ハーベストGPでは上位争いに食い込めなかった佐藤琢磨「イエローがでなくて、ずっとバトルするレースだった」
インディアナポリスには秋も早めに訪れたようで、朝夕気温が下がると10℃を割り込むようになった。
ぐっと気温の下がったインディアナポリス・モータースピードウェイは木曜日のプラクティスから冷え込んでいたが、このレースからようやく観客が入れるようになり、10000人を上限に入場が許された。
今回はターン1〜2のエリアと最終コーナーのエリアのみであったが、徐々に活気が戻りつつあった。
今年のインディ500ウイナーの佐藤琢磨は、今季IMSで3度目のレースウイークを迎えたが、金曜日のレースでは予選24番手と最後列からスタートし、18位でフィニッシュと厳しいレースを終えていた。
「昨日のレースは85周だったんですが、2ストップでいくには計算上7周分燃料が足りなかった。だからイエローコーションが出たらすぐに最初のポップアップをして、そのあと2回のピットで乗り切ろうと思っていたんですけどね……。レース2は10周レースが少ないので、みんな2ストップでいくでしょう」と振り返った琢磨。
レース1では作戦がすべて裏目に出た琢磨だったが、レース2はどこまで挽回できるのか。まずはともあれ予選である。ミド・オハイオ以来、ずっと予選がうまくいっていない。
昨日スピンした際のレッドタイヤを予選で使い、2セットのレッドタイヤで予選にアタックすることにした琢磨。1セット目では1分9秒台に入り復調したかに思えたが、2セット目のアタックでやや失速し、グループ9番手、総合17番手で予選を終えた。
「1セット目の後少しアジャストをしてアタックして手応えはまずまずだったのに、周りのタイムアップの方が良かった」と悔やむ。
予選終了して4時間後にはもうレース開始だ。ポールポジションのウィル・パワーを先頭にターン1に25台がなだれ込んでいく。
琢磨はチップ・ガナッシのマーカス・エリクソンとサイド・バイ・サイドになりながらクリア。煽りを食らったペンスキーのシモン・パジェノーがグリーンの上に飛び出してしまう。
1周目から抜きつ抜かれつポジション争いとなり、昨日のように置いていかれるような展開ではなかった。
琢磨は14番手で落ち着いたがその前にはスコット・ディクソン、フェリックス・ローゼンクヴィストのチップ・ガナッシ勢に、アンドレッティ・オートスポートに戻ってきたジェームズ・ヒンチクリフがいた。
25周目に最初のピットストップを終えると16番手になったが、このあたりからマーカス・エリクソンとのバトルが激しくなる。
新旧元F1ドライバーのバトルは39周目のターン1で、琢磨がエリクソンから押し出されるかたちでグリーンに飛び出た。幸いマシンにダメージはなくレースは続行。
2度目のピットは50、51周目にほとんどのクルマが入ることになったが、琢磨のポジションは16番手のまま。
最後にレッドタイヤを履いて意地を見せたのはレース終盤だった。
ピットタイミングの違う1台がピットに入ると15番手となった琢磨は、目の前のエリクソンを追い続けた。
ヒンチクリフ、エリクソン、琢磨、そしてそれを追うライアン・ハンター-レイの間隔が徐々につまり、残り3周となったところで、琢磨はエリクソンの攻略に成功しポジションをひとつ上げる。序盤の借りを今日のうちに返すかたちになった。
ヒンチクリフの背後まで迫っていたものの、そこでチェッカーとなり14位でレースをフィニッシュした。最後は燃料もなくなり、クーリングラップでマシンをコース上に止めてしまう。
マーシャルに引かれて戻ってきた琢磨はゆっくりとマシンを降りた。
「スタート直後からサイド・バイ・サイドで激しい感じでしたけど、今日もイエローコーションが出なくて、ずっとバトルする感じになりました。一度押し出されたりしましたけど、なんとかコースに戻って、最後は彼(エリクソン)を抜き返すことができました」
「ただもうちょっと前の順位でバトルしたかったですね。ここ数戦ロードコースで厳しいレースが続いてしまってますが、次の最終戦セント・ピータースバーグは今年最初で最後のストリートコースになりますし、今年最後のレースになりますから、思いっきり頑張りたいと思います」と琢磨。
コロナ禍で始まった2020年シーズンも、いよいよ残り1戦。セント・ピータースバーグは中止の噂が絶えなかったが、今週になって開催を明言している。
今季最初に延期することになった開幕戦のセント・ピータースバーグで最終戦を迎えるのも不思議な感じだが、チャンピオンの決定も含め、大いに注目されるレースになるだろう。そこで琢磨は今年最後の輝きを見せられるだろうか。
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