茨城・竜神峡の空に1000匹の鯉が舞う! 大吊り橋と並んで泳ぐ〝群れ〟が生まれた意外な理由
「鯉の滝登り」ということわざがある。
激しい流れの滝を泳いで登りきった鯉は竜になれる、という中国の故事が由来で、転じて「出世する」「栄達」といった意味を持つ言葉だ。
ところで、この季節の鯉と言えばやっぱり、端午の節句の鯉のぼり。茨城県ではまさに「鯉の滝登り」を連想させるイベントが開催される。
その名も、「竜神峡鯉のぼりまつり」。
舞台となるのは、常陸太田市の竜神大吊橋だ。奥久慈県立自然公園の竜神峡にある竜神ダム上空にかかる橋である。
公式サイトによれば橋の長さは375メートルに及び、これは歩行者専用のものとしては日本最大級の長さ。橋の両側にある壁面には龍の絵が描かれ、橋はその大自然の空間を舞い上がる竜を想起させるとのこと。
毎年4月下旬〜5月中旬にかけて、その長い吊り橋を中心とした竜神峡一帯におよそ1000匹の鯉のぼりが掲げられる、という大スケールな行事なのだ。
「竜」と名前が付く土地で、龍のような橋と並んで、「鯉」が空を飛ぶ......近くにあるのは滝ではなくダムだが、まさに「鯉の滝登り」を思わせるシチュエーションではないだろうか。
それにしても、どうしてこのような場所で鯉のぼりを飾るようになったのだろうか。その由来を知るため、Jタウンネット記者は22日、常陸太田市に詳しい話を聞いた。
生まれる前から一緒だった
取材に応じた同市観光振興課の職員によると、「竜神峡鯉のぼりまつり」は今年で33回目の開催。その始まりは、1989年に竜神大吊橋建設計画が出来た時まで遡るという。
「橋の架設イメージのため竜神ダム上空の右岸と左岸を結んで張ったワイヤーに、鯉のぼりを取り付けたことが始まりとなっています」(観光振興課職員)
なんと、意外にも鯉がさき、橋は後、だったのだ。
竜神大吊橋にとって鯉のぼりは、生まれる前から見守ってくれた兄弟のような存在、と言えるのかもしれない。
2024年の竜神峡鯉のぼりまつり開催期間は4月27日〜5月12日で、5月5日のこどもの日には小・中学生以下の渡橋料が無料になる。(通常は大人320円、小中学生以下210円)。
また、今年は同市制施行70周年・合併20周年を記念して、特別企画としてパラモーターショーや県警音楽隊による記念コンサート、100人トランペット大演奏が行われる。
その他、お祭りと連動した各種イベントも盛りだくさんとのこと。詳細は常陸太田市観光物産協会公式サイトのイベントページまで。
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