F1サクヒールGP木曜会見(3):繰り返し放送されたクラッシュ映像。ドライバーからは「何度も流す必要ない」と不満
2020年F1第16戦サクヒールGPの木曜日の会見では、第15戦バーレーンGPにおけるロマン・グロージャン(ハース)の悲惨な事故の取り扱いに対する不満がドライバーから噴出した。そのひとりがダニエル・リカルド(ルノー)だ。
リカルドはバーレーンGPのレース後に、グロージャンの事故の映像が何度もリプレイされたことに対して、「あれはグロージャンの家族や、これからその場でレースを再開させようとしている僕たちの家族に対して、あまりに配慮を欠いた措置だった」と怒りをあらわにしていた。
そして、その気持ちは4日経った木曜日のサクヒールGPでも同じだと言った。
「グロージャンの安否を知らせるために映像を流すのはいいよ。彼がガードレールをジャンプして、メディカルカーまでスタッフに支えながらも歩いて行った。それで十分じゃないか。それを何度も流す必要はない」
レース後、リカルドはグロージャンの妻・マリオンとの間にこんなエピソードがあったことを教えてくれた。
「彼女から投稿があったんだ。『そう言ってくれて、ありがとう』とね。それを見て、ホッとしたよ」
リカルドはレースでのクラッシュはエンターテイメントのひとつという風潮にも疑問を呈した。
「僕はそういうものには魅力は感じない。もちろん、そういうのが好きな人もいることは知っている。でも、僕はもう、そういうのは卒業した」
セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)もリカルドの考えに同調する。
「たぶん、立場によって受け取り方が違うんだと思う。命を賭けてレースする僕たちと、それをテレビで見ているあなた(メディア)を含めた視聴者とではね。レースが退屈だとか。もう危険じゃないとかという声を聞くと、よけいにそう感じる。でも、レースをしている限り、リスクは常にあるんだよ。だから、安全性は常に向上されているんだ」
ベッテルは命を賭けてレースするドライバーたちに、もう少し配慮が欲しいと訴える。
「僕たちは、コクピットに座ってただ運転するだけのモノじゃない。心が通った人間なんだ。それでも、命を賭けてレースするのは、このスポーツを愛しているから。でも、今回のように事故の映像が何度も何度も流されると、少し滅入るね。もう少し、配慮してほしかった」
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