F1メキシコGP決勝:スタートの接触を乗り越えてハミルトンが4度目のタイトル獲得
10月29日現地時間午後1時、メキシコGP決勝が行なわれた。この日も朝から好天で、気温は22度、路面温度は42度まで上昇して暑いコンディションとなった。
予選後にパワーユニット交換を行なったダニエル・リカルド、ブレンドン・ハートレー、ピエール・ガスリーにグリッド降格ペナルティが科され、予選不参加のガスリー以外は予選順位を元にグリッド降格数の少ない順に並び、正式なグリッドは16番リカルド、17番ハートレー、18番フェルナンド・アロンソ、19番ストフェル・バンドーン、最後尾がガスリーの順となった。スーパーソフトのロマン・グロージャンとアロンソ以外は全車がウルトラソフトでスタートする。
スタートで好発進を見せたのはポールのセバスチャン・ベッテルと3番手のルイス・ハミルトンだったが、そこから各車がスリップストリームを使って長いストレートを走行し、ターン1にはインにベッテル、中央にマックス・フェルスタッペン、アウトにハミルトンという3ワイドで入っていく。
ターン2でフェルスタッペンがインを突いてベッテルの前に出る。これで行き場を失ったベッテルをハミルトンがアウトから抜いて前に出るが、出口で路面上のダートに乗って縁石に乗り上げコース内に戻ろうとしたハミルトンにベッテルのフロントウイングが接触。
これでハミルトンの右リヤがパンクし、ベッテルもフロントウイングを破損して両者ともに1周目にピットインしてソフトタイヤに交換し実質ノーストップで最後まで走り切る戦略を採らざるを得なくなった。
これで上位はフェルスタッペン、2番手バルテリ・ボッタス、3番手エステバン・オコン、4番手ニコ・ヒュルケンベルグ、5番手セルジオ・ペレス、6番手フェリペ・マッサ、7番手キミ・ライコネン、8番手ランス・ストロール、9番手リカルド、10番手ケビン・マグヌッセンという順位になった。バンドーンは12番手、アロンソも14番手まで浮上している。
スローパンクチャーに見舞われたカルロス・サインツJr.が2周目、マッサが3周目にピットインしやはりストタイヤに交換する。リカルドは5周目にパワーユニットトラブルでリタイア。これでバンドーンは10番手、アロンソは9周目のターン1でグロージャンに接触しながら抜いて11番手に上がる。
しかしマクラーレン勢は9番手マーカス・エリクソンの0.6秒後方で抑え込まれて遅いペースに付き合わされてしまう。
6番手まで上がったライコネンは5番手ペレスの背後に迫るがなかなか攻略できない。その一方でベッテルは12周目のターン4でマッサに押し出されながらも抜いて15番手まで挽回、さらに後続を抜いてポジションを上げていく。しかしハミルトンはサインツの後方でなかなかペースが上げられないまま最後尾を走る。
上位勢はフェルスタッペンがファステストラップを連発しながら逃げるが、2番手ボッタスも好ペースで着いていき6秒差で走る。
18周目に5番手ペレスがピットインしたのを機に19周目にヒュルケンベルグ、20周目にオコンがピットインしそれぞれ順位を変えることなくソフトタイヤでコースに復帰した。
21周目にはサインツを抜けないハミルトンが首位フェルスタッペンに追い付かれ周回遅れにされてしまった。ハミルトンは26周目のメインストレートでようやくサインツをパスしてペースを上げていく。数周前からデプロイメント不足に苦しみパワーユニットのシステムリセットを行なっていたヒュルケンベルグだが、25周目のメインストレートでパワーを失ってストップ。そのままリタイアとなった。
28周目にエリクソンがピットインし、アロンソは前がクリアになる。しかし背後にはベッテルが追い付いてきており、30周目にパスされて9番手。
30周目、ハートレーがパワーユニットトラブルに見舞われて白煙を上げながらターン7手前にストップ。これでバーチャルセーフティカー(VSC)導入となり、まだピットインを終えていなかったフェルスタッペンやボッタスら全車がピットインしてスーパーソフトに交換。
1周目にソフトを履いていたハミルトンとベッテルもピットインして、ハミルトンはスーパーソフト、ベッテルはウルトラソフトに履き替えた。ベッテルは8番手、ハミルトンは16番手でコースに戻りグロージャンを抜いて15番手を走行する。
全車がピットストップを終えたこの時点で首位はフェルスタッペン、2番手ボッタスは9秒差、3番手にはライコネンが浮上しているが首位からは32秒差、4番手オコンはライコネンから10秒、5番手ストロールもオコンから7秒さでその2秒後方に6番手ペレスが迫る。VSC導入までステイアウトしていたマグヌッセンが7番手を走るが、ベッテルは37周目にこれを抜いて7番手に浮上する。マクラーレン勢はVSCが利してエリクソンをオーバーカットしたかたちになり、アロンソが9番手、バンドーンが11番手を走る。
首位フェルスタッペンはじわじわと2番手ボッタスとの差を広げていき、3番手ライコネン以下は徐々に単独走行になっていく。しかしその中でも、序盤にピットインしソフトタイヤに換えたドライバーはVSCでスーパーソフトに換えたドライバーよりも不利な立場に追い込まれている。
ベッテルは中団勢よりも1秒速いペースで追いかけていくが、ハミルトンは「ベッテルは最大でも4位、我々は8位を目標にしている」と無線で伝えられる。
ベッテルは50周目にペレスに追い付きターン4でインを突いてパス。これでペレスはピットに飛び込んでウルトラソフトに履き替える。ベッテルは54周目にはストロールを抜いて5番手、58周目にオコンも抜いて4番手に浮上した。しかし3番手ライコネンは24秒先、タイトル決定阻止に必要な2番手を走るボッタスは50秒も前方にいる。
ハミルトンはマグヌッセンとアロンソの8番手争いに追い付くが、なかなか仕掛けるまでには至らない。ベッテルもライコネンとの差はなかなか縮まっていかない。残り5周でようやくハミルトンはアロンソの背後でDRSを使って並びかけるが、アロンソも簡単には譲らず。アロンソは巧みなブロックを見せるものの、67周目にハミルトンはついにターン4〜5でアロンソを攻略して9番手に上がった。
フェルスタッペンは最後まで危なげなく71周を走り切ってマレーシアGPに続いて今季2勝目を上げた。2位20秒差でボッタス、3位は50秒差でライコネン、ベッテルは70秒差の4位に終わり、この時点でハミルトンの4度目のドライバーズチャンピオンシップ獲得が決まった。
5位オコン、6位ストロール、7位ペレス、そして8位はマグヌッセンが守り切ってハミルトンは9位でチェッカードフラッグを受けた。アロンソは10位でフィニッシュして1ポイントを獲得した。
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