理論上のベストタイムではトヨタを上回るプジョー「セクター3を改善したい」とロシター/WEC富士
9月9日に行われたWEC世界耐久選手権第5戦富士6時間レースのフリープラクティス1は、トヨタGAZOO Racingの2台がワン・ツーで幕を開けたが、前戦モンツァでデビューを飾ったプジョー9X8もタイムではトヨタに肉薄。まだ走り出しということもあって、このセッションのベストタイムに大きな意味は無いものの、2戦目を迎えるプジョーのポテンシャルが上がってきている可能性はある。
FP1で記録された各車のセクターベストタイムを見てみると、セクター1ではプジョー93号車のポール・ディ・レスタが22秒218で最速。これにトヨタ8号車の平川亮が22秒274で続いている。
セクター2のベストでは93号車のミケル・イェンセンがトップで、コンマ1秒差でトヨタ7号車のマイク・コンウェイが続く。
一方、富士屈指のテクニカルセクションであるセクター3ではトヨタに分があり、8号車のセバスチャン・ブエミが最速で、7号車のコンウェイ、プジョー94号車のジェームス・ロシターと続いている。
これらFP1のセクターベストをつなぎ合わせたアイデアル・ラップ(理論上のベストラップ)での最速はプジョー93号車の1分30秒953で、2番手はトヨタ7号車の1分31秒037となる。
戦前から小林可夢偉らトヨタ陣営は、「プジョーの方がダウンフォースがある」と語っており、とくにダウンフォースが有効なセクター2における優位性につながっているとみることもできそうだ。
一方、FP1での最高速に目を転じてみると、トップはトヨタ8号車の319.5km/h。2番手はプジョー93号車の308km/h、3番手はトヨタ7号車の305.9km/hと続いている。8号車の速度が突出しているのはトウによる影響なども考えられるが、概ね『空力が効くコーナーではプジョー、直線はトヨタ』という対決構図になっているとも言えそうだ。
ロシターはFP1後に開かれたプジョーの記者会見の席上で、「チームはモンツァではさまざまな問題で混乱したけど、ここ最近チームは多くのハードワークを重ねて、この週末にビッグステップを踏めるように準備してきてくれたんだ」と語った。
「確かにトヨタとの差はここ富士で縮まっているようだし、レースは面白いものになるだろう。このマシンのポテンシャルを見つけ出してくれた皆に感謝したい」
記者から「強みはセクター2にあるか」と問われたロシターは、ややはぐらかすような様子で次のように答えている。
「弱点はラストセクター(セクター3)だ。だから僕はそこを改善したい。強みは分からないけど……フィーリングはいいよ(笑)」
2車種が拮抗したタイムを刻んだ一方で、アルピーヌがやや離されているのは気になるところ。果たしてこれはBoP変更の影響なのか、はたまたその変更への抗議の意を込めた“三味線”なのか、FP2以降のタイム推移も気になるところだ。
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