農協と協業し、魅力的な商品を届ける『戸田商事』の取り組み。神奈川県の葉ニンニクを使った餃子づくり。
神奈川県で採れた葉ニンニクを活用。農協とタッグを組んで開発した「葉ニンニク餃子」。
農協と企業の偶然の出合い。人気商品が生まれるまで。
普段、鱗茎と呼ばれる地下茎の部分を食べることが多いニンニクだが、鱗茎が大きく育つ前に収穫し、葉の部分を食べるのが葉ニンニク。葉ニンニクは鱗茎の部分に比べてニンニク独特の香りが少なく、食べやすいそうだ。いま、この葉ニンニクの生産に力を入れているのが神奈川県内のJA(農業協同組合)。神奈川県内では、鳥獣による食害に悩まされており、その対策として、以前から猪などが近寄りにくくなるとされる葉ニンニクを栽培し、同時に葉ニンニクの認知と消費拡大のためのキャンペーンなども行い、葉ニンニクのファンを増やすように努めてきた。
2023年、食品の試食会で、食品加工や流通を手がける『株式会社戸田酒店』と出合った。双方で協力して「葉ニンニク餃子」を開発。これを神奈川県厚木市にある『JAあつぎ』のファーマーズマーケット『夢未市』で販売したところ大好評。甘みが豊かな葉ニンニクは、ニンニクが苦手なお客さんにも受け入れられ一躍人気商品になった。『JAあつぎ』だけでなく、ほかの地域でも販売を開始する動きが広まっている。
葉ニンニクを特産品に、そして全国へと広めたい。
葉ニンニクには食害を防ぐ効果が あるとされるほか、種を植えてから 葉を収穫できるようになるまでが3 か月程度と短いことや、軽量で扱い やすいため、高齢化が進む地域でも栽培しやすいといったメリットがあるそうだ。神奈川県の『JAあつぎ』と『JAはだの』では、葉ニンニクを県の特産にしようと2016年から取り組みを続けてきた。今後はさらに葉ニンニクの認知向上と消費拡大に向けたアクションに取り組み、いずれは『JA全農』の展開する食品ブランド「ニッポンエール」にこの「葉ニンニク餃子」を加えることを目指していきたいという。
『JAあつぎ』のファーマーズマーケット『夢未市』で店長さんに聞いてみた。
『JAあつぎ』のファーマーズマーケット『夢未市』店長の清田陽平さんは、『株式会社戸田酒店』との出合いから今までをこう振り返る。「2023年2月、店舗で扱う食品の試食会をやったときに『株式会社戸田酒店』の担当者さんと知り合い、葉ニンニクを使った商品のことを相談したら『餃子にしてみませんか』と提案されて、そこから急ピッチで商品の開発が進み、同年8月には商品化することができました」。
葉ニンニク
葉ニンニクは、ニンニクよりも辛み・臭みが少なく、さわやかな味と香りを楽しめる。辛みや臭みが少ないことで、実は野菜のなかでも高い糖度を持つニンニクの甘みを際立って強く感じられるのが葉ニンニクの特徴なのだという。ニンニクの糖度をほかの野菜と比較してみると、たとえば、サツマイモが糖度10度前後、カボチャが糖度20度ほどのなか、ニンニクは糖度30度から40度と高い数値を誇る。またビタミンB2、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール、食物繊維などの栄養素を豊富に含み、活性酸素による身体の老化を抑える効果があるとされる抗酸化作用にも期待できる緑黄色野菜なのだ。
JAと『株式会社戸田酒店』が共同開発した葉ニンニク餃子は「農協直売所 葉にんにく餃子」として発売中。
●商品内容1袋30個入り(1個あたり35グラム)/2430円。
photograhs by Hiroshi Takaoka text by Takanobu Mihashi(SOTOKOTO)
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