東京五輪の協賛企業にボランティア「徴集ノルマ」? パートナー企業は「強制ではない」と否定
「国家総動員」とも言われている東京五輪のボランティア募集が、9月26日から始まる。組織委員会は8万人の確保を目指し呼びかけているが、世間の反応は鈍い。笹川スポーツ財団が今年3月、20代から60代を対象に行った調査では、東京五輪のボランティアに参加したいと答えたのは23.1%。約60%は「参加したくない」と答えている。
こうした中、大会組織委員会がスポンサー企業に対し、ボランティアの徴集ノルマを課しているなどと一部で報じられた。
東京五輪のゴールドパートナーに認定され、社内でボランティアの公募を行っているある企業の広報担当者は、キャリコネニュースの取材に「要請というわけではなく、『社内で活用いただけます』という形で組織委員会様よりご案内をいただいております」と話す。
別の企業の広報担当者は、「担当者が不在のためノルマの有無は確認できなかったが、社内で公募するという話はこれまで聞いていない」とも話していた。また、ある企業の担当者は「会社を上げて東京五輪の成功を応援していく。ボランティアについても、応援を検討している」と述べていた。
「スポンサー契約の項目の中に、社内からボランティアを出せると取り決めがある」
どうやら、各社ごとに「何人お願いします」というような「ノルマ」があるわけではないようだ。ただ、前述の企業と同様、ゴールドパートナーに認定されているA社の広報担当者は、パートナー契約時の内容に、ボランティアに関わる項目があったと明かした。
「詳しいことは言えませんが、スポンサー契約では、社内からボランティアを出すことが出来るという取り決めになっています。『ノルマがあった』という報道がありますが、少なくとも世間一般で言われているような強制的な募集ではありません」
A社では、グループ全社を対象にボランティアを募集した。地方の社員も含め数千人から応募があり、過去のボランティア経験や語学力などを考慮し、300人ほどに絞りこんだ。女性は30代、男性は40代〜50代の応募が多かったそうだ。
「五輪のボランティアに対してはネガティブなニュースも多いですが、元々社員の中でボランティア活動が盛んだったこともあって、強制的に応募とか、そういう感じではありませんでした。参加が社内の評価に反映される予定はありませんが、経験は業務に生かせると思っています」
「興味はあっても2年後の予定は不明。有休を使わなければならないので難しい」
とはいえ、参加にあたり社員が負担するものは小さくない。A社のグループ会社に勤める20代男性は当初参加を希望していたが、2019年2月からスタートする3回の事前研修やボランティア当日に有休を使わなければならないこともあり、見送ったという。
「周りには、ボランティアに興味のある人は正直少ないです。五輪自体には興味があって開催には肯定的、見たいという人は多いですが、ボランティアとなると、やりたいと思う人は少ないですね。興味を持っても有給休暇のことや、期間、事前研修などから難しいと考える人が多く、なにより二年後の予定は不明だと言う人が多いです」
「大会組織委員会がスポンサー企業からボランティア参加者を募る」というスタンスの報道には、ネットで「徴兵かよ」という声もあった。実際はノルマではなく、スポンサー企業数社が組織委員会に忖度し、あくまでも自主的に社内で募集したという言い方のほうが適切なのかもしれない。
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