プジョー9X8のフロントバルクヘッド&リヤから覗くプルロッド【WEC富士テクニカルウォッチ2】
静岡県の富士スピードウェイで開幕した2022年WEC世界耐久選手権第5戦『富士6時間レース』。日本初登場となるトヨタのGR010ハイブリッド、そしてプジョー9X8といったマシンを中心に、技術的な見どころも多い一戦となっています。
そんなイベントを、メカ好きライターの世良耕太氏が逃すはずがありません。コロナ禍によりここ3年はル・マン取材からも遠ざかっている世良氏は、このイベントを待ちに待っていたひとり。編集部ではそんな世良氏を走行前日・木曜日のピットロードへと“派遣”しました。そこで自由に集めてもらったネタを提供いただいたところ……“獲れ(撮れ)高”が多すぎて急きょ2回に分けて掲載することに。
先日お届けした第1弾に続き、この第2弾ではプジョー以外のマシンも……と予定していたら、ほぼほぼプジョーのネタになってしまいました。それだけ、見どころが多いマシンということで……。
* * * * * *
さっそくですが、もったいぶって先送りにしていたプジョー9X8のフロントバルクヘッドを見てみましょう。
一見すると、左右のプッシュロッドが両方とも同じ向きの動き(同相)のときは左右のロッカーアームで挟んだヒーブユニットが作動して動きを制御し、左右のプッシュロッドが反対の向き(逆相。片方は縮み側、もう片方は伸び側)に動くときはロールダンパーが機能する構成に見えます。
ヒーブとロールを独立して制御するコンセプトで、ユニットのレイアウトは異なりますが、ポルシェ919ハイブリッド(〜2017年)が同様のコンセプトを採用していました。
バルクヘッド前面には油圧パワーアシストのステアリングが搭載されています。その下側にはBBW(ブレーキ・バイ・ワイヤ=協調回生ブレーキ)用のユニット類が集積しているよう。ブレーキ液圧の昇圧に使うモーター(?)と勘ぐりたくなる物も確認できます。
TOYOTA GAZOO Racing・GR010ハイブリッドのフロントバルクヘッドも見てみましょう。正面から捉えるのが理想なのですが、こればかりはタイミング次第なので仕方ありません(と、いさぎよく諦めます)。
おもしろいレイアウトを採用してきたプジョーに対し、トヨタはオーソドックスなレイアウトで手堅くまとめてきた印象。手前から、ヒーブスプリング&ダンパー、左右それぞれのロールダンパー、最奥がアンチロールバーの構成に見えます。
プジョー9X8のリヤ見上げです。どのクルマもたいてい似たようなアングルで撮っていますが、このカットを撮影している筆者の様子を端から見ると、変態にしか見えないようです(違います)。ディフューザーとリヤカウルの間に大きな空間がありますね。そこを覗いてみると……。
すべてがクリアというわけではありませんが、銅色をしたドライブシャフトの向こう(車両前方側)に左斜め下に傾斜する棒が見えます。プルロッド、なんですね。
角度を変えて見てみましょう。ドライブシャフトの根元にある白い円筒状の物体はFIA/ACO指定のトルクセンサー。ギヤボックスケースはアルミ鋳物のようですが、デフケースはアルミ削り出しに見えます。
パドックを歩いていると、あちこちで燃料の入ったドラム缶に出くわします。2018-2019年スーパーシーズンから、トタル(現トタルエナジーズ)が参戦全車に燃料を供給しています。2021年まではガソリンにエタノールを20%混合したE20を使用していました。2022年シーズンからは、『エクセリゥム・レーシング100(Excellium Racing 100)』の名称を持つ100%リニューアブルフューエル(再生可能燃料)に切り替わっています。バイオエタノールをベースに生成した合成燃料のようです。
エクセリゥム・レーシング100に切り替わったのに合わせ、缶のデザインも変わっています。今シーズンから導入されたので、当然、日本初上陸です。
富士スピードウェイのコース図も描いてあります。となりはル・マン24時間サーキットでしょうか。
プジョー・トタルエナジーズのメカニックが、ドラム缶からピットのタンクに燃料を移し替えていました。200L入りのドラム缶に151kg入っていると記してあったので、与えられた数字から計算すると、比重は0.755ということになります。
しかし、ヘルメットの色がいいですね。真っ黄色ではなく、少し緑がかっているところがおしゃれです。
「プジョー」をもっと詳しく
BIGLOBE旅行 都道府県民限定プランのご紹介♪
「プジョー」のニュース
-
地元イタリアでフェラーリ499Pがワン・ツー発進。新型プジョー9X8が続く/第2戦イモラFP14月19日21時30分
-
新型『プジョー9X8』の進歩を確信するミューラー。一方、初陣への期待は「現実的であるべき」と控えめ4月19日13時2分
-
イモラ用の性能調整でハイパーカーが軒並み減量&パワーアップ。例外はウイング付き新型プジョー9X84月15日7時10分
-
翼を得た改良型がル・マンで戦えると信じるプジョーの技術チーフ「新しい9X8はより強くなれる」3月29日7時5分
-
『BoP(性能調整)依存』を断つべく改良型採用のプジョー9X8「ウイングレスを続けることは危険な賭け」3月26日18時50分
-
プジョー9X8のデザイン言語を残しつつカウル形状は9割以上変化。重量配分の変更は信頼性向上に貢献3月25日20時35分
-
ついにリヤウイング備わる。プジョー9X8の改良型が初公開、WEC第2戦イモラでデビューへ3月25日19時31分
-
プジョー、ハイパーカー『9X8』改良型のティザー動画をSNSで公開。発表日も明らかに3月12日16時20分
-
フォーミュラEとの日程重複に悩むハイパーカー勢。トヨタドライバーはWEC優先、プジョーは“調整中”3月7日8時46分
-
約7年ぶりにフランスのDAレーシングが復帰。ツーリングカー王者も認めた37歳とプジョーで参戦/WorldRX3月6日18時10分
スポーツニュースランキング
-
1防御率「1.64」の驚愕! 山本由伸が直近6試合で“無双状態”に「自分のピッチングができるようになっている」と実感するポイントとは ココカラネクスト
-
2チャンカレが金沢と契約終了「信頼関係に疑問」新スタ名称は無関係と強調も… FOOTBALL TRIBE
-
3右腕切断手術を報告した佐野慈紀氏 「糖尿病」に関する憶測に苦言...「だから糖尿病は怖いんや!」 スポーツニッポン
-
4おい!アイツやってんぞ! 一体、何が起こった…!? ドジャースのベンチ全員総出で猛烈クレームを入れる瞬間 ファン騒然「すげえ圧だなw」「怖すぎるだろ」 ABEMA TIMES
-
5新体操、日本は5大会連続の五輪出場ならず わずか1・2点差で涙 ラストチャンスに懸けるも切符逃す スポーツ報知