損失額は誇張だと主張する元会長トッドに対し、FIA側は詳細な情報を公開。今後は2025年までに安定した財政を目指す
FIAは、元会長ジャン・トッドがFIAの損失額の深刻さは誇張されていると示唆したことに応え、困難な財政状況について新たな情報を公開した。
1年前、現会長のモハメド・ビン・スライエムは就任にあたり、彼の優先事項のひとつはFIAの前体制から引き継いだ2000万ドル(約28億4300万円)の損失に対処することだと明らかにした。当時ビン・スライエムは「我々が知らなかった財政問題があった。我々にはパンデミック以前から損失があったが、それを解消できてうれしい」と語っている。
しかし今週、トッドはフランスの日刊紙『L’Equipe』のインタビューで、ビン・スライエムがFIAの財政状況について否定的に言い表したとして批判した。
「新型コロナウイルス危機に見舞われた過去2年間を除き、毎年の収支でほぼ利益を上げてきた。しかし、F1をロックダウンが行われている状況で開催許可を得た最初の国際大会にするために、その条件を迅速に整えることができていなかったら、FIAは終わっていたかもしれない」
トッドのコメントに対し、FIAは状況は誇張されていないと主張した。代わりにFIAは、ビン・スライエム就任時の財政状況についてより詳細な情報を提供し、連盟は“満足のいく状態ではなく、持続不可能だった”と述べた。新型コロナウイルスのパンデミックにより収益が減少するなかで、FIAの営業損失は2019年の1280万ユーロ(約19億8500万円)から、2021年は2400万ユーロ(約37億2100万円)に増大した。
しかしビン・スライエムの会長就任により、FIAはコスト削減策と収益創出戦略を実施し、その結果2022年の営業損失は770万ユーロ(約11億9400万円)に大幅に削減された。また、2023年会計年度の損失は300万ユーロ(約4億6500万円)と推定されている。現在FIAは、2024年に損失をさらに縮小して2025年までにバランスの取れた経営成績を達成し、今後の財政的安定を確保することを目指している。
FIAはの広報担当者は次のように説明した。
「バクーで開催された年次総会でFIA会長が説明したように、FIAは新会長チームの就任直後から、判明した財政状況が満足のいくものではなく持続不可能であることを透明性をもって明らかにしてきた。連盟は多大な損失を被っていた」
「上層部の使命はFIAを維持することだ。我々は営利を目的としていないが、少なくとも均衡の取れた会計簿を持たなければならない。また、理想的には不測の事態に備えて自己資本を強化し、安全、技術、スポーツおよびモビリティにわたるレギュレーションといった分野における研究開発に投資し、会員クラブを支援するという我々の主要目的を達成するために、余剰金を生み出す必要がある」
「我々は今後数週間のうちに2021年から2022年のデータを発表し、2024年6月中旬の臨時総会では2023年の会計報告を行う予定だ」
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