関東第一|成熟した上級生に気鋭の下級生が融合…攻守ともに盤石で新たな歴史を刻むとき【選手権出場校紹介】
サッカーキング2020年12月28日(月)13時13分
[写真]=土屋雅史
関東第一は不思議なチームである。2010年に小野貴裕監督が就任してから、一貫して魅力的なサッカーを志向しつつも、その時々で針の振り切ったチームを見せてくれてきた。
最初の5年間はとにかくショートパスとドリブルを巧みに織り交ぜ、しつこいぐらいに細かい局面で相手を剥がし続けるような、個性の立ったチームを作り上げていた印象がある。だが、2011年と2012年の選手権は続けて東京都予選決勝で敗退。どちらも相手を圧倒しながら、PK戦と終了間際の失点に沈む格好となった。
2015年は攻守にバランスの取れたチームを構築すると、夏の全国総体で清水桜が丘や大津、広島皆実といった強豪を倒してベスト4まで躍進したものの、絶対的な本命として挑んだ選手権予選は準々決勝で涙を飲み、悲願達成には届かない。
2016年。とうとう全国切符をつかみ取った選手権では開幕戦で野洲相手に勝利を収めるも、この前後のトーナメントでは堅い守備をベースにしたカウンターで、少ないチャンスをモノにするスタイルに。かつては勝負弱さを指摘されていたチームが、関東大会予選や総体予選、選手権予選も含めて7大会連続で東京制覇に輝くなど、劣勢でも勝ち切れるチームになっていったが、ここ2年は思うような結果を残せず、苦しい時間が続いていたように思う。
3年ぶりに冬の全国へ帰ってきた今年のチームは、5年前のチームに近い攻守のまとまりを誇っている。攻撃面ではこの夏からストライカーに定着した笠井佳祐と類家暁がブレイク。予選ではそろって5戦連発と一気に決定力が覚醒し、特に笠井は「今はこのチームで自分が一番点を取れると思っている」とエースの自覚も口に。大会得点王も狙えるポテンシャルを秘める。
守備面も予選の4試合で完封勝利。「自分が中心となって引っ張っていきたい」と意気込む菅原涼太や鹿股翼は2年前の全国総体で1年生ながらピッチに立っており、経験値も十分。中盤でも藤井日向や肥田野蓮治を筆頭に下級生が台頭し、強度の高いフィルターを築く。
小野監督は「本当に3年生は成熟しましたね。限られた時間の中で、物の分別がちゃんと付くようになってきて、人間としての成長を感じる選手権予選でした」と話しており、精神面での成長にも手応えを感じている様子。選手権での最高成績は2回戦だが、その記録更新のみならず、さらにその先へそびえ立つ頂を登り切ってしまうような力が、今年の関東第一には間違いなく備わっている。
【KEY PLAYER】MF類家暁
1年時からレギュラーを勝ち取り、いきなり全国総体も経験。順風満帆に高校生活をスタートさせた類家だったが、肝心の選手権予選では5人目のキッカーを任されたPK戦で失敗し、チームもまさかの初戦敗退。2年時は準々決勝で再び訪れたPKキッカーの重責を果たし、個人的なリベンジは達成するも、準決勝で惜敗。東京制覇には手が届かなかった。
迎えた今シーズン。ボランチからサイドハーフにポジションを変えると、「真ん中をやっていた時以上にチームを引っ張っていこう」と決意。3度目の正直を期した最後の都大会では、プレーメーカーの域を超え、ゴールゲッターとしての能力も覚醒。驚異の5試合連続ゴールを叩き出し、とうとう冬の全国への出場権を手に入れる。
「なんかしっくり来るというか、離れられなくなっちゃいました」と自ら語る14番は、昨年から付けているこだわりの背番号。「チームの調子が悪くても、1人でも相手選手を上回るヤツがいたら勝てると言われてきましたし、それは3年間言われ続けているので、自分は誰よりも一番やらないといけない存在だと思っています」。3年間の集大成。初めての“センシュケン”が、『誰よりも一番やらないといけない』14番を待っている。
取材・文=土屋雅史
最初の5年間はとにかくショートパスとドリブルを巧みに織り交ぜ、しつこいぐらいに細かい局面で相手を剥がし続けるような、個性の立ったチームを作り上げていた印象がある。だが、2011年と2012年の選手権は続けて東京都予選決勝で敗退。どちらも相手を圧倒しながら、PK戦と終了間際の失点に沈む格好となった。
2015年は攻守にバランスの取れたチームを構築すると、夏の全国総体で清水桜が丘や大津、広島皆実といった強豪を倒してベスト4まで躍進したものの、絶対的な本命として挑んだ選手権予選は準々決勝で涙を飲み、悲願達成には届かない。
2016年。とうとう全国切符をつかみ取った選手権では開幕戦で野洲相手に勝利を収めるも、この前後のトーナメントでは堅い守備をベースにしたカウンターで、少ないチャンスをモノにするスタイルに。かつては勝負弱さを指摘されていたチームが、関東大会予選や総体予選、選手権予選も含めて7大会連続で東京制覇に輝くなど、劣勢でも勝ち切れるチームになっていったが、ここ2年は思うような結果を残せず、苦しい時間が続いていたように思う。
3年ぶりに冬の全国へ帰ってきた今年のチームは、5年前のチームに近い攻守のまとまりを誇っている。攻撃面ではこの夏からストライカーに定着した笠井佳祐と類家暁がブレイク。予選ではそろって5戦連発と一気に決定力が覚醒し、特に笠井は「今はこのチームで自分が一番点を取れると思っている」とエースの自覚も口に。大会得点王も狙えるポテンシャルを秘める。
守備面も予選の4試合で完封勝利。「自分が中心となって引っ張っていきたい」と意気込む菅原涼太や鹿股翼は2年前の全国総体で1年生ながらピッチに立っており、経験値も十分。中盤でも藤井日向や肥田野蓮治を筆頭に下級生が台頭し、強度の高いフィルターを築く。
小野監督は「本当に3年生は成熟しましたね。限られた時間の中で、物の分別がちゃんと付くようになってきて、人間としての成長を感じる選手権予選でした」と話しており、精神面での成長にも手応えを感じている様子。選手権での最高成績は2回戦だが、その記録更新のみならず、さらにその先へそびえ立つ頂を登り切ってしまうような力が、今年の関東第一には間違いなく備わっている。
【KEY PLAYER】MF類家暁
1年時からレギュラーを勝ち取り、いきなり全国総体も経験。順風満帆に高校生活をスタートさせた類家だったが、肝心の選手権予選では5人目のキッカーを任されたPK戦で失敗し、チームもまさかの初戦敗退。2年時は準々決勝で再び訪れたPKキッカーの重責を果たし、個人的なリベンジは達成するも、準決勝で惜敗。東京制覇には手が届かなかった。
迎えた今シーズン。ボランチからサイドハーフにポジションを変えると、「真ん中をやっていた時以上にチームを引っ張っていこう」と決意。3度目の正直を期した最後の都大会では、プレーメーカーの域を超え、ゴールゲッターとしての能力も覚醒。驚異の5試合連続ゴールを叩き出し、とうとう冬の全国への出場権を手に入れる。
「なんかしっくり来るというか、離れられなくなっちゃいました」と自ら語る14番は、昨年から付けているこだわりの背番号。「チームの調子が悪くても、1人でも相手選手を上回るヤツがいたら勝てると言われてきましたし、それは3年間言われ続けているので、自分は誰よりも一番やらないといけない存在だと思っています」。3年間の集大成。初めての“センシュケン”が、『誰よりも一番やらないといけない』14番を待っている。
取材・文=土屋雅史
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