親権を持たない男性の約5割が「養育費を満額支払っていない」と判明!「妥当な金額は?」の質問にリアルな回答

マイナビ子育て2021年12月2日(木)10時50分

アシロはこのほど、離婚問題の相談・対応を得意とする弁護士・法律事務所を検索できるポータルサイト「ベンナビ離婚」にて、「養育費の支払い」に関するアンケート調査を行いました。

離婚時の養育費の取り決め方や、養育費の支払い状況は?

ライフスタイルが多様化する現代では、それぞれの価値観に沿った選択肢として「離婚」を選択する人も増えています。

しかしながら、両者の間に20歳未満の子どもがいる場合、親権を持たない親は養育費の支払いが義務であり、離婚したからといって、元夫婦が無関係になれるわけではありません。

「離婚に関する統計」(※1)によると、「夫が全児の親権を行う離婚」は13,129件であるのに対して、「妻が全児の親権を行う離婚」は94,291件であり、多くの場合は男性側が養育費の支払い義務をもつことになります。

そこで今回、「ベンナビ離婚」が主体となり、離婚歴があり20歳未満の子どもの親権を持たない男性150人を対象として「養育費の支払い」に関する調査を実施しています。

※1:令和4年(2022)度「離婚に関する統計」の概況|厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/rikon22/dl/gaikyo.pdf

養育費を満額支払っている男性は半分程度に留まる

最初に、離婚歴があり20歳未満の子どもの親権を持たない男性150人に対して「現在、養育費を支払っていますか?」と質問したところ、「毎月支払っている」と回答した人は52.0%に。「その他」を除く44.7%は、支払いの頻度が定ではなかったり、減額をしたりすることがあるようです。

続いて、上記44.7%を対象として「支払っていない、もしくは減額した理由を教えてください。」と聞いたところ、「親権を取りたかった(自分が養育したかった)が取れなかったため、母親側が負担すべきと思ったから」との回答が22人となり、最も多い結果となりました。

また、「子どもと面会させてもらえないため、支払いたくない」が18人と続くことから、経済的な事情よりも元妻との食い違いや確執が原因であることがわかります。

適切な手段で養育費を取り決めたケースは5割強に留まる

続いて「離婚の時、養育費の取り決めをしましたか?」との質問では、「家庭裁判所を介して取り決めをした」「公証人役場で公正証書を作成した」と回答した人は56.7%に留まりました。これらの手段は養育費の支払いに万が一滞りがあった場合、強制執行を検討できる選択肢であり、離婚時の養育費の取り決めとして有効な阻止です。

しかしながら、「話し合いで取り決めた(口約束)」や「(元)夫婦の間だけで書面作成した」の合計が30.7%となり、こうした制度が活用されていない事例が目立ちます。また12.6%は、そもそも「取り決めをしなかった」と回答しています。

そこで「取り決めをしなかった」と回答した19人に対して、「取り決めをしなかった理由を教えてください。」と尋ねたところ、「相手と関わりたくなかった」が最多の7人となりました。次点では「子どもを引き取った側が養育費を負担すると思った」が4人であり、親権を持たない親による養育費の支払い義務に関する認知度の低さがうかがえます。

一方で、「現在取り決め中もしくはこれから取り決める予定」が4人、「取り決めをしたかったが、交渉がまとまらなかった」が2人いることから、支払う意思はあるものの、当事者間の合意が成されておらず養育費の支払いをしていないケースがあるようです。

こうした場合は弁護士といった専門家や、行政の相談窓口活用を検討すべきといえます。

7割以上は減額を希望し、妥当な金額は「1万円〜5万円未満」を想定

養育費を「毎月支払っている」と回答した78人に対して、「できれば養育費を減額したいと思いますか?」と質問したところ、73.1%にあたる57人が「できれば減額したい」と回答しました。

続いて、養育費の支払い状況に関わらず150人全員を対象として「養育費は月にいくらぐらいが妥当だと思いますか?」と聞いたところ、「1万円〜3万円未満」「3万円〜5万円未満」との回答がそれぞれ42.0%となり、全体の8割以上を占めました。

養育費は義務者(支払う側)と権利者(受け取る側)それぞれの収入状況や、子の年齢といった要素により、適切な金額がケースバイケースとなるため、何円が妥当となるかを一概に示すことはできません。

適切な養育費については、平成30年度司法研究における養育費の算定書(※2)を参考にする他、専門家への相談を検討すべきといえます。

※2:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について|裁判所https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file5/youiku-1.pdf

4人に1人は養育費について「誰にも相談したことがない」

最後に、全員を対象として「養育費について、主にどなたに相談しましたか?」と聞いたところ、「自身の家族・親族」と回答した人が51人と最多であることがわかりました。次点で「弁護士などの専門家」が46人と続きます。

その次に多かった回答は「相談したことがない」の37人であり、約4人に1人が養育費について誰にも相談をしておらず、(元)夫婦だけで取り決めたり、一人で悩んだりしていることがわかります。

調査結果のまとめ

今回の調査では、離婚歴があり親権をもたない男性のうち養育費を満額支払っている人は52%に留まることがわかりました。

養育費は、離婚した当事者間の問題ではなく、何よりも子どもの成長や健全な発育のために支払われるものであり、最も重要なお金といっても過言ではありません。仮に自己破産をしたとしても、養育費の支払いは免責されることがない非免責債権とされているほどです。

しかしながら、経済的事情や離婚時の軋轢から、必ずしも適切に養育費を支払うことができない場合もあります。当事者間での解決や、養育費を巡る問題の改善が難しい場合には、専門知識を持つ弁護士や、行政の相談窓口を頼ることも検討すべきかもしれませんね。

調査概要

調査対象:離婚歴があり、子どもの親権を持たない男性150人年齢割合:20代(11%)、30代(89%)調査方法:Freeasyを用いたインターネットリサーチ調査日:2024年4月4日(木)〜4月4日(木)出典:ベンナビ離婚(アシロ)出典元:https://ricon-pro.com/columns/711/

アシロhttps://asiro.co.jp/

(マイナビ子育て編集部)

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