モンハン実写映画は地雷を回避できるか 不安視する声も多いが、デビルマンよりマシなはず
カプコンの人気ゲームシリーズ「モンスターハンター」が実写映画される。日本での公開日は来年ということだ。実写化するほどの人気コンテンツになったことは、初代から遊んできた一ファンとしては感慨深かった。
もっとも、監督がポール・アンダーソンで、主演はミラ・ジョヴォビッチという時点で引っくり返ってしまったけど。この両名、ご存じの方も多いと思うが夫婦だ。同じくカプコンの人気シリーズ「バイオハザード」が映画になる度に、ファンからは“バイオを私物化する夫婦”扱いされるようになった。
僕も最初の映画は楽しめたんだけど、ポールが監督を務めた2以降は「まだやるの?どうして?」という気持ちを抑えられなくなった。だがまあ、今度は『モンハン』が題材なので、きっとあの夫婦も流石にいきなり私物化はしまい。
それよりも最大の懸念は、人気アニメやゲームを実写映画化したらどうなるか、っていうことだろう。(文:松本ミゾレ)
『進撃の巨人』『ひぐらし』『地獄少女』 実写映画は残念になりがち
これまでに多くのアニメや漫画、ゲームが実写ドラマ、実写映画として作り変えられ、多くのファンを困惑させてきた。
『ひぐらし』しかり『Gセイバー』しかり『地獄少女』しかり『進撃の巨人』しかり。それぞれに「なんで実写化したんだろうね」と不思議に思うぐらい、ことごとく評価が低い。
しかし、中にはファンからも一定の評価を受けたものもある。例えば、マーベル系の映画などは、しっかりと原作の世界観に悪影響を与えない“配慮”の元に実写作品が作られている。『アベンジャーズ』のラインも世界的にも成功をしているのがその証拠だろう。
DCコミックスもやはり実写化する際には似たような注意を払っているのだろう。外れ作品が少ない。
数少ない成功例は『20世紀少年』では
原作を重んじ、原作から極力大幅な改変をせず、とにかく丁寧にやっていればファンは大目に見てくれるのだ。ところが、これができないとフルボッコになりやすい。冒頭で触れた『バイオハザード』もそれをやってないから嫌われている。
では、邦画でその注意の元に作られた実写映画って何?……って話になるんだけど、これは個人的には『20世紀少年』の3部作だと思っている。ここで大勢の原作ファンから「はぁ!?」というツッコミが入ったことだろうが、まあ聞いてくれ。どんな実写映画も、オリジナルには絶対に勝てないのだ。それは大前提である。
『20世紀少年』は、ここを理解して作られた節がある。原作からストーリーラインも大きく改変せず、キャストも本来のキャラクターと似た雰囲気のある顔立ちの役者さんを当てていた。残念なことに、映画としての評価は高くなかったが、それでも監督の堤幸彦氏はよく暴走せずにあそこまで忠実にやったもんだと感嘆した。
求められているのはアレンジではなく、オリジナルへのリスペクト。これがより失敗を防げる漫画、アニメ、ゲームを実写化するためのポイントと考える。
いくらなんでもモンハンが“アレ”以下の評価ってことはないだろう
では、今度の『モンスターハンター』はどうか。先日公開された予告映像を見ると、砂漠地帯でディアブロスと特殊部隊風の軍人たちがドンパチやっているという感じの構図になっている。重火器で撃ちまくる兵士たち……。不安になる。
ポールやりやがったな、という気持ちでいっぱいだ。あれを見て「バイオシリーズの二の舞になるのではないか」という不安がよぎらないファンもいまい。
でも、モンハンが過去に公開された、あらゆる実写化作品の中でドンケツになることはないと僕は踏んでいる。だって、どんなに原作をないがしろにして監督が暴走しようと、さすがに2004年に公開された『デビルマン』よりはまともだろうと思っているからだ。
演技経験ほぼゼロのキャストに、原作を大幅に改悪したシナリオ。その上で、原作者の永井豪氏をカメオ出演させるという恐るべき仕打ち。まさに悪魔の力身に付けた、とんでもない映画であった。
ディアブロスに兵隊が銃撃するなんて、アレに比べれば全然大したことない。むしろ「そうそう、そんなシーンあった(ない)」と思っちゃうほど、原作リスペクトしていると錯覚してしまうぐらいなのだ。
また、あのハリウッドだって日本の人気アニメ『ドラゴンボール』をズタズタにした前歴がある。それが09年公開の『DRAGONBALL EVOLUTION』だ。この映画の場合、原作者である鳥山明氏の丁寧なアドバイスを無視して作っただけあって、結果的に大爆死した。
全然面白くないだろうと思ってDVDがリリースされてからレンタルしてみたが、想定の4倍ほど面白くないので本当にびっくりしてしまった。無名のインディーズ監督が作ったサメの映画の方がまだマシだった。
このように、アニメやゲームの実写化というと失敗例も多くて心配ではあるが、『デビルマン』『DRAGONBALL EVOLUTION』など、最底辺のものが既に輩出されている。だから逆に言えば、アレらのおかげである程度安心して「さすがにそれ以下はないでしょ」と思える下地は整っている。安心して劇場に出向こう。
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