角田裕毅には「夢を追いかける強さがある」マルコ博士から褒め言葉も/ホンダF1山本MDインタビュー
2020年FIA-F2第12戦バーレーンの決勝レース2を待たずして、角田裕毅のスーパーライセンス獲得が確定した。今回優勝したレースを含め、この1年間の角田選手の成長をどう見ているのか、ホンダF1の山本雅史マネージングディレクターに語ってもらった。
────────────────────
──まず今日の戦いぶりについて、どんな感想ですか?
山本雅史マネージングディレクター(以下、山本MD):まずは1年間ありがとう。お疲れ様でしたと言いたいです。ただ今日のレースは率直にいうと、1コーナーのインの空け方、ブレーキングの早さは、結果は優勝で褒めてあげたいですが、100%アグレッシブにレースできていたのかどうかは、あとでちょっと本人と話したいですね。総じていうと、落ち着いたメリハリのあるレースではありましたが。
──ちょっと守りに入った印象ですか?
山本MD:そう思いますね。先週のレースで痛い結果になったこともあって、今回は確実に結果を残したいという気持ちが強かったんだと思います。悪いことではないのですが、あのまま1コーナーをトップで抜けていたら、また違うレース展開もあった。結果的に優勝してますから、なにもいうことはないのですが、やっぱりレースは常にアグレッシブに戦ってほしいです。
──アグレッシブというと、山本さんはニキータ・マゼピン(ハイテックGP)の戦闘意欲を引き合いに出しますよね。今回のマゼピンはアグレッシブ過ぎましたが。
山本MD:彼(マゼピン)のアグレッシブさは危険と隣り合わせですよね。僕の理想ではない。角田くんはブレーキングも巧いし、あの1コーナーはいつもと同じようにいってほしかったですね。それ以外は満点でした。マゼピンとロバート・シュワルツマン(プレマ・レーシング)のタイヤの状況も、冷静に見ていたし。
──先週のレースについては、どう見ていますか?
──山本MD:あのときもそうでしたが、角田くんはスタート直後の1コーナーをすごく丁寧に入ろうという意識が強い気がします。それがうまくいく場合と、先週や今回のように裏目に出ることもある。
──予選でのスピンなど、先週は力が入ってる印象でした。
──山本MD:そう思いました。この2戦でなんとかしなきゃと思っていたのでしょう。本人は、プレッシャーはありませんと言っていましたけどね。レーシングドライバーとしての、右と左の大きな分岐点に立っていたわけですから。プロとしてやってくうえでの大きな分かれ道だった。まったく緊張しないことはなかったはずです。だからこそ、それを跳ね除けて優勝した今日のレースは心から褒めてあげたいです。
──レッドブルのヘルムート・マルコ博士(モータースポーツアドバイザー)と、表彰台の下で話していましたね。
山本MD:ホンダの育成ドライバーとして、よくここまで育ててくれたと言ってくれました。それも嬉しかったですね。
──この1年間の角田選手は、確実に成長を続けたことが非常に印象深いのですが、山本さんにとって角田選手のベストレースは、第7戦ベルギーでのレース1優勝ですか?
山本MD:本人はチェッカーを1位で受けていないので、悔しい思いがあるでしょうね。でも、僕はスパ・フランコルシャンというコースの難しさもあって、総合的に強くないと勝てないので、ベルギーがトップに入りますね。マゼピンと張り合って勝ったレースでもありましたし。
──これで角田選手は来季F1デビューする可能性が高いと思いますが、これまで山本さんが見てきた日本人ドライバーと角田選手は、どんなところに違いを感じますか?
山本MD:一番感じるのは日々の努力ですかね。レーシングドライバーとして当たり前のことですし、ヨーロッパに来た日本人は概ねやってくれている。そのなかでも彼は優秀だし、コース上以外でも努力を怠らない。夢を追いかける強さが、彼の中にあることを感じる。それが結果につながったと思いますね。
──F2参戦1年目で、角田選手がここまでいくと予想していましたか?
山本MD:いや、ここまでとは思っていなかったですね。1、2勝はするかなと思っていましたが。カーリンのチーム力もわかっていましたし、でも、ここまでポールポジションを獲得するとは思っていませんでした。今日の優勝したときのチームの喜び方も非常に印象的でした。角田選手がチームにしっかり溶け込んでいるのがよくわかりました。
「ホンダ」をもっと詳しく
「ホンダ」のニュース
-
なぜトヨタやホンダの新車は「アイドリングストップ不採用」なのか…メーカーが燃費より重視すること【2023編集部セレクション】5月3日16時15分
-
バイク名車列伝 第9回 ホンダのレーサーレプリカ「VFR400」に今から乗るなら? バイク王に聞く5月2日11時30分
-
ヤマハ「大きく変更したシャシーをテスト」。ホンダ「進むべき方向性がわかった」/MotoGPヘレス公式テスト5月2日5時0分
-
【バイク天国】インドネシアで人気のバイクを調査した結果 / ヤマハXSR155、R15、ホンダCBR150R、CBR250RR、スズキGSX150、カワサキZX-25など5月1日18時0分
-
バイク名車列伝 第8回 ホンダ「NSR250R」は今でも大人気! 最終モデルが価格高騰中?5月1日11時30分
-
ホンダとの再タッグ控える42歳アロンソの魅力と2年後の懸念。中国で高まるF1機運【中野信治のF1分析/第5戦】4月30日14時50分
-
ヨハン・ザルコ、ホンダの試作マシンは「まだ一歩を踏み出したと言えない」/MotoGPへレステスト4月30日13時30分
-
バイク名車列伝 第7回 ホンダ「CB750F」はノーマルよりカスタムが高評価? 中古事情を聞く4月30日11時30分
-
上位占めるドゥカティが好調。ヤマハは空力を大幅にアップデート、ホンダは再登場のパーツで走行/ヘレス公式テスト4月30日7時40分
-
ホンダ:ミルが12位「マシンの改善が進んでいる。テストで課題解消にトライする」/第4戦スペインGP決勝4月29日6時6分