批判を受けたセーフティカー・フィニッシュ。FIAがリスタートが不可能だった理由を説明/F1第16戦
FIAは、F1第16戦イタリアGP決勝をセーフティカー先導のまま終えたことについて、説明を行った。レッドブルやフェラーリのチーム代表は、レースを再開することができたはずだと主張し、FIAを非難している。
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、ジョージ・ラッセル(メルセデス)がトップ3を走行していた53周のレースの47周目、ダニエル・リカルド(マクラーレン)がトラブルのためマシンをコース脇にとめた。それにより最初はイエローフラッグが掲示され、その後、セーフティカーが出動した。
リカルドのマシンはクラッシュしたわけではなかったが、マーシャルが撤去するまでに数周かかった。さらに、セーフティカーは、トップのフェルスタッペンではなく、3番手を走るラッセルの前でコースインし、ラッセルらをしばらく前に出さなかった。セーフティカーがリーダーであるフェルスタッペンの前の正しい位置に来たのは51周目であり、それから周回後れのマシンを前に出し、隊列を整えて、レースをリスタートする時間は残されていなかった。
結局、レースはセーフティカー先導のままフィニッシュすることになった。最後のバトルがないままにレースが終えられたことに、レース直後、ドライバーやチーム代表たちから不満の声が出た。
レッドブル代表クリスチャン・ホーナーは「我々はセーフティカー先導のまま優勝することは望んでいない。レースを続けるだけの十分な時間があった。彼らは誤ってラッセルの前に出たのだ」と『Sky Sports』に対して語った。
「我々には最速のマシンがあったので、セーフティカー先導下ではなく、コース上で戦って勝利をつかみたかった。グランドスタンド・フィニッシュの機会が奪われたのだから、我々同様、ファンもがっかりしていることだろう。以前協議したことの原則に反している。今回最も大きな損失を被ったのはファンの皆さんだ」
フェラーリ代表マッティア・ビノットは「セーフティカー先導下でフィニッシュするのは良いことではない。我々にとってだけでなく、F1にとって、そしてショーの面においてだ」と述べている。
「今日、FIAには異なる行動を取る時間があったと思う。セーフティカーはジョージの前に出てきた。その後、セーフティカーとリーダーの間を走っていたグループを前に出さない理由はない」
「待つ時間が非常に長かった。これは間違ったことであり、F1にとって良いことではない。昨年のアブダビの後、我々は長い議論を行ってきた。最終的な目標はレースを安全な形でリスタートすることである。今日はそれが可能だったと私は思う」
2021年最終戦アブダビGPでは、当時のレースディレクターのマイケル・マシが、セーフティカー先導下でのフィニッシュをなんとか避けようとして、セーフティカーの運用を規則どおりに行わなかったことが、ドライバーズタイトル争いに大きな影響を与え、ルイス・ハミルトンがつかみかけていた8度目のタイトルを逃がす結果になった。その反省から、FIAはセーフティカー規則の変更を行った。
アビダビの件について激怒したメルセデスのトト・ウォルフ代表は、イタリアGPのセーフティカー運用については、「今回はレースディレクターは規則に従った」とコメントしている。
批判を受けたFIAは、マシンの撤去を安全に行うことが最優先事項であるとの以下のような声明を発表した。
「3号車を迅速に回収し、レースを再開するために、あらゆる努力が払われたが、ある状況が明らかになった。マーシャルは、マシンをニュートラルに入れて、エスケープロードに押し入れることができなかったのだ」
「回収作業の安全が我々にとって唯一の最優先事項であり、このインシデントは赤旗が必要なほど重大なものではなかった。そのため、FIAおよび全競技者の間で合意された手順に従い、セーフティカー下でレースを終えた」
「レース中のセーフティカーピリオドのタイミングはこの手順に影響しない」
フェルスタッペンは、車両の撤去に時間がかかったのは仕方のないことだったと述べている。
「僕が理解しているところでは、ギヤがスタックしていたからあれほど時間がかかったんだ。あそこでマシンがとまると、(エスケープロードに)押し入れるための隙間があまりない。だからクレーンを出さなければならなかった。それで時間切れになったのだろう。とても不運だったと思う」
「もちろん誰もがグリーンフラッグの下でフィニッシュしたいと思っている。でも残念ながら残り周回数が少なかった。僕は新品ソフトを履いていたから、1周のバトルになっていたとしても、それほど心配はなかった」
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