【コラム】サイドバック争い再燃へ…控えの現状打開を狙う酒井高徳「まず結果を出すしかない」
サッカーキング2017年10月9日(月)1時27分
タイ戦ではボランチで出場した酒井高徳。それ以来先発の座から遠ざかっている [写真]=Getty Images
大迫勇也(ケルン)と倉田秋(ガンバ大阪)のゴールで2-1と辛勝したニュージーランド戦(豊田)から2日が経過した日本代表。7日のトレーニング後、10日のハイチ戦の地・横浜へ移動し、8日は新たな環境での初練習を非公開で実施した。
試合間隔が短いことから、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は次戦に向けてメンバーの多くを入れ替える見通し。前回、出場時間の短かった乾貴士(エイバル)や浅野拓磨(シュトゥットガルト)ら攻撃陣はもちろんのこと、2018 FIFAワールドカップ ロシア アジア最終予選の終盤は固定化の傾向が強かった最終ラインの入れ替えにも踏み切る模様だ。
3月のタイ戦(埼玉)で山口蛍(セレッソ大阪)と急造ボランチコンビを組んでフル出場して以来、先発の座から遠ざかっている酒井高徳(ハンブルガーSV=HSV)も、左右どちかかのサイドバックとして頭から出場すると見られる。
「左右どっちか? 分かんないですね。どうっすかね」と本人は言葉を濁したが、直近のブンデスリーガ2試合では左でプレー。現時点では、むしろそちらの方がスムーズに入れるかもしれない。ハリルホジッチ監督が初招集の車屋紳太郎(川崎フロンターレ)をいきなりスタメンに抜擢するとも考えにくいため、今回は長友佑都(インテル)に代わって左サイドに陣取ることが有力視される。指揮官が長身の酒井宏樹(マルセイユ)を重用している現状を踏まえても、酒井高徳としては年齢の高い長友の牙城を崩す努力をした方がロシアでのプレー機会を確保できる確率は高そうだ。
「自分の(代表での)立ち位置は分かってる。まずはハイチ戦みたいな試合で結果を出すしかないと思います。ただ、もちろん相手をリスペクトしたうえでの発言ですけど、ハイチ戦でよかったらスタメンが取れるのかって言ったら、ちょっとハテナマークになるところはありますよね。だからこそ、ハンブルクで自分が成長できることを日々考えながらやることが第一。そのうえで代表合流した時にチャンスをもらえたら自分の力を発揮すること。それしかできないと思います」と彼はサイドバックの控え一番手に甘んじる現状を打開するシナリオを自分なりに思い描いている様子だ。
確かに、9月のオーストラリア(埼玉)・サウジアラビア(ジェッダ)2連戦で出番なしに終わった1カ月前を振り返ってみると、酒井高徳はHSVで出番を失っていた。
「ハンブルクで試合に出られなかったのは、(8月のDFB)ポカール(1回戦=オスナブリュック戦)に負けたのはもちろんありました。その時期は自分のコンディションやメンタル面のところで少し乗り切れない部分もあったし、チームのいろんな選手が移籍するしないとかがあって、バラバラ感が拭えず、チームとしての機能していなかったのも大きかった。でも自ら陥った状況だったので、自分で取り返すしかないと思って割り切ってトレーニングしたし、前向きに毎日毎日過ごしてました」と本人は苦しかった8~9月を述懐する。クラブで試合に出ていなければ、代表で出番が巡ってこないのも当然だ。その事実を彼は受け入れるしかなかった。
しかしながら、試行錯誤の末にここへきてようやく定位置を奪回し、キャプテンとしての存在感を取り戻しつつある。2016年の最終予選前半戦は長友にアクシデントが続いたのも確かだが、高徳の状態がよかったからコンスタントにピッチに立てた。その1年前を今一度思い出して、ハイチ戦で1からアピールし、サイドバック競争に再び火をつけていくことが重要だ。
彼には長友や酒井宏樹に負けない運動量やアグレッシブさがあり、周りを鼓舞できる積極性やリーダーシップも兼ね備えている。チーム内外から「長谷部(誠=フランクフルト)の次のキャプテン候補」と評されるほど人間性は素晴らしい。9月30日のブレーメン戦でHSVトップデビューを飾った柏レイソルユース出身の20歳の若武者・伊藤達哉に対しても「日常生活からしっかりサポートしてあげてるし、自分の持ってる知識を少しでも彼に与えて成長を手助けしてあげられるように努めたい」と神妙な面持ちで話したほどだ。この前向きなメンタリティはチームに必ずプラスに働く。そういった彼のよさをハリルホジッチ監督により理解してもらい、信頼を高め、序列を上げていくこと。それしか出場機会なしに終わったブラジル大会のリベンジを果たす術はない。
「最後にピッチに立っているのが誰かっていうのが(ポジション争いの)答えだと僕は思うんで、それまでは必死にやるつもりです。その事実は誰にも分からないし、自分自身もそこにいられる保証はない。それまでにできる準備をしっかりやることが一番大事。僕はそう思ってます」と高徳は語気を強めた。
ロシアの大舞台をつかむ第一歩となるハイチ戦は、これまで一緒にプレーしたことのないメンバーとも組まなければならず、彼自身もやりづらさや連携面の難しさを感じるはずだ。だが、高徳ならば、多少の困難があっても、自ら進んで問題を改善し、意思統一を図っていくことができるはず。頼れるサイドバックであることをキッチリと示して、11月のブラジル・ベルギー2連戦でチャンスが広がるような流れをぜひとも作ってもらいたい。
文=元川悦子
試合間隔が短いことから、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は次戦に向けてメンバーの多くを入れ替える見通し。前回、出場時間の短かった乾貴士(エイバル)や浅野拓磨(シュトゥットガルト)ら攻撃陣はもちろんのこと、2018 FIFAワールドカップ ロシア アジア最終予選の終盤は固定化の傾向が強かった最終ラインの入れ替えにも踏み切る模様だ。
3月のタイ戦(埼玉)で山口蛍(セレッソ大阪)と急造ボランチコンビを組んでフル出場して以来、先発の座から遠ざかっている酒井高徳(ハンブルガーSV=HSV)も、左右どちかかのサイドバックとして頭から出場すると見られる。
「左右どっちか? 分かんないですね。どうっすかね」と本人は言葉を濁したが、直近のブンデスリーガ2試合では左でプレー。現時点では、むしろそちらの方がスムーズに入れるかもしれない。ハリルホジッチ監督が初招集の車屋紳太郎(川崎フロンターレ)をいきなりスタメンに抜擢するとも考えにくいため、今回は長友佑都(インテル)に代わって左サイドに陣取ることが有力視される。指揮官が長身の酒井宏樹(マルセイユ)を重用している現状を踏まえても、酒井高徳としては年齢の高い長友の牙城を崩す努力をした方がロシアでのプレー機会を確保できる確率は高そうだ。
「自分の(代表での)立ち位置は分かってる。まずはハイチ戦みたいな試合で結果を出すしかないと思います。ただ、もちろん相手をリスペクトしたうえでの発言ですけど、ハイチ戦でよかったらスタメンが取れるのかって言ったら、ちょっとハテナマークになるところはありますよね。だからこそ、ハンブルクで自分が成長できることを日々考えながらやることが第一。そのうえで代表合流した時にチャンスをもらえたら自分の力を発揮すること。それしかできないと思います」と彼はサイドバックの控え一番手に甘んじる現状を打開するシナリオを自分なりに思い描いている様子だ。
確かに、9月のオーストラリア(埼玉)・サウジアラビア(ジェッダ)2連戦で出番なしに終わった1カ月前を振り返ってみると、酒井高徳はHSVで出番を失っていた。
「ハンブルクで試合に出られなかったのは、(8月のDFB)ポカール(1回戦=オスナブリュック戦)に負けたのはもちろんありました。その時期は自分のコンディションやメンタル面のところで少し乗り切れない部分もあったし、チームのいろんな選手が移籍するしないとかがあって、バラバラ感が拭えず、チームとしての機能していなかったのも大きかった。でも自ら陥った状況だったので、自分で取り返すしかないと思って割り切ってトレーニングしたし、前向きに毎日毎日過ごしてました」と本人は苦しかった8~9月を述懐する。クラブで試合に出ていなければ、代表で出番が巡ってこないのも当然だ。その事実を彼は受け入れるしかなかった。
しかしながら、試行錯誤の末にここへきてようやく定位置を奪回し、キャプテンとしての存在感を取り戻しつつある。2016年の最終予選前半戦は長友にアクシデントが続いたのも確かだが、高徳の状態がよかったからコンスタントにピッチに立てた。その1年前を今一度思い出して、ハイチ戦で1からアピールし、サイドバック競争に再び火をつけていくことが重要だ。
彼には長友や酒井宏樹に負けない運動量やアグレッシブさがあり、周りを鼓舞できる積極性やリーダーシップも兼ね備えている。チーム内外から「長谷部(誠=フランクフルト)の次のキャプテン候補」と評されるほど人間性は素晴らしい。9月30日のブレーメン戦でHSVトップデビューを飾った柏レイソルユース出身の20歳の若武者・伊藤達哉に対しても「日常生活からしっかりサポートしてあげてるし、自分の持ってる知識を少しでも彼に与えて成長を手助けしてあげられるように努めたい」と神妙な面持ちで話したほどだ。この前向きなメンタリティはチームに必ずプラスに働く。そういった彼のよさをハリルホジッチ監督により理解してもらい、信頼を高め、序列を上げていくこと。それしか出場機会なしに終わったブラジル大会のリベンジを果たす術はない。
「最後にピッチに立っているのが誰かっていうのが(ポジション争いの)答えだと僕は思うんで、それまでは必死にやるつもりです。その事実は誰にも分からないし、自分自身もそこにいられる保証はない。それまでにできる準備をしっかりやることが一番大事。僕はそう思ってます」と高徳は語気を強めた。
ロシアの大舞台をつかむ第一歩となるハイチ戦は、これまで一緒にプレーしたことのないメンバーとも組まなければならず、彼自身もやりづらさや連携面の難しさを感じるはずだ。だが、高徳ならば、多少の困難があっても、自ら進んで問題を改善し、意思統一を図っていくことができるはず。頼れるサイドバックであることをキッチリと示して、11月のブラジル・ベルギー2連戦でチャンスが広がるような流れをぜひとも作ってもらいたい。
文=元川悦子
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