米議会「UFO公聴会」で何が語られたのか? 宇宙人の実在、地球外の技術、米国の隠蔽工作…
水曜日、待望の「UFO(※1)公聴会」が米議会で遂に開かれた。元情報将校のデイヴィッド・グルシュ氏、元米海軍パイロットのデイヴィッド・フレイヴァー氏、ライアン・グレイブズ氏が下院の国家安全保障に関する監視小委員会で宣誓証言し、“真実”を語った。
3人の証言者
3人についてそれぞれ簡単に紹介しておこう。
アメリカ空軍の退役軍人であるデイヴィッド・グルシュ氏は、アメリカ国家地理空間情報局(NGA)の未確認航空現象(UAP)分析の上級技術顧問、およびアメリカ国家偵察局(NRO)の上級士官を務めていた経歴を有している人物だ。数カ月前、グルシュ氏は政府機関勤務中に「UFO墜落事故回収プログラム」について知ったことを暴露。回収された物体はUFOの破片から部分的に無傷の車両までさまざまであったとされ、車両の形態や材料科学テストを行った結果、「独特の原子配列と放射性シグネチャーの保有に基づく地球外または起源不明の非ヒト情報によるもの」だということまで赤裸々に語った。
ライアン・グレイブズ氏とデイヴィッド・フレイヴァー氏は米国防総省が公開した3本のUAP映像に登場する「チクタクUFO」に実際に接近遭遇し、撮影したパイロットだ。
公聴会で何が語られた?
3人は公聴会で何を語ったのか。グルシュ氏は次のように主張した。
・民間企業から資金提供を受けている政府の秘密プログラムがある。
・情報機関のUFOタスクフォースに所属していたとき、UFOに関連する非公認の技術研究を担当するアメリカ政府内部の秘密プログラムに気づいた。
・米国は宇宙人が実在する証拠を持っている。
・米国防総省がUFOの証拠を隠蔽するために、人々を脅迫し、身体的に傷つけている。
しかし、彼は公の場でこれらの主張を裏付けることができるのだろうか?
グルシュ氏が知っていると主張する情報の大半は機密情報であるため、彼の答えのほとんどは簡潔なものであり、「公開の場では話せない」と何度も主張。それでも、この公聴会を通じて、政府に説明責任を負わせ、自分の主張を徹底的に調査するよう議会に促した。彼はさらに、「宣誓のもとにここに立っている以上、私は言われたとおりの事実を話している」と付け加えた。
しかし、グルシュ氏はSCIF(機密情報を開示するために使用される、セキュリティ・クリアランスを持つ役人のための防音室)でなら、詳細を話すことができるとも主張。ただしグルシュ氏自身が実際に宇宙人やUFOを目撃したわけではなく、あくまで人から聞いた話だという。
一方、米国防総省の広報官は、「地球外物質の所有やリバースエンジニアリング(※2)に関するプログラムが過去に存在した、あるいは現在存在するという主張を立証する検証可能な情報は発見していない」と述べ、グルシュ氏の主張を真っ向から否定している。
UFOは脅威
グレン・グロスマン下院議員は、証言者3人にUFOは「国家安全保障に対する潜在的脅威」であると思うかどうか尋ねた。グルシュ氏は肯定的に答えたが、政府による墜落したUFOの回収とリバースエンジニアリング計画については、すでに主張した以上のことは話せないと述べた。
フレイヴァー氏は、太平洋上で見たUFOは深刻な脅威である可能性があると述べた。フレイヴァー氏に加え、グレイブズ氏も彼らが空で見たUFOは驚異的だったと発言。その強烈なGに耐えられる人間はいないと主張した。両氏ともUFOが国家安全保障上の脅威であるという認識を示し、UFO情報の透明性を政府に対して訴えた。
公聴会に出席した議員らの多くも情報の共有、政府の透明性、UFO情報の収集と分析の必要性を口にした。
さて、今回の公聴会で米政府は全てのUFO情報を公にするだろうか。それは考えにくい。これは大きな目的を達成するための小さな一歩に過ぎないだろう。今後のさらなる暴露と追及こそが重要だ。
(※1) UFO(Unidentified Flying Object:未確認飛行物体)は、説明のつかない航空現象をすべて含むが、現在は「宇宙人の乗り物」という意味で用いられることが多い。そのため、現在アメリカ軍では「宇宙人の乗り物」という意味合いが強くなったUFOに替えて、説明のつかない航空現象に対し、「UAP(Unidentified Aerial Phenomena:未確認航空現象)」という呼称を採用している。
(※2)リバースエンジニアリング(反転工学)は、製品の構造を分析し、製造方法や動作原理を調査する手法。
参考:「New York Magazine」「The New York Times」「CNN」
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