WRCモンツァ3日目は雪山での戦い。最終日を前に選手権首位のエバンスがまさかのコースオフ
イタリア北部のミラノ近郊で行われているWRC世界ラリー選手権第7戦モンツァは12月5日、競技3日目の走行が行われ、多くのアクシデントが発生するなかでセバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)が初日以来となる総合首位に浮上した。
2020年シーズンのWRC最終戦として行われている『ラリー・モンツァ』3日目。木曜日から2日間にわたりモンツァ・サーキットが舞台となってきたラリーは初めてサーキットの外に移動し、ベルガモの北側に展開される舗装されたワインディングロードでの戦いとなった。
前日に引き続き上空からは雨が落ち、標高の高いポイントでは路面に積雪もみられるコンディションに。まるでモンテカルロのようなステージで速さをみせたのは、そのようなコンディションを得意するオジエだった。
総合3番手で競技3日目を迎えた元6連覇王者は1日の最初のステージとなったSS7でトップタイムを記録すると、デイ2を総合首位で終えたダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)を逆転して総合首位に躍り出る。
続くSS8ではスペイン人ドライバーの後塵を拝したオジエだが、午前のループ最後のSS9では再逆転に成功。ソルドに4.4秒、ドライバーズチャンピオンを争う僚友のエルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)に7.5秒、4番手オット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)には15.7秒のギャップを築いてみせた。
サービスを挟んで迎えたSS10はガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC)、オーレ・クリスチャン・ベイビー(ヒュンダイi20クーペWRC)が立て続けにクラッシュしコースを塞いでしまったため、ステージキャンセルに。
この頃から、降り続いていた雨が雪へと変わりラリーはより一層難しいものとなっていく。そんな状況で迎えたSS11でドラマが待ち受けていた。なんとドライバー選手権首位に立っているエバンスが新雪が積もった路面でグリップを失いコースアウト。
幸いクルーは無事だったものの、マシンはコース脇の斜面でスタックし脱出は不可能な状態に。これにより総合3番手につけていたエバンスはデイリタイアを喫することになり、初のタイトル獲得が非常に厳しいものになっている。
失望したことを認めたエバンスは「短いブレーキングの後にフラットな右コーナーを曲がっていったところ、いきなりターマックの表面が変わったんだ」と事故当時の状況を振り返った。
「ブレーキをかけたとき、それはまるでガラスのようで僕たちのクルマはまったく減速できなかった。本当に驚いたよ」
SS9の再走ステージとなるSS12は降雪の影響でステージキャンセルに。サーキットに戻って行われた“ナイトステージ”のSS13ではソルドがベストタイムを記録。0.6秒差のSS2番手に勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)が続き3番手にタナク、オジエが4番手に入った。
この結果、SS11終了時点で22秒あったオジエとソルドの差が17.8秒に縮まり、エバンスの離脱で順位を上げたタナクが首位から22.1秒差の総合3番手となっている。総合4番手はエサペッカ・ラッピ(フォード・フィエスタWRC)、SS7でスピンを喫したカッレ・ロバンペラは総合5番手でフィニッシュ。初日にクラッシュを喫した勝田は前日の総合46番手から同25番手にポジションを上げて3日目の走行を終えている。
ラリー最終日となる6日(日)のデイ4は、モンツァ・サーキット内でSS14〜16、計3本のSSが行なわれる。SS14“ピーゼロ・グランプリ”はデイ2とデイ3でも走行した全長10.31kmのステージだ。SS15/16“セラグリオ”全長14kmのSSで、最後のSS16はステージ上位タイム記録者にボーナスポイントが与えられるパワーステージとなっている。3本のSSの合計距離は38.31km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は42.73kmだ。
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