「2016年のル・マンが僕たちを強くした」中嶋一貴が振り返る自身のキャリアハイライト
11月3日、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、WEC世界耐久選手権の2012年シーズンから同チームで活躍してきた中嶋一貴が、今シーズン限りでトヨタWECチームのレギュラードライバーを勇退することを発表した。一貴は今週末行われる“ラストイベント”第6戦バーレーン8時間レースを前にメディアの取材に応え、自身のキャリアについて語っている。
トヨタのWEC参戦と同時にシリーズファミリーの一員となった一貴は、2018年に初めてル・マンで勝利を収め、チームメイトのセバスチャン・ブエミと、当時の僚友フェルナンド・アロンソとともに2018/19年“スーパーシーズン”のWECタイトルを獲得したことが、自身のレースキャリアにおけるハイライトのひとつになったと述べた。
一方、その2年前に行われたル・マン24時間レースで、優勝目前だったトヨタと自身に降り掛かった“フィニッシュまで残り1周”の悲劇もまた、強く記憶に刻まれているという。
「もちろん2018年(のル・マン初優勝)は最高でしたが、同時に2016年に起こったことも忘れられません」と一貴。
「誰にとっても悲しい瞬間でしたが、あのことが僕たちを強くし、ル・マンで初勝利を手にする準備を整えるためのカギだったと思っています」
「(ハイライトを)ひとつを選ぶのは難しいですが、本当にたくさんの感情がありました」
「ル・マンでは、初優勝の前の出来事のほうが大きかったかもしれませんね。でも、(私にとっては)どちらも同じくらい重要なことです」
今回の“勇退”発表後には、引退も選択肢のひとつにあることを示唆した一貴。36歳の彼は、トヨタのWECプロジェクトが自身の夢を叶える場所になったと述べた。
「もちろんF1もです。F1を降りた後は日本に戻って国内レースに参戦しました。しかし、ヨーロッパでふたたびレースをすることが私の夢であり、ル・マンは完璧といえる最適な場所でした」
「当時はこの(トヨタのWEC参戦)プロジェクトが始まったばかりで、私にとってはプロジェクトに参加してル・マンに挑戦し、そこで優勝することは夢のようなことでした」
「最終的には(ル・マン制覇までに)かなりの時間が掛かりましたが、ようやく実現させることができました。本当に夢が叶ったのです」
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