ル・マン24時間優勝の小林可夢偉、2位の中嶋一貴に「オリンピックイヤーの特別な」メダルを授与
9月18日、三重県の鈴鹿サーキットで開催されるスーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook第5戦『SUZUKA S耐』の予選日に、ST-Qクラスの水素エンジン搭載のORC ROOKIE Corolla H2 conceptに関する記者会見が行われたが、このなかでサプライズで、8月21〜22日に行われたWEC世界耐久選手権第4戦第89回ル・マン24時間レースで優勝を飾ったTOYOTA GAZOO Racingの7号車トヨタGR010ハイブリッドの小林可夢偉、8号車トヨタGR010ハイブリッドの中嶋一貴に、トヨタ自動車豊田章男社長から金メダル、銀メダルが授与された。
カーボンニュートラル実現を目指し、スーパー耐久に挑戦を続けている水素エンジン搭載のORC ROOKIE Corolla H2 concept。毎戦この試みに関しては記者会見が行われているが、川崎重工業の橋本康彦社長、GRカンパニー佐藤恒治プレジデントとともに記者会見に出席したトヨタ自動車豊田章男社長は、記者会見の最後に、急に東京オリンピック/パラリンピックの話を始めた。
「今年は東京オリンピック、パラリンピックイヤーでした。トヨタ自動車では、グローバルアスリートが全世界で233名、オリンピック、パラリンピックに出場しました。オリンピック、パラリンピックでも多くのトヨタアスリートが参加することができました」と語った。
「モータースポーツでも出場するドライバーはアスリートですよね。そのなかで、オリンピック、パラリンピックとほぼ同時期に開催されたル・マン24時間レースで、1位、2位を獲得したアスリートに、なぜグローバルトヨタアスリートとしてメダルをあげないのかと。そこで、優勝した小林可夢偉選手、2位の中嶋一貴選手に、金メダル、銀メダルを授与させていただきたいと思います」と、サプライズでル・マン24時間のトロフィーとともに会見に参加していた可夢偉、記者会見を後方で聞いていた一貴を呼び出した。
ふたりは急遽、TOYOTA GAZOO Racingのシャツを着てステージ前に登場すると、豊田章男社長からまず可夢偉が金メダルを、一貴が銀メダルを豊田社長から首にかけてもらった。メダルはトヨタ自動車の試作部により「匠の技術」で作られたもので、ル・マンのコースを象ったもの。
「どれだけ金が入っているかは分かりません(笑)。また、毎年もらえると思ったら大間違いです。オリンピックイヤーの特別なものです。ただし、連勝は続けてください」と豊田社長は笑顔でふたりを讃えた。
ちなみに記者会見では質疑応答のなかで、今季WEC開催は日本では残念ながら実現せず、TOYOTA GAZOO Racingが参戦するWRC世界ラリー選手権も日本での開催は新型コロナウイルス感染拡大の影響で実現しなかった。そんなレーシングドライバー、ライダーが入国できない状況に対し、豊田章男社長は「自工会会長として」コメントした。
「五輪は許されて、四輪、二輪は許されないのはなぜなのか」と豊田社長は語ると、集まったメディアからは拍手も起きた。
「四輪の立場から言うと、不公平感を感じます。五輪も(トヨタ自動車として)支援させていただきましたし、アスリート支援もしております。ただ、モータースポーツもアスリートだと思います」と豊田社長。
「オリンピック、パラリンピックに参加する彼ら、彼女らはアスリートだと思います。同じアスリートに対して、どうして入国に対しての許可が違うのか、開催の判断が違うのか。モータースポーツに関してはなかなか外国人選手が入国できない現状がありますが、ひと言、五輪は許されて、四輪、二輪は許されないのはなぜなのかということです」
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