WRCラリーGB:トヨタ、ミークが首位発進。13番手に沈んだタナクは「ストールして数秒を失った」
WRC世界ラリー選手権第12戦ラリーGBが10月3日、イングランド北西部に位置するリバプールで開幕した。この伝統のラリーの初日、SS1に臨んだTOYOTA GAZOO Racingは、今戦が母国ラウンドとなるクリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)がオープニングステージを制して総合首位に立った。僚友のヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)は総合8番手、オット・タナクは総合13番手でラリー初日を終えている。
競技初日のデイ1は現地時間8時より、サービスパークが置かれるウェールズのスランディドノから約30km離れた森林地帯でシェイクダウンが実施された。全長4.68kmのこのコースは、4日から始まる本格的なグラベルラリーと同様に、路面が大量の泥に覆われ非常に滑りやすい状況となっていた。
トヨタチームにとって、このコンディションはヤリスWRCの最終確認をするのに適したものに。そのなかで、ミークは全体ベストタイムを記録。同日夜に始まるSS1に向けて弾みを付けた。
SS1はラリーの開幕を告げるセレモニアルスタート後の現地7時過ぎにスタート。戦いの舞台はターマック(舗装路)とグラベル(未舗装路)が混じる全長3.58kmのオウルトンパーク・サーキットだ。
シェイクダウン時には止んでいた雨が降り出したことで、よリ難しい路面コンディションとなったSS1でも、ミークは自慢のスピードを見せつける。堂々のトップタイムはライバルに2.1秒のギャップを築くものだった。
「今晩最初のSSはとてもトリッキーだった。サーキットが舞台だったけれど、暗くて滑りやすい、典型的なラリーGBのステージだったね」と語るのは、初日総合首位に立ったミーク。
「朝のシェイクダウンでは、泥が多く難しいコンディションながら、良いフィーリングで走ることができた。シェイクダウンの結果はタイムには影響しないが、この良いリズムを明日の朝から始まる本格的なステージでも維持できればと思うよ」
一方、チームメイトふたりはスタートダッシュに失敗。ラトバラは車内で視界不良に陥りタイムを失ったことで総合8番手に。また、熾烈なチャンピオン争いを繰り広げているタナクはエンジンストールに見舞われてしまい総合13番手に留まっている。
チーム代表を務めるトミ・マキネンは「クリス(・ミーク)がホームラリーで首位発進し、とてもうれしく思う。他の二人は最初のステージで小さなトラブルに見舞われたが、タイム差は小さく、ラリーはまだ始まったばかりだ」とコメント。
「ラリーGBではごく普通のことだが、今週末にかけてコンディションはどんどん難しくなっていくようだ。しかし、我々のドライバーたちはそのような悪条件の道を得意としているし、クルマのパフォーマンスも良いので、自信を持って戦いに臨むよ」と挽回に期待を寄せた。
■ラトバラは“うっかりミス”でタイムロス
初日を8番手で終えたラトバラは、その原因を些細なミスであったこと説明した。
「最初のステージでは、フロントガラスの曇りを防ぐためのヒートスクリーンをオンにし忘れてしまい、前がよく見えずワイドに膨らみ、うまく走れなかったんだ」
「朝のシェイクダウンは、最終的に良いフィーリングを掴むことができた。クルマに少し調整を加え、タイヤの違いも試し、ラリー本番に向けて迷いはないよ。昨年はこのラリーで良い成績を残すことができたので、今年も好結果を狙って戦うつもりだ」
同じく最初のステージでつまずいてしまったタナクは「エンジンがストールし、数秒を失った。また、クルマのライトが木を照らし、コーナーを見失ってしまったんだ」とデイ1を振り返った。
「シェイクダウンはラリーGBらしく、とてもトリッキーなコンディションだった。初めて走った時は、この先どれくらいコンディションが悪くなるのだろうかと思ったほどだよ」
「非常に難しい状況だったが、いくつか改善を施したので明日は良いフィーリングを得られることを期待している。このラリーでもっとも重要なのは、クルマに自信を持つことだ。また、路面のグリップレベルが一定ではないので、それを正確に見極めなければならないね」
WRC第12戦ラリーGBのデイ2は4日、サービスパーク南側に広がるスノードニア山脈周辺の森林地帯に舞台を移し、本格的なグラベルラリーがスタートする。この日は予定されているSSはSS2〜10の計9本。その合計距離は116.52kmで、リエゾン(移動区間)を含めた1日の総走行距離は608.05kmだ。
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