WTCCもてぎ:道上龍、『手ごたえ』と『悔しさ』の日本ラウンドに。「次に繋がるレース」
10月29日、栃木県のツインリンクもてぎでWTCC世界ツーリングカー選手権日本ラウンドの予選/決勝が行われたが、地元レースで期待がかかった道上龍(ホンダ・シビックWTCC)はオープニングレースで10位、メインレースではリタイアという結果に終わった。
2016年のもてぎ戦で初めてWTCCに参戦し、今季は開幕からフル参戦して世界を転戦してきた道上。今回のもてぎは、「開業から20年間走り続けてきた」勝手知ったるコースであり、かつ母国レースとして「絶対に結果を残したい」レースだった。
その道上のレースウイークだったが、開幕前からトラブルがあった。前ラウンドである中国からマシンを別便で輸送し、もてぎに向けてマシンをアップデートし臨むはずが、空輸が中国共産党党大会の影響などもあり裏目に。急遽別のシビックWTCCをドライブすることになってしまった。
「フラストレーションがたまっている」状態で迎えた土曜のフリープラクティス1だが、そのいらだちを払拭するかのように、道上は2分08秒927というベストタイムで3番手に。手ごたえを得て初日を終えた。
10月29日は朝からフリープラクティス2、そして予選、決勝が行われる多忙なスケジュールだったが、道上はフリープラクティス2でも3番手。そして予選では、「Q3に残れるように」という目標を達成。自身初めてとなるQ3でのシングルカーアタックに臨んだ。ただ、ここではタイヤの内圧調整に失敗してしまい、タイムが伸びず5番手に。これまでの最上位グリッドではあったが、一抹の悔しさが残る結果となった。
■メインレースでまさかのブレーキトラブルが
迎えた決勝。オープニングレースでは、抜群のスタートを決め一気にポジションを上げると、同じく最後尾スタートだったニッキー・キャツバーグ(ボルボS60 WTCC)やロブ・ハフ(シトロエンC-エリーゼWTCC)らとバトルを展開する。途中、何度かヒットされコースを外れたシーンもあったが、10位でフィニッシュ。ポイントを獲得する。
続くメインレース。予選5番手からのスタートであり、上位進出に期待がかかる一戦だ。一方で上位グリッドにはホンダ、ボルボの両ワークスのマシンがひしめいており、道上にはチーム代表のアレッサンドロ・マリアーニから「(ランキング首位のテッド)ビョークを抑えろ」と指示が飛ぶ。
道上はセーフティカーランの後のスタートでビョークに食らいつくが、3周目のV字コーナーでまさかのコースアウトを喫してしまう。道上によれば「オープニングレースのあとに、ブレーキのローターとパッドを替えたんです。それのどちらかが原因のトラブルで、ウォームアップは問題がなかったのですが」という。
「レースでは兆候なく出ましたね。V字コーナーは川があるので、ブレーキは当然気をつけなければならないのですが、ブレーキがロックしてしまいました」
■世界のトップドライバーたちとバトルができた
レースはその後、セーフティカーランの後に赤旗終了となったが、道上はグラベルにストップしてしまったため、リタイアという結果に終わった。レースにタラレバは禁物だが、そのまま走っていたら6位にはなっていたかもしれない。ただ、結果以上に道上にとってはこの週末、上位ドライバーたちとやり合えたことに満足しているようだ。
「やっと自分らしいレースがこのもてぎでできたので、その意味では満足しています」と道上。
「今年はWTCCに初めてフル参戦していて、このもてぎでは絶対に結果を残したいと思っていました。その意味では、最大限力を出し切ることはできたと思います。今週末は初めてと言っていいくらい、世界のトップドライバーたちとああいうバトルができたので、次に繋がるレースだったと思っています」
予選Q3やメインレースでのトラブル等、悔しい部分はありつつも、戦える手ごたえを得た道上。次戦は「F3で出て以来20年ぶりです」というマカオ・ギアサーキットが舞台だ。「いい状態にあると思うので、マカオでは上位を狙いたい」と道上はレース後、悔しさのなかにどこか晴れやかさがある表情で語ってくれた。
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