「節約するなら、まずは食費」はNG。効果のある節約とは?
All About2024年4月3日(水)11時30分
節約は我慢を強いられるイメージもつきまとい、実際に長続きしなかったという方もいるようです。もしかしたら、その節約は間違ったやり方かもしれません。
お金を少しでも貯めたいときに、手っ取り早く「節約しよう」と考える方は多いのでは。一方で、節約は我慢を強いられるイメージもつきまとい、実際に長続きしなかったという方もいるようです。もしかしたら、その節約は間違ったやり方かもしれません。
家事の効率化、家庭の省エネなどを専門にメディア出演や講演を行っている節約アドバイザーの矢野きくのさんが、「本当に効果的な節約の仕方」を教えてくださいました。
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筆者は節約をテーマにした講演をする際、来場された方に「節約したい費目を1つだけあげてください」とアンケートをとることがあります。その結果、9割に近い方が「食費」と答えられるのです。講演を開催している地域や来場者の年齢層、そして好景気不景気問わず、答えはいつも食費です。
しかしこれは「食費を節約したい」と答えられた方全てが、食費を無駄遣いしているわけではありません。毎日のように100g1000円、2000円とする肉を買っているのであれば、節約のしようもありますが、確認してみると一般的な価格帯の食材を購入している人ばかりでした。
それではなぜ9割に近い人が「食費を節約したい」と答えるのか、ヒアリングをしていくと「とりあえず手をつけやすそうだから」「やり方が簡単そうだから」という理由がほとんどでした。
このような理由で、もしもこのまま食費の節約をはじめてしまったら、食費を減らす方法は「もやしばかりを食べる食生活」しかないかもしれません。
食費を節約するあまり栄養バランスを考えない食事を続ければ、健康を害する可能性も高くなり、病気になれば莫大な医療費を払わなくてはならなかったり、仕事に支障をきたして収入が減るということにもなりかねません。
節約をはじめようと思ったとき、実際に自分の家計のどの部分が無駄遣いをしていて、それをいくらまでなら節約できるということを把握しなくては、誤った方向に進んでしまいます。
しかし、近年「食品ロス」という単語もメディアで取り扱われるように、わたしたちの暮らしの中では、食料廃棄が問題となっています。
日本では1年間に約612万トン(2017年度推計値)の食料が廃棄されています。これは日本人1人当たり毎日ご飯を茶碗1杯分廃棄している量なのです。せっかくお金を出して買っても、食べ残したものを捨ててしまったり、購入してきた野菜を冷蔵庫の野菜室で傷ませてしまったりという経験のある方も多いのではないでしょうか。
このことからも分かるように、買ったものは全て食べきることで食費を減らすことができます。
そのため「捨ててしまった簿」をつけてみてはいかがでしょうか。自分が無駄にしてしまいがちな食材の傾向が見えてきます。傾向を把握すればそれ以後の買い物の際に行動が変わり、その結果が節約につながっていきます。
割引きなどおトクに買い物ができたとき、思わずSNSに「コスパが高い買い物をした!」と投稿したことはありませんか? 果たしてそれは本当にコスパが高い買い物だったのでしょうか。
コスパはコストパフォーマンスの略。日本語では費用対効果となり、購入してその後、その買ったものがどれだけ活躍したかで決まります。本来であれば買った時点ではパフォーマンスは分からないのです。
3万円の服を購入し、10回20回と着るのと、安いからと買った3000円の服の存在を忘れ全く着用していないのとでは、どちらがコストパフォーマンスが高いか一目瞭然でしょう。
お金を出して購入したものをしっかりと使うようにしていくと、必要とする数も減り、結果的に支出を減らすことができます。
これも筆者の講演の際に来場された方に質問することなのですが、「家にボールペンが何本あるか把握している人?」と聞いて、「把握している」と答えた方は、残念ながら今までお一人もいません。
極論を言えばボールペンは家に1本あればいいはず。1本とは言わなくても家族の人数や使う場所を考えてさらに数本プラスしておけば十分に足りるはずです。しかし多くの家庭で引き出しの中に何本も入っているのがボールペンです。何本も入っているから何本あるか分からず、コンビニなどでちょっと良さそうなボールペンを見かけて買ってしまったりするわけです。
服もどのようなものを何枚持っているか把握していないと、また同じようなものを買ってしまいタンスの肥やしが増えるだけに陥ることとなってしまいます。
問題は、買おうとしているものが自分にとって本当に必要なのかを考えずに買ってしまっていることでしょう。
・買おうとしているもので今まで不便だったことがラクにできるようになる
・今すでに持っているものでは数が足らないので買い足しになる
など、購入することでどのくらい自分の暮らしが良くなるのかを考え、さらにその値段分の効果があるのかを考える時間を、購入前にとるようにしましょう。まさにコスパの高さを考える時間です。
持っているものを一度必要な数に整理して、その後、本当に必要なものだけを買っていく。節約というと支払う金額ばかり気にしてしまいがちですが、今回ご紹介したように買ったものを徹底的に使い、本当に必要なものだけを買っていく暮らしに変えることで、「節約しなくちゃ。節約しなくちゃ」と切迫感を感じることなく、結果的に節約につながっていきます。ぜひ、お試しください。
教えてくれたのは……矢野きくのさん
家事アドバイザー、節約アドバイザー。女性専門のキャリアコンサルタントを経て女性が働くためには家事からの改革が必要と考えて現職に。家事の効率化、家庭の省エネを中心にテレビ、雑誌、講演ほか企業サイトや新聞での連載。All Aboutの節約ガイド。
(文:あるじゃん 編集部)
家事の効率化、家庭の省エネなどを専門にメディア出演や講演を行っている節約アドバイザーの矢野きくのさんが、「本当に効果的な節約の仕方」を教えてくださいました。
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9割に近くが節約したい費目に「食費」を挙げるが……
「何を節約したいですか?」と質問されたとき、皆さんが最初に思い浮かべるのは何でしょうか。食費ではないですか?筆者は節約をテーマにした講演をする際、来場された方に「節約したい費目を1つだけあげてください」とアンケートをとることがあります。その結果、9割に近い方が「食費」と答えられるのです。講演を開催している地域や来場者の年齢層、そして好景気不景気問わず、答えはいつも食費です。
しかしこれは「食費を節約したい」と答えられた方全てが、食費を無駄遣いしているわけではありません。毎日のように100g1000円、2000円とする肉を買っているのであれば、節約のしようもありますが、確認してみると一般的な価格帯の食材を購入している人ばかりでした。
それではなぜ9割に近い人が「食費を節約したい」と答えるのか、ヒアリングをしていくと「とりあえず手をつけやすそうだから」「やり方が簡単そうだから」という理由がほとんどでした。
このような理由で、もしもこのまま食費の節約をはじめてしまったら、食費を減らす方法は「もやしばかりを食べる食生活」しかないかもしれません。
食費を節約するあまり栄養バランスを考えない食事を続ければ、健康を害する可能性も高くなり、病気になれば莫大な医療費を払わなくてはならなかったり、仕事に支障をきたして収入が減るということにもなりかねません。
節約をはじめようと思ったとき、実際に自分の家計のどの部分が無駄遣いをしていて、それをいくらまでなら節約できるということを把握しなくては、誤った方向に進んでしまいます。
食費を節約したいと思うならまずはロスを減らす
仮に食費の節約をはじめるとすると、まず買う食材や量を変えたり、1円でも安いものを買いに行くというように、買うときの金額を減らすということに注力する人が多いでしょう。しかし、近年「食品ロス」という単語もメディアで取り扱われるように、わたしたちの暮らしの中では、食料廃棄が問題となっています。
日本では1年間に約612万トン(2017年度推計値)の食料が廃棄されています。これは日本人1人当たり毎日ご飯を茶碗1杯分廃棄している量なのです。せっかくお金を出して買っても、食べ残したものを捨ててしまったり、購入してきた野菜を冷蔵庫の野菜室で傷ませてしまったりという経験のある方も多いのではないでしょうか。
このことからも分かるように、買ったものは全て食べきることで食費を減らすことができます。
提案:家計簿よりも捨ててしまった簿
お財布から出ていった金額を記録する家計簿をつけている人は多いかと思います。しかし、ここまでご紹介したように食費に関しては、買っても捨ててしまっている部分に無駄があるのです。そのため「捨ててしまった簿」をつけてみてはいかがでしょうか。自分が無駄にしてしまいがちな食材の傾向が見えてきます。傾向を把握すればそれ以後の買い物の際に行動が変わり、その結果が節約につながっていきます。
「コスパの高い買い物をした」は本当にコスパが高いの?
それでは、節約をはじめようとした際に何が無駄遣いだと考えて取り組んでいけばいいのでしょうか。割引きなどおトクに買い物ができたとき、思わずSNSに「コスパが高い買い物をした!」と投稿したことはありませんか? 果たしてそれは本当にコスパが高い買い物だったのでしょうか。
コスパはコストパフォーマンスの略。日本語では費用対効果となり、購入してその後、その買ったものがどれだけ活躍したかで決まります。本来であれば買った時点ではパフォーマンスは分からないのです。
3万円の服を購入し、10回20回と着るのと、安いからと買った3000円の服の存在を忘れ全く着用していないのとでは、どちらがコストパフォーマンスが高いか一目瞭然でしょう。
お金を出して購入したものをしっかりと使うようにしていくと、必要とする数も減り、結果的に支出を減らすことができます。
「ものの持ちすぎ」は無駄買いのもと
服に限らず、調理器具や文具、ガジェット類など、実際に使うシーンというのは限られているので、1つ買ったものをしっかりと使っていくことが重要です。これも筆者の講演の際に来場された方に質問することなのですが、「家にボールペンが何本あるか把握している人?」と聞いて、「把握している」と答えた方は、残念ながら今までお一人もいません。
極論を言えばボールペンは家に1本あればいいはず。1本とは言わなくても家族の人数や使う場所を考えてさらに数本プラスしておけば十分に足りるはずです。しかし多くの家庭で引き出しの中に何本も入っているのがボールペンです。何本も入っているから何本あるか分からず、コンビニなどでちょっと良さそうなボールペンを見かけて買ってしまったりするわけです。
服もどのようなものを何枚持っているか把握していないと、また同じようなものを買ってしまいタンスの肥やしが増えるだけに陥ることとなってしまいます。
提案:在庫管理をしっかりする
自分の持ち物、それぞれのアイテム別に何個必要かを決め、自分が何枚持っているかを把握し、無駄に持っているものは処分し、自分の全ての持ち物を把握するようにしてはいかがでしょうか。在庫管理をしっかりすることによって、無駄買いを省くことができます。買おうとしているものは本当に必要?
節約を意識した生活をする場合、「何も買ってはいけない」ということではありません。購入してからしっかりと使う、本当に必要なものであれば予算が許す限り買っていいのです。問題は、買おうとしているものが自分にとって本当に必要なのかを考えずに買ってしまっていることでしょう。
提案:買おうとしているものの「必要度」を考えてみましょう
・買おうとしているもので今までできなかったことができるようになる・買おうとしているもので今まで不便だったことがラクにできるようになる
・今すでに持っているものでは数が足らないので買い足しになる
など、購入することでどのくらい自分の暮らしが良くなるのかを考え、さらにその値段分の効果があるのかを考える時間を、購入前にとるようにしましょう。まさにコスパの高さを考える時間です。
持っているものを一度必要な数に整理して、その後、本当に必要なものだけを買っていく。節約というと支払う金額ばかり気にしてしまいがちですが、今回ご紹介したように買ったものを徹底的に使い、本当に必要なものだけを買っていく暮らしに変えることで、「節約しなくちゃ。節約しなくちゃ」と切迫感を感じることなく、結果的に節約につながっていきます。ぜひ、お試しください。
教えてくれたのは……矢野きくのさん
家事アドバイザー、節約アドバイザー。女性専門のキャリアコンサルタントを経て女性が働くためには家事からの改革が必要と考えて現職に。家事の効率化、家庭の省エネを中心にテレビ、雑誌、講演ほか企業サイトや新聞での連載。All Aboutの節約ガイド。
(文:あるじゃん 編集部)
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