どう違うの? 山口県が「地産地消」ではなく、「地産・地消」に取り組む理由
Jタウンネット2018年4月17日(火)6時0分
地方の農業を考えるうえで、地産地消は合言葉のように用いられる。その地域で作ったものを、その地域で消費する......流通コストの削減はもちろん、地域の生産者と消費者の結びつきを強化する狙いがある取り組みだ。
それは、山口県でも同様なのだが、一つだけ違うところがある。それは、「地産」と「地消」のあいだに中黒を入れた、「地産・地消」という言葉を掲げているところだ。
消費者と生産者の「橋渡し」のような意味合い
なぜ、中黒をつけているのだろうか。その理由について、山口県農林水産部ぶちうまやまぐち推進課の担当者は、2018年4月12日のJタウンネット編集部の取材に対し、
「全国的に『地産地消』という言葉が出てきた02年ごろ、当時の担当者が、『消費者と生産者をつなげる』という橋渡しのような意味合いで『・』をつけるアイデアを出したところ、採用に至った経緯があります」
と説明してくれた。
山口県産農作物のPRサイト「ぶちうま!やまぐち.net」では、「地産・地消」という言葉について、以下のように説明をしている(「ぶちうま」とは、「とっても」を意味する山口の方言「ぶち」と、「美味しい」の「うま」を組み合わせたもの)。
「日本の経済が急激に成長し、効率性が追求される中で、農林水産物も効率性を優先した大量生産、大量消費へと向かい『生産者はただ単に生産して販売し、消費者は財布の紐を解いて消費を繰り返す』お互いの顔が見えない生産と消費が、繰り返されてきたのではないかと思います。
この味気ない繰り返しが、生産と消費の間に大きな溝、言うなれば『心の溝』を作ってしまったのではないでしょうか。
『心の溝』を埋めるためには、単に農林水産物を生産して流通販売し、消費するのではなく、生産者と消費者、流通・加工関係者などがお互いに信頼関係を築き、協働しながら生産と消費の間に『おいしく作る、安全に作る』や『安心して食べられる』といった『心の循環』が創られていくような取組みを進めることが重要だと考えます。そしてより多くの皆様の『地元を愛する心』が重なり合って、はじめて『地産・地消』は山口県に定着していくのではないでしょうか。
生産と消費の間の『心の溝』は、信頼、協働、循環、さらには、多くの皆様の『愛』によって初めて埋めることができ生産と消費は強く結びつくのではないかと思います。ですから、『地産・地消』なのです」
と説明。
つまるところ、大量生産・大量消費で生産者と消費者の顔が互いに見えなくなり、溝が生まれたとし、安心・安全などの精神的なつながりにより、顔が見える関係を構築することでその溝を埋められる、というわけだ。
この文章の最後は、「皆様は、どのような行動や言葉で生産と消費の間の『心の溝』を埋めますか」と結ばれている。いまやすっかり人口に膾炙した「地産地消」という言葉のあり方を、いま一度考えてみてはいかがだろう。
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