人生に絶望した129歳のお婆ちゃんが遺した衝撃の言葉! 「長寿は拷問、生きるのは辛い」「夫もブサイクだった…」
史上最も長生きした人物としてギネス世界記録に認定されているのは、1997年に122歳で亡くなったフランスのジャンヌ・カルマンさんだ。彼女の死後から20年以上が経つ現在もこの記録を塗り替える者はいない。
ところが、かつてロシアには、非公式ながら129歳まで生きた人物が実在したという。1889年に現在のチェチェン共和国に生まれたイスラム教徒のコク・イスタンブロヴァさんは、激動の時代を生き抜いた歴史の生き証人として晩年メディアにも登場しており、自身の人生を「間延びしているだけ」と悲観的に振り返る様子は世間に大きな衝撃を与えた。いずれ訪れる”死”という哲学的な課題とどう向き合うべきか、当時の訃報を報じた際の記事を再掲する。
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※こちらの記事は2019年2月4日の記事を再掲しています。
ギネス世界記録が認定する世界最長寿は、122歳で亡くなったフランスのジャンヌ・カルマンさんだが、ロシアには非公式ながら129歳まで生きた女性がいる。昨年トカナでもお伝えしたコク・イスタンブロヴァさんだ。
このたび、自分の人生を「長寿は拷問、早く死ねばよかった」、「生きているのではなく、間延びしているだけ」と悲観的に語っていたイスタンブロヴァさんが遂に亡くなったとのニュースが舞い込んできた。今一度、彼女の人生の苦悩を振り返りたい。
英紙「Daily Mail」(2月1日付)によると、イスタンブロヴァさんが亡くなったのは今年1月27日。最後を看取った孫のアブバカロフさんによると、イスタンブロヴァさんは夕食を食べ、いつものように軽く話をした後、胸の苦しみを訴えたという。すぐに医者を呼び治療を施したものの、イスタンブロヴァさんは祈りの言葉を口にしながら静かに息を引き取ったとのことだ。とはいえ、死によってやっと彼女は苦しみから解放されたのかもしれない。
イスタンブロヴァさんは、現在のチェチェン共和国に1889年6月1日に生まれたイスラム教徒であり、帝政ロシアの終焉、ソビエト連邦の崩壊といった激動の20世紀ロシアを生き延びてきた歴史の生き証人である。数ある苦難のなかでも、スターリンの治世下に、家畜用の列車に乗せられカザフスタンに強制連行された経験は酷いものだったと語っている。
車両にはチェチェン人がぎゅうぎゅうに詰め込まれ、食事は腐った魚しか与えられず、何人もの死者が出たという。死んだ人は車両から投げ捨てられ埋葬することも許されず、イスタンブロヴァさんの義理の父の亡骸も野良犬の餌になったそうだ。また排泄も車両内で行わなければならず、恥ずかしさから排尿を我慢し、膀胱破裂で亡くなった女性もいたとのことだ。
カザフスタン到着後もイスタンブロヴァさんの苦しみは続く。2人の子どもを亡くしたのだ。
「医者がいなかったので、誰も子どもたちを診ることができませんでした。末の子は何かの病気にかかり、すぐに死んでしまいました。どの家庭でもこういうことが起こっていました。産科医なんていませんから、出産した子どもはすぐに死んでしまうんです」(イスタンブロヴァさん)
13年ものカザフスタンでの生活後、スターリンが死に、チェチェンへと戻ったイスタンブロヴァさんだが、家屋はロシア人に破壊され尽くされており、自ら家を建てるより他なかったという。怠け者の夫は役に立たず、イスタンブロヴァさんはほとんど一人で家を建てたそうだ。彼女の人生で唯一嬉しかった思い出は、自らの手で建てたこの家に引っ越したことだという。そして、その後も怠け者の夫はイスタンブロヴァさんを幸せにすることはなかったようだ。
「夫のことは全く知りませんでしたが、少しずつ愛するようになりました。というより、結婚してしまったんですから、他にどうしようもありません。いずれにしろ耐えなければならなかったのです。とにかく夫は全然ハンサムではありませんでした」(同)
幼い頃から学校教育も受けることができず、毎日働き詰めだったイスタンブロヴァさんの人生は苦痛に溢れていた。普通ならば長寿は喜ばしいものだが、彼女にとっては拷問でしかなかったようだ。
「なぜアッラーはこんなにも長く幸の少ない人生をお与えになったのでしょうか? アッラーがそう望まなければ、私はとっくの昔に死んでいたことでしょう。私を知っている人々は遠い昔に亡くなっているのに、それでも生き続けるのは辛いものです」(同)
どんなに辛い人生にも必ず終わりが来る。時には死が祝福となることさえある。イスタンブロヴァさんが死によって長く苦しい人生からやっと解放されたのならば、これ以上のことはないだろう。
参考:「Daily Mail」、ほか
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