F1トスカーナGP木曜会見(3):「やりがいを感じたから、この決断を下した」引退も頭をよぎったベッテル
2020年限りでのセルジオ・ペレスのチーム離脱が発表された翌日の9月10日、レーシングポイントは、セバスチャン・ベッテルと2021年から複数年契約を締結したと発表した。
伝統あるチームのフェラーリから、この10年間で一度も優勝した経験がないレーシングポイント(2021年よりチーム名をアストンマーティンに変更)への移籍はステップダウンのようにも映るが、ベッテルは「この決断は自分にとってベストだと信じているし、それを証明することを楽しみにしている」と、この移籍をポジティブにとらえている。
というのも、ベッテルはフェラーリから今シーズン限りで契約を終了すると伝えられた後、F1を引退することも脳裏をかすめた時期があったからだ。ベッテルはどれくらい引退を真剣に考えていたのだろうか。
「どうだろう……どれくらい(引退に)近づいていたかはわからないけど、あれこれいろいろと思いを巡らせていたという点では(引退に)近づいていたと言えるかもしれない。僕にとって何がベストかを考えに考え抜いて出した結論がこの決定だった」
ただし、その決断は決して簡単なものではなかった。
「この数カ月、特に最後の数週間は、僕にとってかなりタフな時間だった。というのも、今回の交渉はこれまで経験したことがない新しい状況だったからね。でも以前にも言ったように、そこにやりがいがあると感じたし、僕はF1に残りたいと思っていたから、最終的にこの決断を下した」
ベッテルにとって、その『やりがい』とは何なのか?
「なんと言っても、(2022年から導入される)レギュレーションによって、F1がこれまでよりも平等な立場で戦えることが期待できるからだ。ほとんどのチームが同じ予算でマシンを開発し、レースを戦うのはおそらく初めてのことだと思う。そのチームを助けるために僕ができることは何でもやりたい。もちろん、今年の(レーシングポイントの)パフォーマンスが一戦ごとに確実に上昇していくのを確認できたことも、とても励みになった。いまはとても興奮しているし、楽しみにしている」
そして、ベッテルはこんなことも明かした。
「オットマー(・サフナウアー/チーム代表)のことは10年以上前から知っているから、契約する前にいろいろ質問したよ」
そう、シルバーストンでサフナウアー代表のフェラーリに乗ったのは、ガソリンスタンドへ行くことが目的ではなかった!!
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