アルファタウリ・ホンダF1コラム:母国レースを迎えたクビアトは8位。今季2度目のダブル入賞も、歯がゆさが残る
2020年F1第10戦ロシアGPでは、母国レースを迎えたダニール・クビアトが8位、ピエール・ガスリーが9位と2台揃って入賞した。レッドブル・ホンダの2台もポイントを獲得しており、ホンダのパワーユニット(PU)を使用する全4台が入賞を果たした。
さて今回も、クビアトとガスリーのふたり、そしてチームのパフォーマンスを10点満点で私的に採点していこう。ロシアGPでの評価は、以下の通りだ。
【ドライバー】
ピエール・ガスリー 予選9番手/決勝9位 → 7/10点満点
ダニール・クビアト 予選12番手/決勝8位 → 7/10点満点
【チーム】
スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ 6/10点満点
アルファタウリ・ホンダのロシアGPは、クビアト8位、ガスリー9位という結果だった。ガスリーが初優勝を遂げたイタリアGP以来となる今季2度目のダブル入賞は、素直に評価したい。
だがレースではスタート直後にマクラーレンのカルロス・サインツJr.、レーシングポイントのランス・ストロールが早々に姿を消した。上位入賞の可能性があったこの2台不在の状況での8位、9位という結果には、もっと上に行けたのではという不満も残る。
まずガスリーだが、9番グリッドからスタートですぐに7番手に順位をあげた。中古ソフトながら1分41秒台中盤の安定したペースで周回を重ね、18周目にピットイン。しかしアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)のすぐ後ろの12番手でコース復帰し、すぐに追い付いたもののアルボンがピットに向かうまで抜けずに終わった。
ようやく前が空いたと思ったのも束の間、今度はキミ・ライコネン(アルファタウリ・ホンダ)に詰まる展開。7周かかって何とか抜いて9番手まで順位を戻したが、先行するクビアトとの差はすでに8秒近く開いていた。
レース後フランツ・トスト代表は、「もう少し早く(ピットに)入れていたら、渋滞に捕まらなかったかもしれない」と、言っている。あるいは第1スティントを20周目まで引っ張って4位入賞を果たしたセルジオ・ペレス(レーシングポイント)のように、逆にあと2周粘っていたら状況は違っていたと思われる。
ペレスはタイヤ交換後、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)の前の6番手でコースに復帰した。ガスリーはペレスの約5秒後ろを走行していたから、同じ20周目にピットインしていたら、12番手ではなく8番手でコースに戻れていたはず。背後からはダニエル・リカルド(ルノー)が迫っていたが、ガスリーの方がタイヤがフレッシュで、初日のロングランでハードの周回ペースが速いことはわかっていた。
確かにピットイン前のガスリーのペースはやや落ちていたが、最悪でもリカルドの後ろ、ライコネンの前で戻れていただろう。うまく行けば5位、悪くても7位でレースを終えられたと思う。ここで上位を確保していたら、終盤のVSCで2度目のピットインに向かう賭けに出る必要もなかった。
一方のクビアトはハードタイヤでのスタートが功を奏して、ピットイン直前には3番手まで順位をあげた。しかし8番手でコースに戻ってからは、チェッカーまでの22周にわたって延々エステバン・オコン(ルノー)を抜けずじまいだった。
「何度もミスを誘ったが、ダメだった」と、レース後のクビアトは語っている。確かに最高速に勝るルノーを抜くのは、簡単ではなかっただろう。最終コーナーの立ち上がりで引き離され、ターン2のブレーキングまでに十分に差を縮められないということを繰り返した。
とはいえオコンの第2スティントがハードだったのに対して、クビアトは30周目に新品ミディアムに履き替えている。その時点でオコンはすでにハードで12周を走っており、ペース差は歴然だった。このタイヤ交換直後の最大のオーバーテイクのチャンスを活かせなかったところが、非常に歯痒い。
これまたたらればだが、ここで早めにオコンを仕留めていれば、シャルル・ルクレール(フェラーリ)にすぐに追いつき、あわよくば抜けていただろう。ガスリー5位、クビアト7位の成績も、決して不可能ではなかったということだ。
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