森田秀之さんが選ぶ「運営×プレイスメイキングを楽しむ本5冊」
私は、『マナビノタネ』という個人の会社で、地方自治体の公共施設、主に図書館をつくったり、運営したりする仕事に携わっています。長期間じっくりと向き合いながら、人が集まる場づくりに、日々知恵を絞っています。
私自身、風を感じながら大地を耕し、自治とは何かを考えてきたこともあり、まさに『風土自治』という本に共感を覚えています。著者の中村先生のお考えに私の解釈が入りますが、「風土」とは、自然や環境と関わりを持ちながら人間がつくっていくもの。つまり、「人のあり方」だと。その風土をどう守っていくかが「自治」ということです。「風土自治」という「人のあり方」を「守っていく」ための場として、かつてあったのが村の神社ではないでしょうか。神社は神を祀る場であり、日本の神はほぼ自然そのもの。山であり、川であり、「自然=神」に畏れを抱きつつ、五穀豊穣を願い、自然の恵みに感謝する場が村の神社で、事あるごとに村民が集まって相談をし、喜び合ったのも神社でした。神社は人々の社交場であり、生きていくためになくてはならない場だったのです。
ところが、今はその機能は失われつつあり、かろうじて祭りや初詣でのときに人々が訪れる程度でしょうか。もう一度、「自然=神」と関わることで人のあり方をつくり、守っていく「風土自治」という概念が、現代の場づくりとその運営にも必要だと思えます。
神社の機能は欠けたかもしれませんが、「神社的なもの」は今も残されています。図書館もその一つだし、もしかすると、商店街の空き店舗も、耕す人のいなくなった休耕田も「神社的なもの」になり得るのかもしれません。そこに人が集まり、生きていく術を語り合って、記憶や知恵を共有する。そんな場づくりを実践するきっかけになる本でもあります。
私は、図書館とは別の場づくりも行っています。「コードマーク」、つまり「縄文」と名づけた活動で、私が移住して暮らす長野県・御代田町で「コードマーク御代田」と名づけ、気ごころの知れた仲間と米をつくり、山の木を伐って薪にして、気候変動によって訪れるだろう食料難やエネルギー難の時代に備えて生きる力を身につけようというものです。縄文的な生き方や仕事の仕方の参考になるのが『最強の縄文型ビジネス』です。資本主義社会が立ち行かなくなってきた今、どうやって共に生きていくのかという問いかけとしても読める本です。
『マナビノタネ』代表/地域プロジェクトマネージャー•森田秀之さんの選書
photographs by Hiroshi Takaoka & Yuichi Maruya text by Kentaro Matsui
記事は雑誌ソトコト2022年11月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
Copyright(C)Example Inc. 1999-2022
「地方自治体」をもっと詳しく
BIGLOBE旅行 都道府県民限定プランのご紹介♪
「地方自治体」のニュース
-
自治体「消滅」指摘に不安や焦り 名指しに「ナンセンス」と反発も4月24日21時14分
-
【地方自治体ふるさと納税担当者へのアンケート調査】今後の強化する取り組みで「自治体間の連携」が前年対比350%の回答を集める。4月23日17時46分
-
unbotが中国SNS「小紅書(RED)」の日本における一級代理店に認定されました!4月23日12時16分
-
744自治体、消滅可能性 4割超、30年間で女性半減4月19日21時35分
-
「多様な家族形態が当たり前のように認められる社会の実現を目指して」一般社団法人Famiee 新体制発足のお知らせ4月19日17時46分
-
インフルエンサープラットフォーム「Action」、地方自治体や観光・宿泊施設向けの観光客誘致や特産品の認知拡大を目的としたインフルエンサープロモーションパッケージの提供を開始4月18日14時16分
-
キヤノンMJ、映像制作を軸とした地方自治体の観光支援活動を実施 PowerShot V10も活躍4月16日11時0分
-
PayPayの「あなたのまちを応援プロジェクト」、5〜6月以降に11自治体で実施4月15日20時56分
-
ライドシェア専用プラットフォームアプリの「スグクル」が地方自治体向けPRソリューション提供の「地方創生ユニオン」と連携。4月15日11時16分
-
au PAY、2024年度「自治体マイナポイント」に参加4月15日10時0分