ナスカの地上絵に「シンプソンズ」が含まれていた? 新発見で深まる謎
南米ペルーの「ナスカの地上絵」。誰が、どんな目的で製作したのかさえ、研究者間でコンセンサスが取れていない世界的ミステリーだ。砂利の色分けによって描かれた幾何学図形や動植物の絵の中には、クモ、ハチドリ、クジラなどの一般的な絵柄の他、「宇宙人」と称される奇妙なヒューマノイドの姿もある。毎年のように発見される地上絵だが、一説によると全体の5%しか発見されていないともいわれており、最近では人工知能(AI)を利用した探索も行われている。
そして、この度、ペルー南部でのドローン調査と空撮により、世界遺産「ナスカの地上絵」に新たに168の地上絵が確認され、そのうちの約50が人間のような人物を描いた大規模な地上絵であることが判明した。興味深いことにその中には、米テレビアニメシリーズ『ザ・シンプソンズ』に登場するホーマー・シンプソンにそっくりな地上絵もあったという。
これらの図案がいつ作られたかは不明だが、線上の近くで見つかった土器は紀元前300~100年の間に作られたものだとわかっているそうだ。古代の絵柄の多くは平坦な地形に描かれているため、近くの人からは見えにくい。また、岩や瓦礫を削り取り、その下にある色鮮やかな土壌を露出させることによって作られたラインは、浸食によって発見が困難になっている。
いずれにしろ、これほど巨大な地上絵を古代人が描いた理由は大きな謎に包まれている。当時は上空からこれらの絵を見る技術はもちろんなく、彼ら自身が絵を鑑賞するために描いたのでないことは明白だ。では、誰に向けて描いたのか?
ここ数十年間でさまざまに解釈されてきたが、最も一般的な説明は、人間を見下ろす天空の神々のために描いた、というものである。また、天文儀礼のために描かれた図形や模様は、何らかの形で星を映し出すことを意味していたという説も有力だ。
奇抜な説としては、そうした神々が実は宇宙人であり、彼らに向けて描かれたというものがある。まるで宇宙服を着ているような人物が描かれたのもそのためだと囁かれている。
1994年にナスカ砂漠の一部が世界遺産に登録されたとき、こうした地上絵は30点ほどしか見つかっておらず、そのほとんどが植物や動物の絵だった。それから次々と発見されていき、2019年までに考古学者たちは合計200近くの地上絵を発見した。最近では山形大学の調査によりさらにその数は膨れ上がり、発見された地上絵の正式な数は358個に達している。
参考:「Science Alert」ほか
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