高校受験に内申点はいらない?「テストの点数で評価すべき」に賛同多数 「不登校だった生徒は内申ズタズタかも」
はてな匿名ダイアリーに8月中旬、「高校受験の内申書っていらなくね?」とのエントリーがあった。投稿者の年齢や立場は不明だが、「単純にテストの点数で能力を評価すべき」「出身中学によって内申書の評価基準にばらつきがあるし不公平だろ」などと主張している。
短い文だが注目を集め、
「その通り。何か理由があって中学時代不登校だった生徒は、内申点がズタズタかもしれない。しかし、真摯に努力して点数を取れば、それ相応の高校に通って良いはずだ。それを否定するのが内申制度」
「ひどいいじめにあっているけど、内申点を下げられたくないから嫌々登校している子とかいるんだよね」
など、弊害をあげて投稿者に賛同する人が相次いだ。(文:okei)
内申は「先生の気持ち次第」で、嫌われたらおしまい?コメントには、過去の苦い経験を振り返るこんな声もある。
「僕より点数が低かった同級生が、内申点ミジンコだった僕より偏差値がずっと高い高校へ進学して行った」
「(部活で度々顧問に意見していたら)顧問の担当教科だけ評点が大幅に下がり受験先も変わった」
内申書は、「先生の気持ち次第で書かれ、嫌われたらおしまい」というイメージが強い。内申が悪いと受験できない高校もあるため、投稿者と同様の不満を持っている人は多いようだ。
一方で、「それがなくなったら、中学の教師の権威と生徒を拘束する力がなくなる」という皮肉を含め、内申書は必要という声もある。
「内申書って、学校での授業や生活態度も真面目、定期テスト等での学力確認でも問題ないレベルなのに、入試当日の体調不良やいろんな事情で実力を発揮できなかった生徒を救うためのものだったと思うんだけどな…」
「息子が受けた学区トップ校は、入試上位は内申無関係に即合格(定員の8割だったかな?)」など、受験はほぼ一発勝負のため、「当日調子が悪かった人の救済」という見方は多い。関係あるのは合格ラインギリギリの人であり、下位成績は「即不合格」だという。また、学校生活全般をみる内申は、「面接よりも合理的」との指摘もあった。
いまは、大人世代とは違う評価方法になっている中学生の子どもがいる筆者から説明させていただくと、内申書は現在「調査書」と呼ばれ、その中の「内申点」が入試の選抜資料になる。内申点は、1年生から3年生までの成績や提出物、出席状況、部活、生徒会やボランティア活動などの活動状況が評価される。
内申点に占める割合が一番大きいのが「成績」だ。入試に出ない体育や美術、音楽なども含め、学習指導要領に照らし、教科ごとに「思考」「関心」「表現」などの観点についてA〜Cで評価し、その合計点で1〜5の成績を出す。つまり、入試の出来が悪くても、中学生活を通して頑張ったことが助けになる可能性があるのだ。
逆に言うと、不登校や積極的な活動をしていなかった生徒は不利になるだろう。しかし、入試の点数が全く否定されるわけではない。高校ごとに異なる「学力検査と調査書」の比率は、各都道府県の教育委員会のウェブサイトで公開されており、重視されるのは入試の結果であることがうかがえる。
例えば、埼玉県のある公立高校では、学力検査(入試)が500点、調査書(内申点)が360点で、合計860点のうち、「80%を入学許可候補者とする」としている。内申が無関係ではないが、高得点が取れれば投稿者の主張通り、テストで評価される可能性はある。
ただ、3年間の成績はテストの点数だけでなく「関心・意欲・態度」も含めた観点から評価されるため、教科ごとに先生の主観に左右される恐れは残っている。「これが正しい評価方法」とは、なかなか言えないのだ。
個人的には、子どもたちの関心や意欲を評価するなら、「関心や意欲が高くなる授業」だったかどうか、先生側も生徒の「主観」で評価されるべきではないかと思う。人望のある先生とそうでない先生で、成績はハッキリ分かれてくるだろう。
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