ホンダF1田辺TD初日会見:4台が無事に走行を終え最適化を進める。現時点で「PUの使い方はある程度見えている」
F1初開催となるサウジアラビアGPの初日フリー走行で、ホンダ製パワーユニット(PU)を搭載する4台はトップ10に入る速さを見せた。しかしアルファタウリ・ホンダがピエール・ガスリー3番手、角田裕毅8番手と順調さを窺わせる一方で、レッドブル・ホンダ勢はマックス・フェルスタッペンがメルセデス2台にかなわず4番手、セルジオ・ペレスは9番手にとどまった。
それでもホンダF1田辺豊治テクニカルディレクターは、「滑り出しとしてはよかった」と評価。エンジン全開率の高さや回生エネルギーマネジメントの点で難易度の高いコースでもあるが、「パワーユニットの使い方はある程度見えています」と、予選、レースに向けて自信を見せていた。
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──初日の感触はいかがでしたか?
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):思ったよりも砂煙も立たず、舗装の感触も意外によかったです。それなりにグリップがある感じでした。ただ、コース幅が狭いこととバリアが近いということもあり、コースオフやクラッシュになるとクルマのダメージが大きいので「注意が必要だね」とセッション前には話していました。
シャルル・ルクレール(フェラーリ)がマシンを大破させたりもしましたが、我々の4台は無事ふたつのセッションを終えられました。ドライバーは習熟度を増し、エンジニアもパワーユニットの使い方、車体セッティングの最適化を進めることができました。
──そのうえホンダドライバーはトップ10に4台が入っています。
田辺TD:まだまだ初日ですし、初めてのサーキットなので明日以降ペースは速くなっていくでしょう。とはいえ、滑り出しとしてはよかったと思っています。
──パワーユニットのセッティング自体は、走り慣れたサーキットに比べてかなり大変でしたか?
田辺TD:いえ、そんなことはないです。
──今季これまでのノウハウを活かしつつ、初日の4台のデータをもとに十分対応できると?
田辺TD:前戦のカタールGPもそうでしたが、車間距離を比較的空け、自分の走りをしながら感触を掴むやり方をしています。そのおかげでショートラン、ロングランともにある程度のデータを取れています。ただ、レース本番となるとトラフィックがどうなるか未知数の部分が多いです。オーバーテイクが実際にどれほど可能なのか、タイヤの劣化はどうか、エンジン全開率はどう変化していくか、その部分はまだ読みにくいところです。とはいえ、初日の走行でパワーユニットの使い方はある程度は見えています。そういった状況では、幅のある(パワーユニットの)設定を準備してレースに臨むことが重要だと考えています。
■パワーユニット側としてレッドブル代表のコメントにうれしさ
──レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、このジェッダ・ストリート・サーキットが思った以上にレッドブルのマシンに合っているようだとコメントしています。同じ意見ですか?
田辺TD:それは非常にうれしいコメントですね。いい感じで初日をスタートできたという話はしましたが、パワーユニット側としては車体側が実際にどんな感触だったのか、ドライバーがどう感じているのか分からない部分も多いです。ドライバーからのフィードバックをもとに、クリスチャンがそういった話をしているのであれば、私たちも大変うれしいです。
──エンジン全開率に関しては想定どおりですか?
田辺TD:事前の予想よりも若干踏めている感じですね。オイルが浮いて路面がズルズルということはないです。ですので、2日目以降の路面向上率はそんなに大きくないかもしれません。そこまで伸びないのではないかと思います。
──今季残り2戦でホンダが何か秘密兵器を繰り出すのではという報道がありました。何か思い当たる節があるのか、まったく根も葉もないニュースですか?
田辺TD:そんなニュースが出ているのですか? 我々はいつも最善を尽くしています。それだけです。
──この時期に何か新しいものを投入することはありえないのでしょうか?
田辺TD:いえ、毎戦毎戦、次に向けてはこれができるんじゃないかというのを考え続けています。ただ、ハードウェアとしては無理なので、それ以外の部分で『ここはこうできないか』という意味では、毎回新しいものは入れています。ただしそれは飛び道具のようなものではありません。今のレギュレーションでは、それは難しいです。ですが、毎回データを解析してシミュレーションを繰り返し、ダイナモでテストをして、何かしら新しい工夫をしています。
──カタールGPでのメルセデスとの差を見ても、純粋にパワーで負けているなど、そういったことはないのでしょうか?
田辺TD:サーキット特性とパッケージとしてのパフォーマンスですので、そこは何とも言えません。
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