紙おむつのしめつけが乳幼児の睡眠に影響…花王の研究成果
リセマム2022年8月1日(月)10時15分
花王のサニタリー研究所は、しめつけ力の小さい紙おむつの着用が、眠っている間の活動量の減少、心拍数の低下、中途覚醒回数の減少傾向、起床時刻の早まりをもたらし、身体がしめつけられないことで睡眠の質が向上して深い睡眠が増加した可能性があるとの研究成果を発表した。
花王では、ベビー用の紙おむつ開発の基礎研究としてさまざまな視点から乳幼児の研究に取り組んでおり、睡眠についての研究もそのうちの1つ。今回の研究では、大阪大学大学院連合小児発達学研究科の指導・協力により、昼夜の覚醒・睡眠のリズムが確立してきた生後6~12か月の乳幼児14名を対象として、その養育者に生理測定を依頼し、乳幼児の自宅で試験を実施した。
対象者は、腹部へのしめつけ力が異なるパンツ型の紙おむつを平日の夜間にそれぞれ5日間着用。うち3日間の睡眠中のようすに対しては、赤外線カメラでの動画撮影に加え、活動量計・心拍数計で測定を実施し、養育による睡眠日誌と事前・事後アンケートの記入も行った。睡眠日誌または撮影データから体調不良が確認された日は解析から除外して最終的な評価対象を11名としたうえで、測定データおよび日誌を解析。睡眠中の活動量や心拍数、中途覚醒回数(寝入ってから朝起きるまでの間に6分以上覚醒していた回数)や起床時刻等を評価した。
睡眠への影響を評価した結果、しめつけ力が小さい紙おむつAを着用すると、睡眠中の1時間あたりの活動量が少なくなり、入眠後3時間の最頻心拍数が低くなることもわかった。子供の睡眠中の活動量は睡眠が深いほど少なくなるため、深い睡眠が増加した可能性がある。また、入眠直後のノンレム睡眠(睡眠中にもかかわらず活発な脳活動がある「レム睡眠」に対して、脳の活動が低下しているさらに深い睡眠)と推定される期間の最頻心拍数が低いことは交感神経系(自律神経の1つで活動しているときや緊張・ストレスがあるとき等に働く神経)の活動が低いことを示し、睡眠の質が良い状態であると考えられる。さらに、しめつけ力が小さい紙おむつAを着用したほうが、寝かしつけにかかる時間と中途覚醒回数が減少する傾向にあり、起床時刻が早くなることがわかった。しっかりとした睡眠をとることができたため、起床時間が早くなった可能性があると考えられる。
今回、自宅における普段通りの睡眠環境で、紙おむつによる腹部へのしめつけが乳幼児の睡眠へ影響することを確認できた。腹部へのしめつけ力が小さい紙おむつを着用することで、睡眠の質が向上し、深い睡眠が増加した可能性がある。同研究所は、これらの知見が乳幼児の睡眠に関する基礎研究および心地よく睡眠できる紙おむつ開発への今後の一助になると考えている。
大阪大学大学院連合小児発達学研究科の毛利育子准教授は、今回の研究結果について「子供側からみた紙おむつの装着感を、よい睡眠をとれているか、という視点から評価し、腹部へのしめつけが小さいおむつのほうが、睡眠中リラックスできている、すなわちよい睡眠がとれていることが明らかにされました。よい睡眠がとれることは、今後の子供の発達にも大きく影響する可能性があるため、養育者には体のサイズに合っていることはもとより、しめつけ等できるだけお子さんに負担がかからないおむつを選択していただきたいと思います。本結果をもとに、今後もさらによい睡眠をもたらすおむつ開発を期待しています」とコメントしている。
研究成果は、2022年6月24~26日に対面とオンラインのハイブリッドで開催された第69回日本小児保健協会学術集会にて発表された。
花王では、ベビー用の紙おむつ開発の基礎研究としてさまざまな視点から乳幼児の研究に取り組んでおり、睡眠についての研究もそのうちの1つ。今回の研究では、大阪大学大学院連合小児発達学研究科の指導・協力により、昼夜の覚醒・睡眠のリズムが確立してきた生後6~12か月の乳幼児14名を対象として、その養育者に生理測定を依頼し、乳幼児の自宅で試験を実施した。
対象者は、腹部へのしめつけ力が異なるパンツ型の紙おむつを平日の夜間にそれぞれ5日間着用。うち3日間の睡眠中のようすに対しては、赤外線カメラでの動画撮影に加え、活動量計・心拍数計で測定を実施し、養育による睡眠日誌と事前・事後アンケートの記入も行った。睡眠日誌または撮影データから体調不良が確認された日は解析から除外して最終的な評価対象を11名としたうえで、測定データおよび日誌を解析。睡眠中の活動量や心拍数、中途覚醒回数(寝入ってから朝起きるまでの間に6分以上覚醒していた回数)や起床時刻等を評価した。
睡眠への影響を評価した結果、しめつけ力が小さい紙おむつAを着用すると、睡眠中の1時間あたりの活動量が少なくなり、入眠後3時間の最頻心拍数が低くなることもわかった。子供の睡眠中の活動量は睡眠が深いほど少なくなるため、深い睡眠が増加した可能性がある。また、入眠直後のノンレム睡眠(睡眠中にもかかわらず活発な脳活動がある「レム睡眠」に対して、脳の活動が低下しているさらに深い睡眠)と推定される期間の最頻心拍数が低いことは交感神経系(自律神経の1つで活動しているときや緊張・ストレスがあるとき等に働く神経)の活動が低いことを示し、睡眠の質が良い状態であると考えられる。さらに、しめつけ力が小さい紙おむつAを着用したほうが、寝かしつけにかかる時間と中途覚醒回数が減少する傾向にあり、起床時刻が早くなることがわかった。しっかりとした睡眠をとることができたため、起床時間が早くなった可能性があると考えられる。
今回、自宅における普段通りの睡眠環境で、紙おむつによる腹部へのしめつけが乳幼児の睡眠へ影響することを確認できた。腹部へのしめつけ力が小さい紙おむつを着用することで、睡眠の質が向上し、深い睡眠が増加した可能性がある。同研究所は、これらの知見が乳幼児の睡眠に関する基礎研究および心地よく睡眠できる紙おむつ開発への今後の一助になると考えている。
大阪大学大学院連合小児発達学研究科の毛利育子准教授は、今回の研究結果について「子供側からみた紙おむつの装着感を、よい睡眠をとれているか、という視点から評価し、腹部へのしめつけが小さいおむつのほうが、睡眠中リラックスできている、すなわちよい睡眠がとれていることが明らかにされました。よい睡眠がとれることは、今後の子供の発達にも大きく影響する可能性があるため、養育者には体のサイズに合っていることはもとより、しめつけ等できるだけお子さんに負担がかからないおむつを選択していただきたいと思います。本結果をもとに、今後もさらによい睡眠をもたらすおむつ開発を期待しています」とコメントしている。
研究成果は、2022年6月24~26日に対面とオンラインのハイブリッドで開催された第69回日本小児保健協会学術集会にて発表された。
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