チームを支える2人の『14番』 「あまり強くない代」の前橋育英が狙うのは日本一の下剋上!
サッカーキング2023年12月27日(水)19時43分
前橋育英を牽引する2人の『14番』、篠崎遥斗(左)と山崎勇誠(右) [写真]=土屋雅史
松田直樹、小島秀仁、鈴木徳真、田部井涼、秋山裕紀、そして昨年は徳永涼。歴代の面々を見ても錚々たる顔ぶれが並ぶのは、前橋育英にとって特別な背番号として知られる『14番』を背負ってきた選手たち。そして、2023年シーズンを戦う上州のタイガー軍団では、2人の『14番』が切磋琢磨しながら、チームと個人の実力を高め合っている。
高円宮杯プレミアリーグEASTで『14番』を任されてきたのは山崎勇誠(3年)だ。新チームが立ち上がったころはボランチでの起用が多かったものの、リーグ戦が開幕するとポジションはサイドハーフやトップ下といった、攻撃的な位置が主戦場に。持ち前のキープ力やドリブルを生かしつつ、チャンスを演出する役割を担ってきた。
山崎が今季のターニングポイントとして振り返るのは、プレミアリーグ開幕戦の川崎フロンターレU-18戦。昨年からキャプテンのGK雨野颯真(3年)以外、全員レギュラーが入れ替わった中で迎えたこのゲームは、0-3の完敗。スタメンで出場した山崎も、前年のリーグ王者との実力差を痛感したという。
「フロンターレはスピード感が全然違いましたね。あの試合でそれを学んだので、そこから練習の中でも強度やゴール前で身体を張るところは意識するようになりました」
夏のインターハイ後は負傷離脱を強いられたが、戦線に帰ってくるとプレミアリーグでも、コンスタントに試合出場を重ね、コンディションもきっちりと上げてきた。夏の日本一に輝いた明秀日立と対戦した12月24日の“壮行試合”でも、山崎は先制点をマーク。前橋育英の攻撃を司るキーマンとして、高校最後の晴れ舞台に挑む。
インターハイや選手権予選といったトーナメントで『14番』を託されてきたのは篠崎遥斗(3年)だ。昨年9月に右ヒザへ大ケガを負い、半年近いリハビリ期間を経て、練習に復帰したのは今年3月のこと。開幕直前のチーム合流だったこともあって、プレミアリーグでは一際大きな“30番”を付けてシーズンを戦ってきた。
篠崎にとっては忘れられない一戦がある。ホームで青森山田と対峙した7月のリーグ戦。相手のスタメンには、中学時代を過ごしたクマガヤSC(埼玉県)のチームメイトに当たる川原良介(3年、青森山田)が名前を連ねていた。
「もともとチームメイトで仲も良かったので、やってやろうと思っていました。でも、アイツも成長していましたね。上手かったです」
1-2で逆転負けを喫した試合後。2人をよく知る人たちに囲まれ、川原と記念写真のフレームに収まる篠崎の悔しそうな顔が印象的だった。以降はそれまで以上にリーダーシップを発揮する姿勢も増し、リーグ戦の出場時間数はチーム1位。ライバルからも刺激を受け、不動のボランチとして世代最高峰のステージを戦い抜いた確かな自信を携えて、最後の選手権での躍動を誓っている。
少し前述したように、今年の前橋育英はほとんどトップチームでの経験値を有していない選手たちでスタートした。初めて臨んだ公式戦の群馬県新人戦(群馬県高等学校サッカー新人大会)は、準決勝で敗退。その試合後には、山崎が「自分たちはずば抜けている選手がいないので、あまり強くない代と言われているんですけど、個人でできない分、全員でチーム力を高めて、『今年の育英は強くない』と言っている人たちを見返せればいいかなと思っています」と語っていた言葉をはっきりと覚えている。
ただ、常勝軍団の看板を背負い、言いようのない重圧の中でシーズンを送ってきたチームは、着実に、丁寧に、小さな成長を繰り返し、グループとしてできることの輪を、少しずつ、少しずつ、みんなで広げてきた。とりわけ下級生が主力を占めている中で、山崎と篠崎を筆頭に3年生が放つ存在感も、間違いなく大きくなってきているように感じられる。
以前、篠崎は数ある強豪校の中から、前橋育英を選んだ理由をこう教えてくれた。
「自分は小学生の頃から前橋育英に憧れていて、全国優勝した代の試合もスタジアムに見に行っていたので、『ここで活躍したい』と思って入学してきました」
今度は自分たちがこのタイガー色のユニフォームを纏って、子どもたちに憧れを、夢を、届ける立場にある。チーム全員で成長してきた今年の彼らを象徴するのが、まさに2人の『14番』の存在。2023年の前橋育英を支えてきた山崎と篠崎が狙うのは、「あまり強くない代」が果たす究極の下剋上。すなわち、日本一の称号だけだ。
取材・文=土屋雅史
高円宮杯プレミアリーグEASTで『14番』を任されてきたのは山崎勇誠(3年)だ。新チームが立ち上がったころはボランチでの起用が多かったものの、リーグ戦が開幕するとポジションはサイドハーフやトップ下といった、攻撃的な位置が主戦場に。持ち前のキープ力やドリブルを生かしつつ、チャンスを演出する役割を担ってきた。
山崎が今季のターニングポイントとして振り返るのは、プレミアリーグ開幕戦の川崎フロンターレU-18戦。昨年からキャプテンのGK雨野颯真(3年)以外、全員レギュラーが入れ替わった中で迎えたこのゲームは、0-3の完敗。スタメンで出場した山崎も、前年のリーグ王者との実力差を痛感したという。
「フロンターレはスピード感が全然違いましたね。あの試合でそれを学んだので、そこから練習の中でも強度やゴール前で身体を張るところは意識するようになりました」
夏のインターハイ後は負傷離脱を強いられたが、戦線に帰ってくるとプレミアリーグでも、コンスタントに試合出場を重ね、コンディションもきっちりと上げてきた。夏の日本一に輝いた明秀日立と対戦した12月24日の“壮行試合”でも、山崎は先制点をマーク。前橋育英の攻撃を司るキーマンとして、高校最後の晴れ舞台に挑む。
インターハイや選手権予選といったトーナメントで『14番』を託されてきたのは篠崎遥斗(3年)だ。昨年9月に右ヒザへ大ケガを負い、半年近いリハビリ期間を経て、練習に復帰したのは今年3月のこと。開幕直前のチーム合流だったこともあって、プレミアリーグでは一際大きな“30番”を付けてシーズンを戦ってきた。
篠崎にとっては忘れられない一戦がある。ホームで青森山田と対峙した7月のリーグ戦。相手のスタメンには、中学時代を過ごしたクマガヤSC(埼玉県)のチームメイトに当たる川原良介(3年、青森山田)が名前を連ねていた。
「もともとチームメイトで仲も良かったので、やってやろうと思っていました。でも、アイツも成長していましたね。上手かったです」
1-2で逆転負けを喫した試合後。2人をよく知る人たちに囲まれ、川原と記念写真のフレームに収まる篠崎の悔しそうな顔が印象的だった。以降はそれまで以上にリーダーシップを発揮する姿勢も増し、リーグ戦の出場時間数はチーム1位。ライバルからも刺激を受け、不動のボランチとして世代最高峰のステージを戦い抜いた確かな自信を携えて、最後の選手権での躍動を誓っている。
少し前述したように、今年の前橋育英はほとんどトップチームでの経験値を有していない選手たちでスタートした。初めて臨んだ公式戦の群馬県新人戦(群馬県高等学校サッカー新人大会)は、準決勝で敗退。その試合後には、山崎が「自分たちはずば抜けている選手がいないので、あまり強くない代と言われているんですけど、個人でできない分、全員でチーム力を高めて、『今年の育英は強くない』と言っている人たちを見返せればいいかなと思っています」と語っていた言葉をはっきりと覚えている。
ただ、常勝軍団の看板を背負い、言いようのない重圧の中でシーズンを送ってきたチームは、着実に、丁寧に、小さな成長を繰り返し、グループとしてできることの輪を、少しずつ、少しずつ、みんなで広げてきた。とりわけ下級生が主力を占めている中で、山崎と篠崎を筆頭に3年生が放つ存在感も、間違いなく大きくなってきているように感じられる。
以前、篠崎は数ある強豪校の中から、前橋育英を選んだ理由をこう教えてくれた。
「自分は小学生の頃から前橋育英に憧れていて、全国優勝した代の試合もスタジアムに見に行っていたので、『ここで活躍したい』と思って入学してきました」
今度は自分たちがこのタイガー色のユニフォームを纏って、子どもたちに憧れを、夢を、届ける立場にある。チーム全員で成長してきた今年の彼らを象徴するのが、まさに2人の『14番』の存在。2023年の前橋育英を支えてきた山崎と篠崎が狙うのは、「あまり強くない代」が果たす究極の下剋上。すなわち、日本一の称号だけだ。
取材・文=土屋雅史
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