GIGAスクール用PCを有効活用、まちづくり団体が小学校でプログラミング教室開催
リセマム2021年8月24日(火)10時45分
2021年8月4日から8月6日の3日間、島根県の出雲市立伊野小学校にて、地域のまちづくり団体「未来こい!ネット」とチエノワによる「夏休みプログラミング教室 at 伊野小学校」が開催された。2時間のプログラミング体験授業を受講できるという今回のイベントは3日間とも同一の内容。実際の現地のようすをレポートする。
里山の小学校で「地産地消」のプログラミング教室
「夏休みプログラミング教室 at 伊野小学校」は、「スモウルビー」というScratchに似たビジュアルプログラミング言語を使用して、子どもたちにプログラミングの体験をしてもらおうというもの。Scratchとは、画面上のブロックを並べたり、組み合わせたりすることによって、さまざまなプログラミングを実現するビジュアルプログラミング言語。「スモウルビー」はこのScratchを参考に作られたものだ。
会場となった伊野小学校は、児童数70名弱の小規模な学校
「スモウルビー」の開発拠点は、出雲市のお隣・島根県松江市。地元で開発されたソフトウェアを地元の講師が教える、いわば「地産地消」の取組みだ。主催者によれば、こういった小学生向けの体験教室は島根県内では行政主導で定期的に開催されているが、今回のように民間の団体による開催は珍しいそうだ。
参加対象は伊野小学校と隣の地区にある朝陽小学校の児童のみで、1年生から3年生までは保護者の付き添いが必須。3日間の開催期間中、それぞれ10名ずつの定員枠は満席だった。参加した理由を会場の児童に聞いてみると「ゲームのプログラムに興味がある」「友達から誘われたから」などの回答がみられた。保護者にも参加の理由をたずねてみたところ「これから学校でも使う機会が増えると言われているから」「このような機会が少ないため」といった声が聞かれた。
地元企業の社員が講師役に…教える側にも大きな学び
イベントの前半1時間は、まず講師の指示どおりに「スモウルビー」のブロックを組み上げるなど、操作方法を学ぶ。講師は複数名の体制で、そのうちの1人はこの地域に在住しているとのこと。そのほかにも、島根県に拠点を持つIT企業、イードの社員もアシスタント講師として参加していた。イードでは「夏休みプログラミング教室 at 伊野小学校」への参加を業務の一環としている。当日、アシスタント講師を担当していたイードの早水涼氏は「自分はまだ新人なので、普段は先輩社員からいろいろと教えてもらっている段階。今日は子どもたちに教えることで自分にも大いに学びになっている。特に自分から率先して聞くことの大切さに気付づいた」と話していた。企業側にとってもこういった取組みに協力するメリットはあるようだ。
自分の気付きをもとに、教え合う子供たち
イベントの後半は、自由にプログラムを組む時間。講師からの指示は特になく、児童がそれぞれに自由にプログラムを作って楽しんでいるようすがうかがえた。終始、子どもたちの笑顔が絶えず、和気あいあいと進行していた印象だ。特に印象深かったのは、参加児童同士での交流が頻繁に起きていたことだ。参加学年が1年から6年までと幅広いこともありプログラミングの進みも具合もさまざまだったが、面白い機能を発見した児童やプログラミングの作業がひと段落した児童などが、教え合いながら遊びのように楽しんでいた。ローカルで、慣れ親しんだ場所だからこそ、リラックスして取り組めているのではないかと感じられた。普段からの友達同士や顔見知りだからこそ、2時間という限られた時間枠の中でもこういった交流が発生していたのではないだろうか。参加児童たちは、休憩をそっちのけでPCに向かっていた。
「学校」という場を生かした取組み
実際のところ、会場となった伊野小学校は2021年度に廃校(近隣の学校へ統合)になる予定だったのだが、地域住民の強い要望により廃校を免れることになった。同校校長の三原國彦氏は「今後、地域の価値を高めるような特色のある教育を伊野小学校で進める必要を感じている」と話し、地域や民間団体と密接に連携した新しい取組みへの意気込みを語ってくれた。
GIGAスクールPCを使っての初めてのプログラミングに大満足の笑顔
今回のプログラミング教室の特徴は、GIGAスクール用のPCを利用していたことだ。開催場所が小学校だったということもあり、参加児童は自分用のPCを棚から自分で取り出し、パスワードを打ち込んでログインしていた。参加児童が特に迷いもなくPCを利用していたことに驚いたが、伊野小学校では昨年からすでにGIGAスクール用PCを児童に配布して校内で利用しているとのことだった。GIGAスクール用PCとインターネット接続環境が全国一律で整備されたこともあり、今後は物理的な地域格差よりも、むしろ今回のような活動の有無が差別化の要因となるかもしれない。
今回のイベントを開催したチエノワでは、こういった地域ローカルのプログラミング教室開催の取組みを今後、拡大していく計画だ。
里山の小学校で「地産地消」のプログラミング教室
「夏休みプログラミング教室 at 伊野小学校」は、「スモウルビー」というScratchに似たビジュアルプログラミング言語を使用して、子どもたちにプログラミングの体験をしてもらおうというもの。Scratchとは、画面上のブロックを並べたり、組み合わせたりすることによって、さまざまなプログラミングを実現するビジュアルプログラミング言語。「スモウルビー」はこのScratchを参考に作られたものだ。
会場となった伊野小学校は、児童数70名弱の小規模な学校
「スモウルビー」の開発拠点は、出雲市のお隣・島根県松江市。地元で開発されたソフトウェアを地元の講師が教える、いわば「地産地消」の取組みだ。主催者によれば、こういった小学生向けの体験教室は島根県内では行政主導で定期的に開催されているが、今回のように民間の団体による開催は珍しいそうだ。
参加対象は伊野小学校と隣の地区にある朝陽小学校の児童のみで、1年生から3年生までは保護者の付き添いが必須。3日間の開催期間中、それぞれ10名ずつの定員枠は満席だった。参加した理由を会場の児童に聞いてみると「ゲームのプログラムに興味がある」「友達から誘われたから」などの回答がみられた。保護者にも参加の理由をたずねてみたところ「これから学校でも使う機会が増えると言われているから」「このような機会が少ないため」といった声が聞かれた。
地元企業の社員が講師役に…教える側にも大きな学び
イベントの前半1時間は、まず講師の指示どおりに「スモウルビー」のブロックを組み上げるなど、操作方法を学ぶ。講師は複数名の体制で、そのうちの1人はこの地域に在住しているとのこと。そのほかにも、島根県に拠点を持つIT企業、イードの社員もアシスタント講師として参加していた。イードでは「夏休みプログラミング教室 at 伊野小学校」への参加を業務の一環としている。当日、アシスタント講師を担当していたイードの早水涼氏は「自分はまだ新人なので、普段は先輩社員からいろいろと教えてもらっている段階。今日は子どもたちに教えることで自分にも大いに学びになっている。特に自分から率先して聞くことの大切さに気付づいた」と話していた。企業側にとってもこういった取組みに協力するメリットはあるようだ。
自分の気付きをもとに、教え合う子供たち
イベントの後半は、自由にプログラムを組む時間。講師からの指示は特になく、児童がそれぞれに自由にプログラムを作って楽しんでいるようすがうかがえた。終始、子どもたちの笑顔が絶えず、和気あいあいと進行していた印象だ。特に印象深かったのは、参加児童同士での交流が頻繁に起きていたことだ。参加学年が1年から6年までと幅広いこともありプログラミングの進みも具合もさまざまだったが、面白い機能を発見した児童やプログラミングの作業がひと段落した児童などが、教え合いながら遊びのように楽しんでいた。ローカルで、慣れ親しんだ場所だからこそ、リラックスして取り組めているのではないかと感じられた。普段からの友達同士や顔見知りだからこそ、2時間という限られた時間枠の中でもこういった交流が発生していたのではないだろうか。参加児童たちは、休憩をそっちのけでPCに向かっていた。
「学校」という場を生かした取組み
実際のところ、会場となった伊野小学校は2021年度に廃校(近隣の学校へ統合)になる予定だったのだが、地域住民の強い要望により廃校を免れることになった。同校校長の三原國彦氏は「今後、地域の価値を高めるような特色のある教育を伊野小学校で進める必要を感じている」と話し、地域や民間団体と密接に連携した新しい取組みへの意気込みを語ってくれた。
GIGAスクールPCを使っての初めてのプログラミングに大満足の笑顔
今回のプログラミング教室の特徴は、GIGAスクール用のPCを利用していたことだ。開催場所が小学校だったということもあり、参加児童は自分用のPCを棚から自分で取り出し、パスワードを打ち込んでログインしていた。参加児童が特に迷いもなくPCを利用していたことに驚いたが、伊野小学校では昨年からすでにGIGAスクール用PCを児童に配布して校内で利用しているとのことだった。GIGAスクール用PCとインターネット接続環境が全国一律で整備されたこともあり、今後は物理的な地域格差よりも、むしろ今回のような活動の有無が差別化の要因となるかもしれない。
今回のイベントを開催したチエノワでは、こういった地域ローカルのプログラミング教室開催の取組みを今後、拡大していく計画だ。
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