「職場結婚した女性は退職」という謎ルールは許されるのか 「婚姻の自由の侵害や人事権の濫用に当る可能性も」
職場結婚をした夫婦のどちらかが退職や部署異動を求められるという話はしばしば耳にする。12月13日にも、福井県池田町では、町役場の職員同士が結婚すると、夫婦どちらかに退職を求める慣例があると報じられた。
この慣例は20〜30年前に始まり、少なくとも女性2人が退職しているという。結婚を理由に退職を求めたり、部署を異動させることに問題はないのだろうか。
「女性は退職が必至です」「離れた部署に異動させられてます」
過去にも、同様のケースが報道されたことがあった。北海道の新十津川町役場では、職員同士で結婚した場合、女性が退職することが不文律になっていたようだ。女性たちは「上司から退職を促されて役場を辞めた」「新人研修で言われた」と話しているという。2016年6月、北海道新聞などで報じられた。
ネットにも、社内結婚をすると退職を求められるといった書き込みが散見される。発言小町には、「私の勤務先は社内結婚の場合、女性(一般職)は同じフロアどころか、退職が必至です」「私の会社では不文律ですが、社内結婚の場合は、どちらかが退社します。100%女性が辞めますね」といった書き込みがあった。
弁護士ドットコムにも、社内結婚を上司に報告したところ、「慣例ではどちらかが店舗(小売業なので)を移動するか、受け入れ先がなければ退職だ、と通達されました」という相談が寄せられている。とにかく、夫婦が同じ職場で働くことはできない、ということのようだ。
また、退職とまではいかなくとも、部署異動となる場合も少なくないようだ。発言小町には、「社内結婚は多いですが、どちらかがさりげなーく離れた部署に異動させられてます」「どちらかが異動してます」といったコメントがあった。
女性のみが退職・異動させられる場合は「男女雇用機会均等法に抵触する可能性も」
職場結婚を理由に退職を求められたり、部署異動を強いられたりしても、仕方ないのだろうか。落合洋司弁護士は、
「婚姻の自由は憲法24条で保障されています。そのため、社内結婚をしたら、夫婦どちらかが退職するといった規定が社内にあれば、それは憲法に抵触することになります」
と話す。部署の異動についても、次のように語った。
「企業には、ある程度の裁量があります。しかし結婚だけを理由に異動させるのは、人事権の濫用にあたる可能性があります。同じ職場に夫婦がいることで何か困る、という合理的な理由がない限りは、認められないのではないででしょうか」
首都圏青年ユニオンの山田真吾事務局長も、「女性のみに退職を迫っているような場合には、男女雇用機会均等法に抵触する可能性が高い」と指摘する。ユニオンに相談すれば、一緒に交渉してもらえるという。
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