義実家に帰省しており今日の午後帰る予定ですが、今朝テレビを見た夫から「混むからもう一泊しない?」と言われました。気を遣いますし、渋滞の予報で予定を変えるなんてバカげていますよね?

2025年1月2日(木)7時10分 文春オンライン

 てんやわんやの師走を越して、ようやく迎えた年末年始の長期連休。今年度は「奇跡の9連休」とあり、帰省に旅行と予定を詰め込んでいる人も多いだろう。


 そうしたなか、予定を台無しにしかねないのが高速道路の大渋滞だ。NEXCO各社が発表する事前の渋滞予測などを参考に、混雑を避けたいところだが……そもそもこの渋滞予測、どのくらい信じてよいものなのか。


 ここでは今回の年末年始についてのNEXCO各社による予測とともに、「過去の予測がどの程度正確だったか」についても検証してみたい。


上下線ともピークは1月2日に


 今回の年末年始は、三が日に加えて1月4日と5日が土日にあたるため、例年よりも長い9連休が見込まれている。


 渋滞への影響としては、「年が明けてから観光地に向かう」というケースが増加すると見られる。NEXCO各社による予測でも、下り線のピークは年末と年始のそれぞれに生じる見込みだ。



写真はイメージ ©AFLO


 まず年明け前のピークは、連休初日となる28日(土)とそれに続く29日(日)。ただ両日とも30kmを超える渋滞は見られず、東名の綾瀬SIC付近と、伊勢湾岸道の弥富木曽岬IC付近の2箇所で予想される25kmの渋滞が最長とされる。


 なお年が明け1月2日に下り線のピークが再度到来すると、各地で20km〜25kmの渋滞が頻発する。関東では中央道の日野BSや東名の綾瀬SIC、関越道の高坂SAや東北道の羽生PA、中部〜関西では東名の豊田JCTや名神の大津ICと、よく知られた渋滞スポットが混雑する見通しだ。


 1月2日には上り線のピークもやってくる。とりわけ長いのが東北道加須IC付近と関越道高坂SA付近からの渋滞であり、いずれも30km程度の予想。さらに中央道では、小仏TN付近と高井戸出口付近でそれぞれ20km〜25kmの渋滞が発生すると見られる。


 1月3日の上り線も、東北道加須IC付近と関越道高坂SA付近で30km〜35kmほどの渋滞が見込まれるなど、Uターンラッシュが続く見通し。Uターン時の混雑を避けるには、出発を4日あるいは5日にズラすのが有効だ。


NEXCOの渋滞予測、信じても大丈夫?


 ところで実際、NEXCOが発表しているこうした予測はどの程度アテにできるのだろうか。さしあたり昨年度の年末年始における「10km以上の渋滞発生回数」について、予測値と結果を見てみたい。


 上り線と下り線ともに大きく予想は外れておらず、「何日にどの程度混雑が生じるか」という傾向についてはおおむね信頼できることがわかる。そもそも参照されているのは過去の交通量に関する膨大なデータであるから、マクロな予測が正確なのも頷ける。


特定のポイントについての予測は正確か


 それでは、ピンポイントに見た場合の予測はどうか。渋滞箇所や時間帯、渋滞長に関する予測と結果を対照するべく、昨年度にNEXCOの各管轄区間で上位予想されていたポイントの状況をまとめてみよう。


 まずわかるのは、「長い渋滞が発生する時間帯や地点」についてはかなり正確に予測されていることである。過去数年のデータを辿ってみても、多少のズレはあれ「予想にない箇所で大規模渋滞」というケースはほとんど見られない。


 渋滞原因のひとつに「事故」が含まれているものでも、誤差はさほど大きくなく、10kmほどに収まっている。旅程を組む際に混雑する区間と時間帯を避けるうえでは、十分参考にできる資料なのではないか。


 一方で、少数ながら大きく予測を外れているケースもある。もっとも顕著なのが、2023年12月30日に東名高速上り線で生じた伊勢原BS付近からの渋滞だ。事前に予想されていた渋滞長は15kmだったが、実際にはその2倍以上となる34.2kmを記録している。


 本来Uターン時に混雑する上り線が、年末にこれほど渋滞するのは珍しい。この日は中井PA付近で6台がからむ玉突き事故など複数の事故が報告されており、事故処理の影響で大規模な混乱が生じた。


予測が外れる原因は「大事故と雪」


 過去に遡ってみると、降雪による規制や事故の影響で、混雑が悪化するケースも見られる。


 予測との差が激しいのは、2018年12月29日、名神高速下り線の関ヶ原IC付近で発生した34.5kmの渋滞である。事前に予想されていたのは関ヶ原ICから15km以上手前に位置する尾西BS付近での15kmの渋滞だが、降雪とそれに伴う事故の影響で混雑が拡大した。


 岐阜県に位置する関ヶ原ICは「雪の難所」として知られており、山地に挟まれた地形から大雪の影響を受けやすい。2024年1月24日には、大雪の影響でトレーラーが立ち往生し、19時間にわたって車列が動かなくなる異常事態が発生している。


 やはり降雪や重大事故といった不測の事態が発生すると、事前の予想を大きく上回る規模の渋滞が発生する。ただ、事故を予見することは難しいものの、天候についてはドライバー自身が直近の予報を調べることはできる。


 冬期に長距離を移動する際は、tenki.jpなどのサイトで経路上の天候リスクを調べつつ、NEXCO各社が提供するiHighwayなどで当日の道路状況についても情報を集めるとよいだろう。


年々悪化する混雑、ドライバーができる対策は


 NEXCO東日本の発表によると、近年「渋滞損失時間=渋滞によって人々が通常時よりもロスした時間」は増加傾向にあるという。2018年には過去のピークとされる1997年を上回り、さらにコロナ禍を経た2023年にも過去最高を更新している。


 ■NEXCO NEXCO東日本公式サイト( https://www.e-nexco.co.jp/activity/safety/detail_07.html )より


 NEXCO各社も渋滞緩和に向けた施策をさまざまに試行してはいるが、それでも交通量の増大に追いついていないのが現状なのかもしれない。私たち個人としても、混雑時間帯を避けつつ、「渋滞の原因を作らない運転」を心がけたいところだ。


 先に挙げた東名高速の事故渋滞のように、高速道路上での玉突き事故は、被害が複数台に及び、事故処理に時間を要するケースも多い。まずはとにかく、「車間距離を取る」という基本を忘れないようにしたい。


 車間距離が詰まった状態は、事故のリスクを高めるだけではなく、ブレーキ回数を増やすことにもつながる。車両が密集している状態でのブレーキは、後続箇所でじわじわと大きな減速を引き起こし、渋滞の原因となっていく。余計なブレーキを踏まないよう、「前の車が通過したポイントに自車が至るまで3秒」を目安に車間をキープしておこう。


出発前には「点検と準備」がマスト


 さらに事故やロードトラブルを避けるうえで、タイヤをはじめとする「車両状態のチェック」も欠かせない。JAFの発表によれば、昨年度の年末年始期間における高速道路上での救援要請のうち、約3割がタイヤ関係のトラブルであり、1日あたり50件以上の要請があったという。


 最低でも、長距離移動の際にはタイヤの空気圧チェックと、極端な摩耗や損傷がないかの目視くらいはしておきたいところだ。不安があれば、ガソリンスタンドなどでスタッフに点検をお願いするとよい。


 もちろん事前に対策をしていても、想定外の事態に遭遇する可能性はゼロではない。先の関ヶ原ICのケースのように、丸1日車内から動けなくなってしまう例もある。水分や食料、非常用トイレや防寒用品など、万が一の際に車内で長時間過ごせるような備えをしておくとよいだろう。

〈 東名でも、中央道でも、関越道でもない……年末年始で「最悪の渋滞」が発生する“まさかのポイント” 〉へ続く


(鹿間 羊市)

文春オンライン

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