健康な老後を過ごすコツは、介護施設や援助をしてくれる人を拒絶しないこと。在宅介護とリハビリで、自宅でのひとり暮らしも
人生100年時代、現役世代を駆け抜けた後はどのように過ごせばいいのでしょうか。精神科医の保坂隆先生いわく、人生後期は無理をせず「ほどほど」をキーワードに過ごすことが大切とのこと。『精神科医が教える 人生を楽しむ ほどほど老後術』より、日常生活を元気で楽しく暮らすための知識をご紹介します。
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老後、自分の家で過ごすために
老後は、病気やケガなど、いつ何が起こるかわかりません。しかし、多くの人は、たとえば足腰が多少不自由になったとしても、施設に入らずに自分の家で過ごしたいと思うでしょう。
そのためには、自分に何ができるか、何ができないかを考えるとともに、あれこれ情報を集めて、それを活用する、つまり「他人の手を借りる」という頭の柔軟さも必要です。
家の中で歩くのにも杖が必要で、外出時には車椅子のボランティアを頼んでいる「要介護2」の男性がいます。
週に2日は介護保険のホームヘルパーの支援を受け、近くにある介護老人保健施設のデイケアを利用し、リハビリをしたり、施設の同年代の人たちと語り合ったりと、楽しい時間を過ごしています。
施設では入浴の介助も受けられ、送迎もボランティアの方が車椅子を押してくれます。在宅している日の食事は、ケアマネジャーに頼んで施設から運んでもらっているので、不自由する心配もありません。在宅介護と地域福祉サービスをうまく組み合わせて、自宅でのひとり暮らしをしているわけです。
健康な老後を過ごすコツ
男性が利用している介護老人保健施設は、リハビリを中心に心身の健康の回復を目的とした、半分は病院のような役割をはたす存在です。
この施設を教えてくれたのは知り合いの男性でした。じつは、その男性が、あるとき骨折して入院。数か月で完治し退院の日を迎えたものの、「家に戻っても世話をしてくれる人がいない状態」と知ったドクターが、その施設を紹介しました。
男性は施設でのリハビリに励み、日常生活に不便がないほどまでに回復。その後、自宅に戻り、ひとり暮らしを再開しました。そのことを「情報」として伝えてくれたわけです。
この2人のように、病院だけでなく、施設や公的なサービスを利用すれば、ひとり暮らしも可能でしょう。ただし、そのためには、自立心を持つだけでなく、介護施設や援助をしてくれる人たちを拒絶しないことが必要。
「他人の世話になるなんて」などと思っていては、誰とも打ち解けられません。また、そう思っている人には、周囲の人が近づいてきません。
賢いふるまい方が、健康な老後を過ごすコツと考えればいいでしょう。
婦人公論.jp
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