルアップに成功した車両だった。
1989年、デイトナ24時間、世界スポーツプロトタイプカー選手権(WSPC)、全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権(JSPC)という実戦をテストの舞台として活用した後、3台体制でル・マン24時間へと挑んだ767Bは、予選からいきなり好調さをアピールし、202号車がマツダとしては過去最高の16位を獲得する(シグマ時代を除く)。
決勝でも24時間をトラブルフリーで走り切って、201号車が7位、202号車が9位、203号車が12位と全車完走という好成績を残した。
一部開発陣には、1990年にはロータリーエンジンが禁止となり、この1989年いっぱいでチャレンジは終了……そう聞かされていたスタッフもいた。
しかし、1990年もロータリーエンジンのル・マン出場継続が可能にとなり、マツダの栄光へのチャレンジは、さらに継続していくことになったのだった。
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