まるで「森に浮かぶラピュタ」 木々の中に飲み込まれていく廃校が美しく切ない
すでに使われなくなった家屋や商業施設などの中には、一部ないし全部が取り壊されることなく残り、廃墟となるものもある。
「廃墟」と聞くとどうしても、うら寂しくて不気味なイメージを抱きがちだが、逆にそんな退廃的な姿に美しさや魅力を感じるというマニアも一定数存在する。
今回、そんなマニアの一人が撮影したとある廃墟の写真が、ツイッターで話題になっている。それが、こちらだ。
写真では、鬱蒼としている森の中、明らかに人工物と思われる円形の建物がポツンと立っている。
建物の周囲もすっかり緑で覆われてしまっている上、建物の屋上には水も溜まってしまっている様子。どうやらすでに人の手から離れて久しい廃墟だったようだ。
見るからにすっかり寂れてしまっているが、それでも森の中にひっそりと佇み自然と一体化しているようなその姿には、どことなく幻想的な雰囲気も感じられる。
こちらの廃墟の写真に対し、ツイッター上では、
「神秘的ですね」
「隠しダンジョンの予感」
「森に浮かぶラピュタ」
「ホラーゲームに出てきそう」
といった声が寄せられている。
すでに人の手から離れた場所
深い森に眠る円形の小学校跡。
— キョン@東京都写真美術館5/22-6/6 (@kyon_K4) April 10, 2021
一階部分は浸水しており中に入るのは困難。 pic.twitter.com/XhOvYC8B6r
話題になっているのは、フォトグラファーのキョン(@kyon_K4)さんが2021年4月10日に投稿した写真。Jタウンネット記者は12日、投稿主のキョンさんに取材した。
投稿した4枚の写真のうち、上空からの2枚は20年10月、現場のそばからの2枚は013年10月に撮ったもの。場所は北海道の美唄市にある、美唄市立沼東小学校の校舎の一部の廃墟とのことだ。美唄市郷土資料館のサイト上で公開されている資料によると、同小学校は1974年に閉校している。
話題になった写真を撮影した経緯について、キョンさんは、
「存在は昔から知っていたのでこの森に還る学校に惹かれ、2013年に北海道に一人旅をしたときにどうしてもこの目で見たくなり、現地に向かい撮影しました。
のちにドローンを手に入れ、森に還る姿を空から撮影するために7年ぶりに再訪しました」
と説明。
こちらの廃墟を見た時の感想を、改めてキョンさんに訊いてみると、
「人が作った建物が植物などに飲み込まれていく様が、人の力が自然の力にはかなわないのだということを目の当たりにでき、円形であるという建築的な魅力も含めて、この目で見られて本当によかったです」
と述べた。
たしかに、壁を覆うコケや外周を囲っている水たまりなどを見ると、ここはすでに人工の領域ではないのだと実感させられるようだ。
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