HRC、HRSに新導入のフォーミュラ『HRS-F24』の詳細を説明「エンジンはどうしてもNAにこだわった」
10月3日、株式会社ホンダ・レーシング(HRC)は東京都港区のホンダ本社ビル1階のショールーム『Hondaウエルカムプラザ青山』にて、昨年その名称を新たにしたホンダレーシングスクール鈴鹿(HRS)での育成活動、および新たに2024年度からHRSフォーミュラクラスに導入されることとなった新型教習用フォーミュラカー『HRS-F24』についてのプレス説明会を行った。
2022年4月に四輪モータースポーツ活動を統合し、二輪部門とともに技術の相互連携と運営の効率化を図りながらモータースポーツ活動を行ってきたHRC。9月19日には、2024年度よりHRSフォーミュラクラスに新型教習用フォーミュラカー『HRS-F24』を導入することを発表し、F1日本GPではHRSでプリンシパルを務める佐藤琢磨、そしてFIA F2に参戦している岩佐歩夢らによってデモランを行ったばかりだ。
■渡辺社長「スクールのパートナー企業を募集」
説明会にはHRCの渡辺康治社長を始め、先述の佐藤琢磨プリンシパルやHRSモトクラスのプリンシパルを務める岡田忠之、そしてHRSフォーミュラクラスの講師でもあり新型車両『HRS-F24』の開発テストを担当した野尻智紀の4名が出席し、HRSでの教育活動への意気込みを述べた。
渡辺社長はHRSでのこれからの育成活動について「世界で唯一の二輪と四輪の備えたレーシングスクール」としての活動を第一とし、「現役のトップ選手とともに走ることで速く走る技術はもちろん、レースへの向き合い方やマシンメカニズム、データロガーの見方などレーシングアスリートに必要不可欠な技術を、1年のカリキュラムを通じて伝えていく」と語った。
また、渡辺社長は今後のHRSの新たな取り組みとして「スクールの新たなパートナー企業を募集する」と発表。
「今後はスクールの門戸を広げて世界から人材を受け入れる体制を築き、モータースポーツ人材の育成拠点として発展していきたい。そのなかで、若い受講者が成長していくためには何が必要になっていくのかという要素をともに学びながら取り組んでいけるパートナーを探したい」と、HRSのさらなる発展と海外との結びつきへの意識を語った。
■新導入『HRS-F24』は空力の追求により洗練されたマシンに
続いて壇上に上がった佐藤琢磨プリンシパルは、あらたにフォーミュラクラスの教習者として導入されることになった『HRS-F24』について「FIAの衝突安全基準を上回る性能を持つ、より実戦的なフォーミュラマシン」であると説明する。
「ドライバーを守るヘイローの導入やモノコックの剛性アップにより、これまでのマシンとは比にならないほどに安全性能は良くなっています。また、これらの改良によって重くなったマシンを走らせるための空力性能についても追及しており、これまでのスクールカーよりもさらに洗練されたマシンとなっています」
また、「今回搭載するエンジンはどうしてもNAにこだわりました」と、今回搭載することになった戸田レーシング製新型エンジンについてのこだわりを語った。
「一番の理由は、そのレスポンスにあります。クルマの動きそのものを右足でどのように動かしていくのかということを、ドライバーには積極的に感じ取ってほしいです」と、F1日本GPで行ったデモランでは自身もドライブした『HRSF24』にNAエンジンを搭載した理由を明かした。
そして、新型車両の開発テストを担当した野尻は、『HRSF24』の開発について「コントロールしやすいクルマ」にすることが目標であったと述べ、これまでのスクールカーとの違いについて語った。
「従来のクルマはややピーキーな特性もあり、プロの選手が乗っても限界を引き出すために時間を要することがありました。そこで、唐突にタイヤのグリップを失ってしまったりなどの扱いにくさを排除し、経験の少ない生徒たちがより少ない時間で慣れることができるように開発をしました」
「開発当初はまだまだ癖がありましたが、最終的にはスーパーフォーミュラやスーパーGTのように、こういったセットアップにして欲しいとさらなる欲が出るくらいの仕上がりになっています」と、自身が開発を手掛けた『HRSF24』のクオリティについて自信をもって語った。
昨年にはF1にオラクル・レッドブル・レーシングから参戦しているセルジオ・ペレスがアンバサダーに就任するなど、より一層充実したカリキュラムの構築に力を入れているHRS。今回導入された新型車両『HRSF24』の活用により、現在F1で活躍する角田裕毅やFIA F2でランキング上位を争う岩佐に続く新たなドライバーの輩出に期待したい。
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